株式会社ローカルイノベーション

就活支援サイト『Career Select』を運営する株式会社ローカルイノベーションは、エンジニアに特化した就活支援事業を展開している。その事業領域は、新卒から中途の採用支援だけに留まらず、エンジニアとしてのキャリアを望む求職者に対して技術成長の機会を提供するコミュニティサービス等も企画・開催。社名に「ローカル」とあるように、エンジニアを目指している地方の学生支援については特に強みを持っている。

「地方にはIT企業が少なく、エンジニアを必要としている企業との出合いが限られています。そのため、エンジニアを目指す学生さんは、東京等の大都市で開催される合同説明会等に参加して企業との接点をつくったりするのですが、何度も大都市まで出向くのは予算的にも厳しいため、短期集中で就活をしなければなりません。
その点、時間をかけて何社も吟味できる都市部の学生さんよりも不利な立場にあります。こういった就活弱者ともいえる学生さんを応援したい。その思いから、設立以来10年近く、地方の学生さんの声に耳を傾け、『エンジニアになりたい』という希望を叶えるために走り続けてきました」（代表取締役・工藤嵩大氏）。

このビジネスモデルは、エンジニア採用に苦戦し、近年、地方在住のエンジニア開拓に力を入れ始めている企業側のニーズに合致。地方出身者の採用支援に多くのノウハウを持つローカルイノベーションへの期待が高まっているのだ。

また、一人の社員がキャリアアドバイザーとリクルーティングアドバイザーを兼務している点、求職者一人ひとりに必ず一人の専任キャリアアドバイザーが付く点も優位性になっている。
「企業については、エンジニアを必要としている背景から求める人材像、社風等を総合的に把握。求職者についてもマンツーマンでしっかり話し合うことで、志望理由や仕事に求めること、将来のキャリア像等、深いところまで理解します。
だからこそ、提供できる情報の質が高まり両者共に満足度の高いマッチングを実現できるのだと自負しています」（工藤氏）。

加えて、人材紹介やスカウト機能、イベントによる集客等、多様な施策を組み合わせることで、クライアント企業の課題に対応した採用支援を行う、ワンストップオーダー型の採用ソリューション提供も好評だという。

ローカルイノベーションのサービスを利用した求職者の内定承諾率は70%と、業界内でもかなり高い。その同社が次に模索しているサービスが、人材の定着支援である。
「多くの企業がエンジニアを採用することに苦労しています。そのため、様々な工夫を凝らし施策を練ってようやく採用した優秀な人材にはできるだけ長く働いてほしいと考えるのは当然のことです。しかし、エンジニアは慢性的な人材不足で採用市場において人気の高い職種であるため、転職してしまう人が少なくありません。
どうすれば定着してもらえるのか、頭を悩ませている企業が本当に多いのです。そのような悩みに応えるべく、定着支援としてエンジニアのための人事評価制度のサービス化に取り組んでいます」（工藤氏）。

エンジニアは、仕事の成果を数値化しにくいため、適切な人事評価が難しい。ローカルイノベーションが現役エンジニアおよそ300人を対象に行った独自アンケート調査でも、過半数以上の人が「評価に満足していない」と応えている。そこで、設立以来多くのエンジニア採用を支援し築いた現役エンジニアとの豊富なネットワークと、蓄積してきたノウハウを活用して、エンジニアの成果を正しく評価できる評価システムを確立。SaaSで提供する仕組みを構築中だという。

「成果を適正に評価できる仕組みは、エンジニアにとっても大切なことです。生産年齢人口が減少していく日本において、業務の効率化や生産性向上は至上命題といえます。そして、その実現にはエンジニアの力が欠かせません。
だからこそ、これからの日本経済を支えていく重要な人材であるエンジニアが、イキイキと働ける環境をつくることは非常に重要だと考え、そこに少しでも貢献していきたいのです。その一つの方法が、人事評価システムを整えることだと思っています」（工藤氏）。
また、将来のエンジニア育成を支援するため、夏をめどに高校生を対象にしたプログラミング習得サービスの事業化にも取り組んでいる。

設立から約10年、採用支援事業にじっくり取り組み、事業基盤の強化とノウハウの蓄積に注力してきた同社は、さらなる成長に向けて新規事業への取り組みを加速。第二の創業といえる変革期に突入している。

「世の中の働くヒトの可能性を拡げる」――このミッションに共感したメンバーが集まり、それぞれが個性を発揮しながらミッションの実現に向けて支え合いながら前へ進んでいるローカルイノベーション。それだけに、新たな仲間に求めることも「ミッション共感が大前提」だと工藤氏は語る。
「社会課題と向き合い、そのど真ん中にいるエンジニアが心身共に豊かで幸せに過ごせる社会をつくる。そのことに愚直に取り組める人を求めています。大きな目標に向かって、一つひとつ壁を乗り越えながら一歩ずつ進むうちに自分自身の可能性を拡げることもできます。
当社のメンバーとしてもう一つ大切にしてほしいことが、仲間の失敗を自分のことと捉えることです。当社には、仲間の失敗を笑うのではなく、チームの一員として自分にできることを考え、実行することで仲間を支える利他の気持ちを持ったメンバーが本当に多い。そのため、とてもチームワークが良く、気持ち良く働ける環境があると感じています。
そのことは、数日働けば実感してもらえるはずです」

会社としても、チームワークを高める施策を取り入れている。その一つが「Bond制度」だ。これは社内に複数のチームを編成して目標の達成状況を競うという制度。しかも、2カ月に1度、チームをシャッフルすることで、メンバー同士の交流や理解を深める効果を狙っている。
また、小さな感謝を可視化するという「ギフトハブ制度」もある。メンバー同士が感謝の気持ちを伝えることでポイントが溜まり、そのポイントを使って好きなものが買えるという制度だ。こういった制度が浸透しているおかげなのだろうか、同社のメンバーからは「ありがとう」という言葉が自然に出てくる印象が強い。

「それは自然発生的に生まれた文化だと思います。社外の人や学生さんからも、明るく、優しい人が多いとよく言われますね。そんな職場で働きたいと思っている人、また、第二創業期ということもあり、一緒に石垣をつくるワクワク感を味わいたいという人なら楽しく仕事ができると思いますよ」（工藤氏）。