株式会社コア

国際会議や学会、展示会といった各種コンベンションの主催・運営者向けアプリを軸に、多彩なITソリューションを提供する株式会社コア。主力の医学系学術会議運営アプリでは、ユーザー数30万人を超える検索システムをはじめ、利用実績No.1のコンベンションアプリを多数開発し、MICE（学会、展示会、各種イベント等の総称）関連システムの領域で国内でも屈指のシェアを確保している。今後も長期的な視野で「IT×コンベンション」領域における開発体制の強化を目指す同社は、山口にじっくり腰を据えて開発に取り組みスキルアップを目指す意欲的なエンジニアを求めている。

山口県に本拠を置く同社が、世界中の学会関係者に支持される先進的なソリューションを生み出すまでには、広告・映像制作に始まり、国体や展示会といった各種大型イベントやプロモーションの企画・運営、そして官公庁や大学、地場企業向けの幅広いITソリューションと、段階を追って事業領域を広げてきた歴史がある。設立は1984年。地場大手印刷会社の企画部門が独立する形で誕生し、多様なオファーに対応しながら得意領域を広げ、「広告×IT」という幅広い領域をカバーするソリューションカンパニーに成長した。近年では広告・イベント業界関係者にとどまらず、山口県内外で広く知られた存在となっている。

IT領域への進出は1990年前後。マルチメディアという言葉が世にあふれ、企業や官公庁が競ってHPを開設し、ITを活用した新たなサービス開発を模索する時代のニーズに着実に応えながら実績を伸ばした。取引先には山口県、山口市、山口大学をはじめ、官公庁や大学、山口県を代表する企業が名を連ねる。

現在、ITソリューション部の主力になっているコンベンション向けシステムの開発に乗り出したのは、2008年頃。
「きっかけは、電子シラバス検索システムの開発を通じて以前からお付き合いのあった大学医学部からのお声掛けに応じて、医学系学会の運営を効率化するWebシステムを開発したことです。今から振り返れば機能が限られたコンパクトなシステムですが、数百から数千にも及ぶセッションを演題やキーとなる医学用語から検索できるシステム等、今に続く当社のコアな強みが既に形になっていたのも事実。当時、国内ではほとんど前例のないシステムとあって、MICE業界の多くの企業の目に留まり、技術提携のオファーが相次ぎました」（取締役ITソリューション部長　柴崎敏紀氏）。
その中から、業界最大手企業とのアライアンスがスタートし、現在に至っている。

学術会議をはじめとする国際会議や各種コンベンションは、大規模な会場を借り切り、数万人もの参加者を集めて数日間にわたって開催される一大イベントだ。会員や参加者の管理、プログラム編成はもちろん、セッション検索やスケジュール管理、フロアマップからセッション会場を瞬時に探す等、システム化のニーズは極めて幅広い。同社はそうしたニーズに着実に応えながら開発対象を拡大し、現在ではコンベンション運営に直接関わる多様なシステムに加え、セミナーやイベント等の参加登録システム、各種申込&投稿システム、座長（司会者）を依頼する際に用いる申請システムに至るまで、コンベンションシステム開発全体をトータルに手掛けている。

「手掛けるアプリはiOS、Android、Webのマルチデバイス対応。顔認証システムやチケット発券による入退場管理システム等、システムの内容も年々進化しています。2020年春頃からのコロナ禍にもいち早く対応し、オンラインによるコンベンションシステムを短期間でローンチ。オンラインとリアルを組み合わせたハイブリッドシステムもラインナップに加え、従来と遜色ないイベント運営が可能になったと、クライアントからも参加者からも高く評価されています」（柴崎氏）。

医学系学術会議にフォーカスして開発体制を強化してきた同社だが、近年では豊富な技術蓄積を生かし、法曹、自然科学など医学系以外の学会、多彩な業界の展示会、各種スポーツイベント等、対応実績は着実に広がっている。今後とも最新技術にリアルタイムでキャッチアップし、コンベンション運営のあらゆるニーズに応えながら、開発力をさらに強化していく方針だ。

一方で、同社は山口県下唯一のAWSパートナー認定企業でもあり、クラウドを活用したCRMやサーバ構築・保守の実績も豊富だ。官公庁・大学・企業等のWebサイト、各種アプリやシステムの構築といった従来から手掛けてきたソリューションにも引き続き注力していく。

同社のスタッフは総勢40名。うち半数近くを、ITソリューションを手掛けるエンジニアが占めている。その7割までが中途入社のメンバーで、首都圏や関西からUターンしてきた社員も目立つ。

「中途入社の社員には、首都圏でエンジニアとしてキャリアを積んで、30歳前後で人生設計を見直し、都会を離れて地方で新たなエンジニア人生を築きたいと考えた結果、当社に出会ったという人が多いですね。山口県出身者のほか、配偶者が山口出身で、山口が気に入って家族で移住してきた社員もいます」（柴崎氏）。

同社が本社を置く山口市中園町は、行政がIT推進と文化・芸術発信の重点地区に位置付けているエリア。芝生の緑が美しい広々とした公園に面して、イベントホールや図書館、単館系の作品を中心に上映する映画館等を備えた複合施設やカフェ、ケーブルテレビ局等が点在し、洗練された空気を醸し出している。また同社が入居するビルの同じフロアには、同社が運営するクリエイター育成スクール『デジタルハリウッドSTUDIO山口』があり、情報感度の高い若い世代を引き付けている。

「山口市にゆかりの深い人であれば、“ああ、あそこか”とピンとくるエリアです。山口市の中心部なので利便性も高く、申し分のない開発環境と自負しています。社員の定着率も入社3年時点で95%と、この世界では異例ともいえる高さです」（柴崎氏）。

高い定着率は働きやすさの証でもある。年間200件に上る開発案件単位でプロジェクトを組む自社開発を貫いているため、転勤や派遣は一切ない。リモート勤務の仕組みも整備されていて、昨年の緊急事態宣言発令下では全員在宅勤務の完全リモートも実施済みだ。
「中には、出産を控えた配偶者を支えたいからと、リモート勤務を続けているエンジニアも。個々の事情に応じて柔軟な勤務形態を選べるのも、当社の働き方の特長です」（柴崎氏）。

ちなみに服装に制約は一切なく、各自が思い思いのカジュアルモードで開発に臨んでいる。東京のクライアントとのやりとりはオンラインが主体。コンベンション当日の立ち合い等、全国各地への出張も時折入るが、スタッフには「いい気分転換にもなる」と好評だ。

エンジニアに対するサポートも手厚い。例えば社員教育予算の使い方は“意欲本位”。参加したいカンファレンスや勉強会があれば、自己申告の上、必要な費用が支給される仕組みだ。その結果、AWS関連資格やSNSエキスパート検定、Webアナリスト検定等、多数の有資格者が在籍している。また山口子育て応援企業に登録している同社は産休・育休制度の充実度が高く、県知事表彰も受けている。育休後に職場復帰する“ママエンジニア”も少なくない。

エンジニアの新たな意欲を引き出しているのが、2020年4月に導入されたエンジニア手当。月額1万5,000円から最大20万円まで、個々の実績や能力に応じて毎月給与にプラスされる。「現時点では、最大で月額12万円。査定を通じて設定額が毎年更新されるので、みんな今まで以上に前向きに頑張ってくれています」（柴崎氏）。

暮らしやすい山口で、業界最先端のアプリ開発に挑む。山口にゆかりのあるエンジニアはもちろん、そうでない人も含めて、一考の価値がある選択といえるだろう。