教育の質向上を実現するため、積極的にIT化を進展
学校法人河原学園は、愛媛県と愛知県を中心に、大学・大学院1校、専門学校10校、高等学校3校、幼稚園等を擁する西日本最大級の総合教育法人グループだ。「高度な専門教育」、「職業意識の向上」、「生きる力」を育むことを教育方針に据え、地域に貢献できる学生の育成に力を入れている。その成果の一端は、国家試験や検定取得等で全国トップレベルの実績を多数持っていることからも窺い知ることができる。
ただし、私学の教育機関を取り巻く環境には厳しいものがある。18歳人口の減少により2023年か2024年には名実共に大学全入時代に突入するといわれており、高等学校においても統廃合を含む学校再編が大きなテーマの一つになっているからだ。このような背景から学生の定員数を確保できない学校が数多くあるのも事実である。その中において、河原学園が運営母体となっている人間環境大学は毎年入学定員を満たしており、同様に各専門学校も多くの志願者を集めているという。
その理由の一つに「教育の質向上へのたゆまぬ挑戦」があると教務部長の芦澤昌彦氏は語る。
「多くの企業や業界、有識者等のニーズや意見を反映してカリキュラム・シラバス・コマシラバス(一時間ごとの授業計画書)の改善を定期的に実施しています。また、連携した学外実習を積極的に行うことで、目指す職業の高度な知識、技術を身に付けて質の高い就職を実現している点や、知識や技術を身に付けた卒業生達が社会へ出て活躍している姿を見て、安心して当校を選んでくれているのだと思います」
さらに、「データサイエンスをはじめとしたIT技術を積極的に活用している」点も教育の質向上に役立っていると芦澤氏は続ける。
「例えば、定期的に実施している小テストを集計し、データサイエンスによって分析することで効果的な授業の方法を模索する等、教員の主観や印象ではなく、データから最適な学習支援施策や授業改善策の立案・実行に役立てています」
2021年度後期からは『人間環境大学』に学習管理システムを導入。出席簿管理や学習の進捗状況の管理をデジタル化して学生の状況を的確に把握できるインフラを整備した。加えて、2022年度に開設した総合心理学部ではクラウド上に仮想PCを構築し、複数のパソコンから仮想デスクトップを使えるようにして利便性を向上、通信制の未来高等学校ではオンラインコースを設ける等、デジタル時代の教育ニーズに応えるべく教育インフラ整備に積極的に投資している。
ただし、どれほど立派な器を用意しても、使いこなせるかどうかは人材にかかってくる。多様な教育支援システムも必要に応じて改善・改修、メンテナンスしなければ機能を100%発揮することは叶わず、データサイエンスも収集した生データを分析に適したものへ加工・処理できる人材がいなければ、成果を生む分析結果は得られない。そのため、「河原学園全体のIT化を支え、教育の質向上に一緒に取り組んでいける仲間」を求めているのだ。