Co-Growth株式会社

人が育つ仕組みづくりを自社開発のSaaSで展開している、IT×コンサルティング企業のCo-Growth株式会社。そのメイン事業となる自社開発のSaaS『リフレクトル』は、営業商談力に焦点を当てた、対話力強化・評価ツールだ。商談時の様子を動画で撮影し、そのアウトプットから的確なフィードバックを受けることで、商談力の向上はもちろん、組織の育成力に繋げていく――そうした特徴を持っている。この『リフレクトル』の開発を立ち上げた経緯について、代表取締役の佐々木文平氏は次のように語る。

「2007年に法人化し、その後2015年まで人材育成の組織開発の案件に携わっていました。その中で、“スキル習得に必要なプロセスの中で、インプットは研修として実施しても、その後の実践、フィードバック、内省までの仕組みは存在しないことが多く、上司の属人性任せになっている”という課題を強く感じました。この課題を解決したいと思い、2016年に現社名に変更し、『リフレクトル』の開発に着手したのです」

特に重要視しているのは、対話力全般だ。同社のミッションとして、「対話力が上がれば、人と人はもっと分かり合える。多様な人が混じり合える。そんな素敵な世界を、私たちは創っていきます」というものある。佐々木氏は高校時代にアメリカへ留学。そこで“同じ色に染まるのではなく、一人ひとりが自分らしさを認識し、お互いを尊重して交じり合うのが大切である”という考え方が形成された。また、対話力は指摘しにくいとも言われている。紙の資料であれば赤入れできるが、対話は常に流れていくものであり、さらに言語と非言語という観点からもフィードバックが難しいのだ。

「上司の背中を見て覚えるという現場も多いですが、そうなると営業手法がワンパターンになってしまうのです。対話とは無限なので、いろいろな良い対話力を見て、自分の引き出しを増やすことが大事です。また、覚えるためには言語化して咀嚼することがポイント。『リフレクトル』で動画を撮影し、言語化することにより、より深く身に付くのです」（佐々木氏）。

対話力の欠如により、せっかくの縁がネガティブな結果になってしまうこともある。こうした機会損失を最小限にするため、『リフレクトル』で一人ひとりの対話力を養い、組織として成長を図る企業が増えてきているという。

営業力を上げるために外部のコンサルティングを入れ、研修等を行う企業もあるが、『リフレクトル』の場合は全てをシステムに落とし込んでいる点が強みだ。『リフレクトル』には、“次のステップは何をすればよいのか”といったカリキュラムが組み込まれている。あくまで同社は、コンサルティング企業ではなく、SaaS×人材育成DXのIT企業なのだ。

現在『リフレクトル』は、数多くの大手企業にも導入されており、契約率の向上や新人の早期戦力化等、しっかり結果に繋がっている。なかでも、とあるクライアント企業は、同サービスをフル活用することで契約率が14%も向上。「気持ち良いくらい営業成績が上がります」という声が寄せられている。同サービスは特に営業の重要度が高い、住宅・不動産、ブライダル、保険、自動車、スクールといった業界と相性が良いが、上司と部下の1on1でも活用できることから、業界を限らず広めていく想定だ。

そんな同社は、2022年12月に株式会社Adlib Tech Venturesならびに株式会社デルタを引受先とし、総額約7千万円の資金調達を実施した。株式会社デルタは実際に『リフレクトル』を営業部門に導入しているそうだ。

「出資いただいたということは、『リフレクトル』というサービスの将来性が評価され、さらに世の中に広めていってほしいということだと思っています。そのため、まずは社内の体制を強化したいと考えています。単なるツールの導入ではなく、お客様の組織を変えていくことをゴールに掲げる営業、お客様にとって必要な後押しをしたり、発展的な仕組みの提案をしたりするカスタマーサクセス、そしてお客様の声をシステムに落とし込んでいくエンジニア。これらのポジションを強化し、さらなる成長を図る予定です」（佐々木氏）。

Co-Growthは第3フェーズに突入したと語る佐々木氏に、今後の展開について聞いてみた。

「今後は年間200〜300%の成長を見込んでおり、FY27の上場を目指しています。『リフレクトル』のサービス土台は完成したので、多くのお客様に広めていきたいですね。また、新しいコンサルティング要素を追加する等、『リフレクトル』のパッケージ化も推し進めていく予定です。よりクラウドサービス化し、我々の領域を広げていきます。この1、2年が勝負と言えるのではないでしょうか」（佐々木氏）。

同社には、仕事の価値観をまとめた“Color Book”がある。この冊子は、【力を合わせられるチームは、自分たちの「色」を頭の中に鮮明に持っている。この「色」を言葉に書き出したもの】として制作されたものであり、同社に入社する際や、折に触れて確認できるのだ。特に中心となる考え方として、“まっすぐな”、“創造的な”、“前向きな”、そして“おもいのある”の4つが挙げられている。

「実際にお客様に価値を提供できているのか、“まっすぐな”想いで本質に向き合ってほしいと思っています。また、“創造的な”考え方を持ち、新しいことを積極的に取り入れながら、全員がリーダーシップを持って具現化してもらいたいですね。仕事をしていく上で壁にぶつかることもあるでしょう。そんな時も“前向きな”姿勢を忘れず、可能性を模索していける方が、弊社には向いています。そして、自分が活きた価値を社会に対して仕事を通して届けたいという"おもいのある"方、さらにお客様だけではなく、仲間やパートナーも大切にできる“おもいのある”方にジョインしてほしいですね」（佐々木氏）。

現在、同社は12名体制（2023年3月現在）。絶賛採用に注力している段階で、2023年度はさらに15名ほど増員する予定となっている。また、対話力を重要視していることから、社内コミュニケーションも活発的だ。週3日は出社し、対面で意見交換。会議では必ず全員が発言して意見交換している。時にはプライベートな雑談も交えたり、仕事終わりに食事をしたりと、ウェットな組織と言える。

また、中途入社の方でも安心してジョインできるように、『リフレクトル』をフル活用した教育制度を導入。独自のカリキュラムを作ることで、早期にキャッチアップできることはもちろん、自社サービスへの理解も深める狙いだ。さらに入社1ヶ月と3ヶ月後に佐々木氏自ら面談を実施し、本人の意向や状況を理解する。その後も年2回は面談を行い、社員一人ひとりと対話しながら、組織力を強めていく。

「システムを使うことで人は早い速度で育ちますが、システム“だけ”では育ちません。システムに人が介入して的確なフィードバックをすることで、最適な育成環境を生み出せるのです。私たちは、その文化を作ることがミッションだと捉えています。今後弊社は、今のサービスを伸ばしていくフェーズに突入します。アクセルを踏んでいく瞬間に立ち会えるため、楽しいに違いありません」（佐々木氏）。

通常のコンサルティングではなく、システムを使って恒常的な育成の仕組みを作ろうとしている同社。新しいコンサルティングの形を、広く深く展開していく意欲ある仲間を、同社は楽しみに待っている。