株式会社アトラス・コンピューター・システム

株式会社アトラス・コンピューター・システムは、1995年の創業からSI業界を支えてきたシステム開発会社。今も昔も大手ベンダーのプロジェクトを中心に参画しており、長年にわたる取引で大きな信頼を得て、堅実な経営で浮き沈みがあるといわれるIT業界で、約30年間生き残ってきた。

現在の事業内容は、SES（システムエンジニアリングサービス）。エンジニアを必要としている現場に、エンジニアの技術力を提供する。SI業界は、必要な現場に適切な技術者を集めることで、日本のITインフラは築き上げられてきた。そして、現在もSESで活躍するエンジニアによって日本のITインフラは維持・発展している。

数あるSES会社の中で、同社の特徴は、前述したように大手ベンダーのプロジェクトが多いこと。創業以来、大手ベンダーの現場で同社のエンジニアは活躍してきた。

「1年以上の長期の案件が多いのが、当社のSES事業の特徴。案件内容や作業内容は変わっても顧客は同じというケースも多く、一般的なSESにありがちな現場を渡り歩く働き方にしないようにできます。SESの働き方は、現場を移るとなると不安定になりがち。新しい現場で人間関係を築くところから始めるのは大変です。その点、当社でなら安定した環境で腰を落ち着けて働けます」（代表取締役社長・千葉高久氏）。

正社員雇用を基本としており、非正規雇用で不安定な働き方をしているエンジニアが安定した環境でキャリアを築きたい場合も、同社でなら希望が叶う。

「長期の現場があるおかげで、経験が浅いエンジニアでもOJTを中心にした教育体制でスキルアップが望めます。経験が浅いとスキルアップできる現場に入ることが難しく、また、その機会がないからしっかりしたキャリアを築くことができない。そんな悪循環に陥ったエンジニアを沢山見てきました。当社は、経験が浅いエンジニアを育ててきた実績が豊富です。ITエンジニアとしてしっかりキャリアを築きたいと考えているエンジニアも大歓迎です」（千葉氏）。

同社が長年にわたってSI業界で存在価値を示せた理由は、社員の働き方やコンプライアンスに早い段階で高い意識を持って対応した点もあるだろう。IT業界は、その昔、“ブラックな業界”として名高かった。今でこそ、同社のように月の残業時間が20時間を切っているシステム開発会社は沢山あるが、“始発で出勤、終電で帰宅。3日徹夜は当たり前”が常態化している業界だった。

「私達が創業した30年前のIT業界は、今では考えられない働き方をしていました。当社は、早い段階から『社員は会社の財産』という意識を徹底させて、エンジニアが働きやすい環境を整えてきました。大企業と違って、当社のような小規模な組織では、社員を大切にしないと会社の財産が擦り減ってしまいますし、コンプライアンス違反があれば会社が吹き飛んでしまいます。だから、社員の働き方とコンプライアンスには、最大限気を配ってきました。もちろん、その姿勢は今も、そして今後も継続していきます」（千葉氏）。

もう一つ、同社には、30年近くIT業界で事業を続けてきたからこそ持つ強みがある。それは、レガシーなシステムの案件に参加できることだ。

IT業界は、日進月歩でテクノロジーを進化させてきた。システム開発の環境も10年単位で大きく様変わりしてきたが、一方で古の技術で開発されたシステムも現役で稼働している。そんなレガシーなシステムの開発や運用・保守には、古い技術を知り尽くしているエンジニアが必要だが、彼らの多くが高齢になって数が減っている。

「当社が関わるプロジェクトは、大規模案件が多いということもあって、官公庁や大手金融機関のシステム開発も多くあります。中には古い技術で作られているシステムもあって、COBOLのシステムをJavaのシステムにマイグレーションする等、新しいシステムに移行するプロジェクトもあります。そういったベテランエンジニアが活躍するフィールドが多数あり、若いエンジニアは経験豊富なエンジニアと働くことで、システム開発への理解を深めるチャンスにもなります」（千葉氏）。

官公庁や大手金融機関のシステムは、レガシーなものが多い。障害やトラブルがあれば、多くの人に影響が及ぶことから、システム開発に関するスタンスは保守的になりがち。すぐさまレガシーなシステムを捨て、最新テクノロジー満載のシステムに乗り換える事態は想定しづらい。安定・安心なシステムを維持・発展させるためには、同社のようなシステム開発会社が欠かせないのだ。

IT業界で約30年間、システム開発を支えてきた実績を持つ同社。同社の現在とこれからの話をしよう。

同社に在籍するエンジニアの数は、20名。SES会社としては小さな部類に入る。SES会社は「エンジニアの数=売上高」となるため、積極的にエンジニアを増やして事業拡大を目指す会社が大半だが、同社は無理な拡大をせず、堅実な経営を続けてきた。カルチャーマッチを重視して、採用を進めてきた点も理由として挙げられる。同社の社風は、エンジニア各自の個性を最大限に尊重する姿勢。個性的なエンジニアが多く在籍しており、みんな気兼ねなく“等身大の自分”で楽しく働ける。

「自立した人材がそれぞれの現場で活躍している会社です。個性的な人が多く、個性を抑えることなく伸び伸び働けるのは、とても良い環境だと感じています。特に会社から『こうしなさい』といった指示はしません。キャリアもエンジニア各自が自分で考えることを基本にしています。会社はそれを実現するために全力で後押しするだけです」（ゼネラルマネージャー・野口氏）。

同社ではプロジェクトのアサインはエンジニアの希望を優先している。利益を最優先した“炎上案件”にエンジニアを送り込むようなことはなく、エンジニアが描くキャリアを実現できる案件で働くことができる。

「若いエンジニアは、市場価値を意識してどんどんスキルアップできる案件で活躍してほしいと考えています。エンジニアがチャレンジを通して成長し、幸せに長く働いてくれるなら、会社は何も言うことはありません。もしキャリアに悩んだら、会社に相談してください。豊富な業界経験を生かしてアドバイスします」（野口氏）。

SES会社として約30年間、SI業界を支えてきた同社だが、今後は自社開発も視野にシステム開発会社の側面を強化していきたいと、野口氏は語る。

「当社の成り立ちはソフトウェア開発会社です。SESはその中の事業の一つであり、今後は自社でサービスやプロダクトを開発したいと考えています。そのためにも、一緒に会社を成長軌道に乗せてくれるエンジニアを必要としています」（野口氏）。