自社開発クラウドサービスで医療機関のICT化イノベーションを促進
株式会社メディサージュは、臨床検査を主軸事業とする東証プライム市場に上場するファルコホールディングスのグループ会社として、ICT技術を用いた医療機関へのサポートサービスを提供している会社だ。大阪と東京に拠点を置き、医療機関のICT化促進に取り組む。
いくつかある自社サービスの中で柱となっているのは二つだ。まずは、50床から200床未満の中堅病院を対象として提供される電子カルテサービス『HAYATE/NEO』だ。電子カルテシステムは、以前から存在しているものの、まだまだ主流はオンプレミス型だ。センシティブな患者の情報を扱うことから、医療機関では、クラウドシステムの利用が進んでこなかった背景がある。その中で同社は、いち早くクラウド化した電子カルテサービスの開発に着手し、2016年に正式にサービス提供を開始している。
オンプレミス型の電子カルテシステムに対し、クラウドシステムは、全てのユーザーに対し、バージョンアップや関連法令の改正に伴うシステム改変等への対応がスピーディーに行える利点がある。デジタルトランスフォーメーション(DX)の流れが加速する近年は、クラウドに対する抵抗感は薄れ、『HAYATE/NEO』の導入数も着実に増え始めているところである。
現在同社が二つ目の柱として注力しているのが、診療所向けのクラウド型レセプト点検サービス『レセスタ』だ。年々、診療報酬請求の仕組みが複雑化し分かりにくくなっている中、レセプト(診療報酬請求明細書)の入力漏れや誤入力は、どのような医療機関でも起きている。そういった入力漏れや誤入力をチェックするためのソフトウェアはこれまでも存在してきたが、既存のプロダクトやサービスと『レセスタ』の違いは、システムによるチェック機能に止まらないサービスを提供している点にある。クリニックがクラウドサービスにアップロードしたレセプトを、同社が独自に作成したプログラムを用いてチェックすることに加え、診療報酬請求に関する疑問点等をコンサルティングによって解消。さらに入力漏れや誤入力を防ぐために必要な知識や、チェックする際のポイントといった情報の提供等も行う。
2020年8月にリリースされた『レセスタ』の開発を指揮してきたのは、ICT部門の統括を担う取締役・大島敦氏だ。
「弊社は20年以上前から、診療報酬請求に関する相談サービスを行ってきました。そこで蓄積した知見をベースに、ICTを活用したチェックサービスをプラスしてシステム化した製品が『レセスタ』です。入力漏れや誤入力のチェックだけ、もしくは診療報酬請求に関する相談だけのサービスとは異なり、診療報酬請求に関して一気通貫でサポートしているのが、弊社サービスの特徴です」(大島氏)。