株式会社フロントエンド

Webデザイナーが、ちょっと変わったキャリア形成をできる会社がある。Webインテグレーションとプロモーション&イベントを手掛ける、株式会社フロントエンドだ。

Webインテグレーションでは、大型サイトの運用管理に関する、各種システムの導入コンサルから実際のサイト制作までを請け負っている。現在、大手食品メーカー商品サイト、大手コンサルティング企業採用サイト、エンタメ系特設サイトの制作運用をメイン事業にしている。

同社のWebインテグレーションの特徴は、二つある。一つは誰もがその名を知る大手企業や有名イベントがクライアントである点。そしてもう一つは、どのクライアントとも長期にわたる取引を続けている点だ。

「クライアントとの守秘義務契約に基づき、具体的な社名は非公開としていますが、当社のクライアントは誰もが名前を知っている大手企業。しかも、どの企業とも長期的な取引をさせてもらっています。例えば、大手食品メーカーの場合、今期で18年目の付き合い。クライアント先の宣伝部に当社の社員が常駐して働いています」（代表取締役・川﨑孝幸氏）。

同社のメインクライアントの一つである大手食品メーカーのケースだと、年間400回程度サイトを更新するという。その全てを同社が請け負うのではなく、大手広告代理店やWeb制作会社もサイト制作に参加する。コーポレートサイトの運用は同社が担当し、各ブランドページやキャンペーンサイト等を他社が行っている。

「大手企業になるとWeb戦略は複雑で、各部署で企画や制作を請け負う会社が異なります。当社はコーポレートサイトの運用を担当し、サイト全体のレギュレーションチェック等もしています。そのほか、トップレベルドメインの運用・管理も担当しています」（川﨑氏）。

エンタメ系特設サイトの制作運用では、メインイベントの企画・運営から参加。イベント運営には21年、特設サイトの制作運用では16年連続で同社が仕事を任されている。

「有名なゲーム関連のイベントに企画段階から参加しています。大手のゲーム会社が集まって作る実行委員会が運営しているのですが、当社もそのメンバーの一員として参画しています。昨年は、イベントがオンライン配信になる等、時代の流れに合わせてスタイルは移り変わりますが、当社も大手ゲーム会社と一緒にイベントの継続に知恵を絞りました」（川﨑氏）。

有名なゲーム関連のイベントに企画段階から参加しているフロントエンド。それもそのはず、事業構成でいえば「プロモーション」や「イベント制作」が同社のメイン。売上の約6割がプロモーション&イベントなのだ。

「1997年に個人事務所を立ち上げて、大手広告代理店に業務委託で常駐する形で働いていました。プロジェクトを進める中でイベント制作の外注先にするために法人化。その後、クロスメディア事業を手掛けることになり、当社でもWeb制作を請け負うことにしました。現在もプロモーションがメインで、イベント制作やWeb制作は、プロモーションの一貫として手掛けています」（川﨑氏）。

フロントエンドは、川﨑氏を中心にした少数精鋭の会社。現在は、プロモーションチームとWeb制作チーム、ともに3名体制で臨んでいる。今回、Web制作チームの一人が抜けることになり、Webデザイナーを急きょ募集することになった。

「Webデザインに止まらず、ディレクターやプロデューサー志望の人を求めています。Webデザイナーのスキルを生かして、キャリアを広げたい人には色々と学べる場を提供できます。サイト制作でも単に依頼内容を形にするだけでなく、現在のサイトのアクセス解析をし、その結果に従って企画を考え、サイトの設計、デザインをしてコーダーに指示を出して制作のスケジュールを管理するといった、幅広い仕事が経験できます。コーディングを含めたWebデザインの基本スキルがあれば、マーケティングやディレクションについては学べる環境があります」（川﨑氏）。

大手企業との長期的な仕事がメインで、直取引でもあるため、Webサイト制作においても、マーケティングやプロモーション、ブランディングのスキルを磨くことができる。クライアントの社内に常駐しているメンバーもいることから情報共有ができており、企業が抱えるWebやプロモーションにおける課題をリアルに知ることができる。

「大手企業のWeb戦略を現場で体感できるチャンスはそう多くはありません。大手広告代理店が手掛けるような案件に携わる機会があり、貴重な経験を積むことができます。既存クライアントの仕事が8割で、その間を縫って単発の仕事が入るため、年間スケジュールが決まりやすく、クライアントの無理難題に振り回されて残業が増えることもありません」（川﨑氏）。

15年以上、Web制作を続けてきたフロントエンド。だが、一般的なWeb制作会社と性格を異にするのは、繰り返しになるがクライアントとの長期的な関係を土台にした「サイト運用」をメインにしている点だ。

サイト運用と聞けば、Web制作のように“モノづくり”の楽しさを味わえないように感じる人もいるかもしれないが、むしろサイト運用こそクリエイティブ精神が試される仕事だと川﨑氏は語る。

「作って壊すサイトを作りたくない、それが当社の根底にある思いです。意味のある物、価値のある物を作り、それが評価されて次に繋がる。営業が取ってきた仕事をひたすら制作し続ける仕事では得られない“充実感”があります。クライアントやエンドユーザーとコミュニケーションができる仕事です」（川﨑氏）。

フロントエンドは、思っていることを自由に発言できる会社。「クライアントの利益」を追求する姿勢には、クライアントへ適切な提案、的確なアドバイスを伝える義務があると考える。

「社員には、なぜを大事にするマインドを求めます。上手くいった時でも失敗した時でも『なぜ？』と問い掛ける視点が重要です。自分の中で答えを持ちつつも、第三者の視点で『なぜ？』と問い掛ける。クライアントに対しても『なぜ？』と問い掛ける。そうすれば、クライアントからの質問にも即答できる人材になれます」（川﨑氏）。

現状のスキルや経験よりも「なぜ」を大事にするマインドが、フロントエンドの採用ポイント。足りない知識や経験は継ぎ足せる。探求心があれば年齢も関係ない。色んなことを納得できるまで追求したい人にはピッタリな職場といえるだろう。

「クライアントのニーズに対して疑問を投げ掛けて、一つひとつ意味のあるものにしていくと結果に繋がり、それは信頼になります。そうしてクライアントのために働いていれば、営業は必要ありません。大手を中心とした広告代理店の繋がりや、クライアントからの紹介で依頼がきます。その頂いた依頼に一つひとつ丁寧に向きあって全力を尽くせば、必ず次に繋がります。これは当社の揺るがない信念です」（川﨑氏）。

これから入社する人にも、会社あるいは自身の個人的なノウハウやスキルを、積極的に分け与えたいと川﨑氏は願っている。敏腕ディレクターとしてプロモーションやイベント制作、Webディレクションを、業界の最前線で手掛けてきた川﨑氏が、これまでのフロントエンドの顔役だった。これからは、川﨑氏の意志を受け継いだ若い人材が、フロントエンドの顔役になって、クライアントのために情熱を傾ける会社に変貌を遂げる。