e-Janネットワークス株式会社

e-Janネットワークス株式会社が開発・販売する「CACHATTO（カチャット）」は、法人向けのリモートアクセスサービス。PCやスマートデバイスなどマルチデバイスに対応し、データを端末に残さないセキュリティを実現。リモートアクセスを統合的に認証・制御できるテレワークプラットフォームとして、多くの企業・自治体で採用が進んでいる。

CACHATTOの最大の特徴は、セキュアなテレワーク環境を構築できる点にある。VPNを使わない独自の接続方式で、会社のPC内部にあるデータを外部から閲覧・更新できる。

「CACHATTO SecureBrowserを使えば、端末に閲覧した情報を残さず、データを持ち出せないため、端末の盗難や紛失による情報漏えいリスクを極小化します。コピー&ペースト、スクリーンショット（画面メモ）、ファイル（メール添付、ポータルサイト内、ファイルサーバー内）の端末内への保存、持ち出しを禁止ですから、会社の外からデータを使っても、情報が漏えいするリスクがありません」（代表取締役・坂本史郎）

e-Janネットワークスは2000年の設立以来、「CACHATTO」を中心としたリモートアクセスソリューションの開発に取り組んできた。スマートデバイス向けのリモートアクセスツールとしてトップシェア。2024年8月時点で累計1600社80万ユーザーが利用。12年連続シェアNo.1だ。

「セキュアな仮想ワークスペース（サンドボックス領域）をクライアントとなるPCのローカル上に一時的に生成。その仮想ワークスペース内で各種アプリケーションを利用、社内システムやクラウドへの安全なアクセスを実現しています。VPNで社内接続させにくい個人所有のPCや取引先のPCといった『管理外端末』からのアクセスに最適なソリューションです」

CACHATTOの要素技術を応用して、隔離領域とVPN機能の組み合わせによりセキュアなハイブリッドワークを実現するデータレスクライアント「CACHATTO SecureContainer」を開発。
VDI、DaaS、リモートデスクトップいずれも不要で、PC上の隔離業務領域のデータ保護と業務終了時のデータ削除により、端末からの情報漏洩を防止するデータレスクライアント。サーバーを公開しない独自のVPN接続機能を搭載しており、セキュアなクラウド/オンプレミスへのアクセスを提供。PC業務環境をデータレスクライアントにすることで、セキュアなハイブリッドワークを実現している。

万全のセキュリティを施したテレワークプラットフォームを提供するe-Janネットワークス。2000年の創業以来、一貫して新しい働き方を実現するソリューションを開発してきた。創業者の坂本氏は、1986年早稲田大学 理工学部 機械工学科を卒業し、東レ株式会社 に入社。1995年にはバージニア大学 ダーデン校でMBA取得。2000年に株式会社いい・ジャンネットを設立した。

「創業した当時はインターネット黎明期。1999年にiモードが登場し、モバイルデバイスでインターネットにつながる革命的な出来事でした。東レでiモード用の素材開発をしていた私は、場所を問わずにインターネットにアクセスできることに衝撃を受けて、インターネットが自由な働き方を実現する直感し、東レのベンチャー支援制度を活用して起業しました」（坂本氏）

創業して最初に開発したのは、複数のメールアドレスで送受信しているメールを一括保管する「メールポインター」。2002年には、社内メールを携帯電話で閲覧できるリモートアクセスサービスを開発。これがのちのCACHATTOの元となる製品だ。

さらに、2008年には、CACHATTOがソフトバンクより日本で発売されたiPhone 3Gに対応。いち早く先進的なデバイスに対応してきた歴史がある。

「新しい物が好きな私は、常に最先端の技術に目を光らせています。当時、日本で発売されていないiPhone2Gを、研究・開発用に持っていました。ソフトバンクがiPhone 3Gの取り扱いを検討しているときに、iPhoneの実機が手元にないからと、当社のiPhone2Gを借りに来たこともあります」

ーーーーーーーーーー

時代の一歩先を見据えて、次世代の社会に必要な製品や機能を開発してきたe-Janネットワークスと坂本代表。現在も先進的な取り組みを手掛けており、最近はRaspberry Piを搭載したキーボードを応用できたという。

「PCのキーボードにRaspberry Piを搭載したものに、HDMIでつなぐとテレビがパソコンとして使用できるソフトを開発しました。CACHATTOやNinjaConnectがあれば、キーボード端末さえあれば、どこでもデスクトップ環境が再現できます。例えば、ChromebookもCACHATTOやNinjaConnectで会社のPCにアクセスすれば、Windows端末に変身します。使い慣れたWordやExcelで作業ができ、Chromebookだから安価で手に入ります」

柔軟な発想でユニークなソリューションや製品を数々と世に送り出してきたe-Janネットワークス。社内の諸制度でもさまざまな新しい取り組みにチャレンジしてきた歴史を持つ。

東京オフィスで開発に携わるエンジニアの半数を外国人が占める会社でもあることから、業務時間内に講師を招いて語学の個人レッスンを受けられる試みをしていた。日本語・英語・中国語の語学レッスンが無料で受けられる。

「外国人エンジニアがたくさんいるからコミュニケーションを活発にするため、語学レッスンを社内で受けられるようにしました。私も英語と中国語のレッスンを受けていました。そのほかにも、農家から有機無農薬野菜を送ってもらい、半額で社内販売するなど、コロナ禍でオフィスに出社できなくなるまでは、あれこれと取り組んでいました」（坂本氏）

コロナ禍になってテレワークを導入。自社製品を活用した新しいワークスタイル「e-Janワークスタイル」に関する情報を、ブログなどで発信している。

e-Janネットワークスでは、ハイブリッドワーク手当を支給。テレワークの日は光熱費として、出社日にランチ代の補助として一日500円、トータルで15000円/月が手当として支払われる。

「一人頭月に15000円程度支給していますが、通勤手当がかからなくなった分をテレワーク手当に充てています。テレワークをはじめる前に、テレワーク環境を整えるための費用として一人10万円を支給しました」

さらに、出社する社員が減ったことを受けて、東京本社と西日本営業所の2拠点をシェアオフィス WeWorkに移転。高知テクニカルセンターのオフィスも拡充して、ワーケーションに使える環境を整えた。

「働き方をアップデートするために、当社ではワーケーションを推奨しています。ワーケーションでの経験を製品に反映させることもでき、何よりも本人の気分と発想の転換になります。外国籍の従業員はワーケーションを絡めて長期で帰省することが可能です。」

今年度は、他拠点メンバーとの交流を目的とした取り組みが始まり、東京、高知、大阪にあるオフィスに出社すれば、往復の旅費（5万円）や宿泊費（一日3000円）の補助を出している。

「東レの社員時代、出張が多くて、そのおかげでいろんなことを体験できました。社員にも同じ体験をしてほしいとの思いから、資金的な補助をする仕組みを作りました。ワーケーション先で社員同士が会って、コミュニケーションが生まれれば、働きがいのある会社になれます。2021年10月から本格的にワーケーション制度が稼働。既に2割の社員が活用しています」