株式会社セルミュラー

株式会社セルミュラーは「ONE COMPANY」を標榜し、お客様の経営課題をマーケティング全領域で解決する会社だ。「広告運用はマーケティングではない」と話すのは、創業者で代表取締役の吉田宣仁氏だ。
「ものやサービスが生まれ、発展していく全ての工程。安く仕入れて高く売るという商売原則。これらの一連の流れの最適化がマーケティングです。」
マーケティングとは商業活動の全てを網羅するもので、経営そのものだ。サービスや商品の設計から、戦略立案、コンサルティング、プロモーション、データ分析、CRM、制作、これらの全領域を外部ベンダーの力を借りることなく、一社で提供すると宣言しているのが同社だ。

その存在のユニークさ、確かなクオリティーと実績は高く評価され、創業1年目の2020年にデロイトトーマツコンサルティング主催の「2020年注目のベンチャー企業 マーケティング部門 5社」に選定されたのを皮切りに（1年目の選出は初）、日経新聞や「Newsweek」等のメディアにも登場し、2022年、2023年と2年連続で「ベストベンチャー100」（ベンチャー通信社）に選定され、注目を集めている。

吉田氏は、メディア事業、インターネット広告事業、ゲーム事業を主とする大手IT企業の出身だ。同社では、史上最年少でシニアアカウントマネージャーに選ばれるなどして活躍。クライアントの期待に応え続けたが、一方で当時、吉田氏本人はもどかしさを感じていた。それは、お客様の課題は様々なのに、提供できるソリューションは広告、プロモーションに限られること。吉田氏は、その枠にとらわれない最適なソリューションを提供したいと考えた。それも一社で。というのも、外部ベンダーを頼むと余計な商流が発生し、コストがかさむうえ、コミュニケーションも煩雑になるからだ。戦略、志向、言語等を共有する一社が全てに対応できたら、どれだけ頼りになることか。それを実現するために、セルミュラーを創業した。2020年3月のことだ。

いわゆる上流から、クリエイティブや各種施策の実行、システム開発等の最前線に至るまで、提供するソリューションは360度。時には配送網の整備や、クライアント企業の人員配置最適化等、リアルな領域にまで踏み込む。これらを組み合わせて、課題解決に最適なソリューションを提供する。言うは易いが実現するのはハードだ。それを、吉田氏をはじめ同社に集った卓越した「個」の力で実現している。それがセルミュラーだ。

経営全般を最適化すると掲げても、最初から全てを任されるわけではない。しかも同社は2020年3月設立の新しい会社のため、なかなか難しい。その場合の方法は一点突破だ。吉田氏は言う。
「風穴を開けるのはデータ分析だったり、イベントプランニングだったり。我々はカメレオンのように顔を変えます。そこからクロスセル体制で横展開していきます。最終的には全てのマーケティングの予算をお預かりして一緒に戦略を立て、関係を構築していきます」
狙い通り、ひとたび扉が開くと課題、ニーズに即した提案を行い、どんどん手掛ける領域を広げてきた。

例えば大手旅行会社の場合。「このクライアントでは、今、47都道府県中17の都道府県の観光客のデータベース構築を任されています。最初は、インハウス支援として社内のデータリテラシーを高めるという業務を担いました。ここで我々は共通言語を作ります。そうすると思考や広告、データ等に対する考え方を共有でき、そのロジックに沿った我々の提案が通るのです。」

このようなスタイルで、ほかのケースでもクロスセルを展開してきた。営業戦略としては、最初に提案の全貌を示す。そして信頼関係を構築するなかで、クライアントサイドにも「次はこれをやってくれる」という期待が生まれ、途切れることなく続いていく。その積み重ねで、全体最適が進んでいくという流れだ。

内部を知った上で、次々と課題を解決していく同社は、クライアントにとってもありがたい存在だろう。それを示すのが創業以来の顧客継続率で、丸3年たった今、その数字は実に9割近い。このようにして同社は急成長を遂げている。緊急事態宣言の翌日という逆風のさなかに創業した会社ながら、売上、経常利益は倍々どころか、直近で年8倍の驚異の成長率を実現。今では社員1人あたり、約1億円の売上をたたき出す会社に成長している。

クライアントは大手が中心だ。積極的な営業活動をすることはなく、内部の横展開、紹介等で広がっている。引き合いは多く、現体制では期待に応えきれないほど。強さの秘訣は、この360度を網羅できる競合がほかにいないこと。外部発注を混ぜて対抗しようとしても、コミュニケーション、クオリティーの担保等で同社が勝る。各ファンクションに部分競合はあるが、これも脅威ではない。例えクオリティーが互角だったとしても（もちろん勝っている自信はある）、フットワークの軽さ、スピード、何より価格で圧倒的に同社に分がある。価格は大手の10分の1程度だという。

クライアントからしたら選ばない理由がない。快進撃はまだまだ続くだろう。

ちなみに吉田氏は中国語（広東語、北京語、マンダリン）がネイティブ。将来的には日本企業の中国進出を、マーケティングで360度支援することも手掛けるつもりだ。ますます同社の守備範囲は拡大していく。

吉田氏が、入社してきた社員に必ず言うこと。それは「この会社にずっといないでください。」その心は「5年間、日銭を稼げる仕事をするのではなく、今後50年間戦える、人にもAIにも仕事を奪われないマーケターになってほしい」ということだ。極めてポジティブな鼓舞なのだ。

実は、同社のビジョンは「ONE COMPANY」ではない。掲げているのは「時代を創るマーケターを生み出す会社」というVISION。そして、「いつかマーケティングという言葉が、経営の教科書から消えるその瞬間まで。」といった未来。360度、網羅的に課題解決ができる、つまり経営全般を差配できる人材を育てることが同社の目指すところであり、そのマーケターたちが巣立ち、そこかしこに散らばったとき、セルミュラー流のマーケティングがスタンダードとなって、狭義のマーケティングという言葉が世界から消える。描いているのはそのような世界だ。

社員にとって同社での日々は、例えるならMBAのケーススタディを実地で積み重ねているようなもの。しかも大企業の、社会的影響も大きい案件に携わり、知見を蓄積する。得られるものは果てしない。もちろん楽ではない。かなりしんどい。そこは覚悟のうえで、来てほしいと吉田氏は言う。「マーケティングをやりたいです、と言う人は世にあふれています。そのスタンスでウチに来ると、大分ギャップがあるでしょう。お客様との向き合いも多ければ、イベント、ロジ、人員配置や人材育成等もやり、データ分析はツールを自分でゴリゴリと回す。過酷な環境です」

時には100ページにもなる企画書を、3日で仕上げるようなこともある。過酷だが、その分得るものは一生の宝になるはずだ。自身の力を付けることは最大のリスクヘッジ。まさにそれがかなう会社だ。もどかしさを抱えていたかつての吉田氏のように、強い意志で自分を変えたい人、壁を越えたい人、社会を変えたい人、そんな人を待っている。広告代理店や、戦略コンサル等で培った能力を昇華させたい人には最適な環境だろう。吉田氏も惜しみなく自身の経験、知見、スキルを伝える。「魂を分けて、自分の持てるもの全てを提供します」吉田氏からのメッセージだ。