ブライトコンサルティング株式会社

ブライトコンサルティング株式会社は、20年近く外資系のネットワーク機器ベンダーで活躍してきた代表取締役の田口広明氏が、自らの経験を生かすべく、2018年5月に設立した。ITコンサルティングを手掛ける中で、クライアントのニーズに合わせた事業を幅広く展開。豊富な人脈を駆使した新規事業も次々と打ち出している、ユニークなIT企業だ。

現在の同社のメイン事業は、BPO(Business Process Outsourcing）事業とSES（System Engineering Service)事業。どちらも外資系IT企業をメインクライアントにしており、田口氏が築いてきた経験と人的ネットワークが生み出したビジネスといえる。

「ITコンサルティングといっても、実際にクライアントが現場で抱えている課題を現実的に解決するのが当社のスタイル。クライアントの要望に従って、業務の一部をアウトソースで受けたり、エンジニアを常駐させたりしています。これまでの付き合いで信頼関係を築いている企業が取引先ですので、クライアントとは良好な関係を築いています」（田口氏）。

SES事業を手掛けているが、それをメインに会社を成長させる予定はないという。クライアントのニーズに応える形でエンジニアを集める中で、SES事業の問題点を知り、単なるエンジニアサービスの提供で会社を拡大させるのではなく、より効率的にSES事業を展開する方法を模索していく。

「SES事業をしたくて会社を設立したわけではありません。あくまでもクライアントのニーズに応えるために客先常駐するエンジニアを集めたわけで、やみくもにSES事業を拡大しようとは考えていません。ただ、他のSES業者と連携し、リソースの融通を図っていくため、システム開発力を生かし、SES事業者間の案件共有、人材の融通を行うプラットフォームを開発することも視野に入れています」（田口氏）。

ブライトコンサルティングでは、サーバー/ストレージの保守部品を販売するためのECサイトも運営している。SES事業だけで会社の拡大を目指すのではなく、自社が持つナレッジやネットワークを最大限に生かして幅広く事業展開するためだ。

「サーバー/ストレージの保守部品の販売も、始めたばかりでどんな展開になるかは未知数。販売だけでなく、取引をきっかけにサーバー/ストレージの構築・保守・運用を受託するのをメインにするかもしれません。柔軟な発想で事業ポートフォリオを組み上げていきたいと考えています」（田口氏）。

ブライトコンサルティングは、設立してまだ4期目に入った若い会社だけに、BPOとSES事業を柱にしながら、新規事業を積極的に展開する計画だ。新規事業の具体的な内容を少し追ってみたい。

AI顔認識サーモカメラ『VT-360』を自社運営ECサイトで販売している。瞬時に複数人の体温を同時測定可能で、外部PCを必要とせず電源があればすぐに設置・測定が始められる。レンタルにも対応しており、レンタルなら初期費用なし、月額料金のみで利用できる。

「台湾のVBOT Technology社のAI顔認証サーモカメラに、自社開発のソフトウェアを組み込んで販売していきます。知り合いに紹介されて代理店契約を結び、日本での販売を当社が担当しています。高いテクノロジーを有する会社の製品なのですが、マーケティングやセールスには強くないため、当社が日本市場での開拓を主導します。既にLPも完成し、今期から営業活動に本腰を入れていきます」（田口氏）。

AI顔認証サーモカメラのほかにも、海外製品の代理店事業を展開予定。米国SecqureOne社のサービス、ソフトウェアを販売するサイバーセキュリティ事業だ。

SecqureOne社は、シリコンバレーを拠点とする、サービスのプロバイダー。サイバーセキュリティ/プライバシーおよびコンプライアンスに関するソリューションを提供している。過去14年間にわたり、ヘルスケア、銀行、金融サービス、保険、政府、小売、製薬、製造、テクノロジー、エネルギー等、様々な業界にサービス提供してきた実績を持つ。

「当社とSecqureOne社のセキュリティ専門アナリストが、クライアントのセキュリティ環境を分析し、最適なセキュリティ対策を提案します。24時間365日体制でネットワークやデバイスを監視し、サイバー攻撃の検出や分析、対応策のアドバイスも手掛けます。SecqureOne社がオフショアでインドに持つ『Security Operation Center』を活用するので、導入企業は運用コストを抑えられます」（田口氏）。

さらに、英国1stZoom社のAI画像認識技術を活用したソリューションの代理店事業も計画が進んでいる。AI顔認識、不審者検出、店舗での顧客行動パターン分析等、監視カメラの映像を解析し、分析を行うソフトウェアと顧客の需要に合わせたカスタマイズサービスを提供する予定だという。

「日本での総代理店契約を締結する予定です。2021年10月に予定されている展示会では、AI顔認証サーモカメラとSecqureOne社のソリューションと併せて、来場者へソフトウェアと技術の紹介を行う予定です。AI画像認識で業界をリードする国内の大手ベンダーに対抗しうる技術力と価格競争力で勝負します」（田口氏）。

ブライトコンサルティングの強みは、何といっても田口氏が信頼をベースにこれまでに築き上げた人脈だ。加えて、柔軟な発想で事業ポートフォリオを組み立てている点も、同社の将来性を決定付ける要因といえよう。

「事業の種を蒔いているフェーズです。おかげ様で過去の仕事であちこちから引き合いをいただき、取引先を紹介してくれる人もいて、事業の種がどんどん集まってきています。外資系のIT企業で働いてきたこともあって、海外の製品や人脈には恵まれています。まずは種蒔きをして、社員と一緒にそれをしっかりと育てていきたいです」（田口氏）。

事業ポートフォリオの組み立てに関しては、ITの枠さえ超える柔軟性を持つ。日本のワイナリーを紹介したオウンドメディア『日本ワインなび』の運営も手掛けているというから驚きだ。

「趣味で始めた事業ですが、ブランディングに力を入れた結果、収益化に成功。今後はブライトコンサルティングの事業として引き継いで、より多面的に事業展開する予定です。付き合いのあるワイナリーのワインを販売するECサイトの立ち上げ等、ビジネスの種は沢山あります。いずれは社員のアイデアも事業化したいと考えています。積極的に意見やアイデアを出してくれるメンバー大歓迎です」（田口氏）。

外資系企業で長く働いてきたこともあって、ブライトコンサルティングは、フランクな人間関係とチャレンジを歓迎する、自由な社風を持っている。とはいえ、外資系企業のようにドライな人間関係ではなく、田口氏を中心にフランクな人の輪が広がっている、働き心地のいい会社である。

「まだ小さな組織ですから、個人の力が重要。新入社員でもどんどん活躍してもらいます。これまでに培った経験を生かして働くだけでなく、新しいことにもチャレンジしてほしいです。なんなら当社で経験を積んで独立してください。事業が立ち上がるフェーズでは、みんな役割は持っていても、そこに固執していたらスピーディーに成長させられません。未経験の仕事にも積極的に取り組むことで、スキルアップを図ることができます」（田口氏）。

外国の企業と取引があることから、英語を使う機会もあり、残業は少なく、テレワークでもオフィスワークでも自由に選べる環境を整えている。

「働き方はそれぞれのメンバーが自分なりのスタイルで進めてくれれば問題ありません。やるべきことは明確ですから、結果を出すやり方は自由でいいと思っています。事業の関係上、秋葉原にオフィスを構えていますが、毎日、出社するメンバーもいれば、フルリモートで働いている社員もいます」

柔軟な発想で事業を広げ、自立した社員がそれぞれの個性を生かして働いているブライトコンサルティング。今後のキャリアパスに悩むエンジニアにとって、同社は自らのキャリアの先を開いてくれる会社となるかもしれない。