不動産賃貸物件約263万戸に導入される住生活支援サービスで急成長を果たす
アパート・マンションなどの不動産賃貸物件の、管理会社とその物件の入居者をつなぐシステムを開発・運営するパレットクラウド株式会社。同社は、「住まいに不安のない国へ。」という理念を掲げ、不動産関連事業者の業務を支援するサービス、そして入居者の快適な生活を実現するサービスという2つの要素を事業の柱としている。前者の管理会社向け入居者管理システム『パレット管理』は、業界トップシェアの企業をはじめとした契約社数が30社を超え、日本全国に約800万戸と言われている賃貸物件に対し、263万戸を超える物件管理に導入されている。住環境サービスプラットフォームとしては、まさに国内トップクラスの存在となっている『パレット管理』だが、2016年の事業開始から短期間で急成長した要因はどこにあるのか。サービスの特徴に関する側面も含め、同社の人事総務部シニアマネージャ・眞鍋氏に話を伺った。
「プラットフォームである『パレット管理』は、管理会社と入居者がコミュニケーションを取る上で必要な機能を、自由に組み合わせて利用できる点に大きな特徴があります。たとえば、新規入居者向けのマニュアルをPDFでお渡しする機能、問い合わせ対応のためのオンライン窓口機能、契約更新や解約手続きに関する機能など、管理会社ごとに必要とする機能には違いがあります。それを組み合わせられるという利便性に高い評価をいただき、賃貸管理業界最大手の企業やハウスメーカーの賃貸部門での導入を実現してきました。本来、紙のやり取りを対面や郵送で行ったり、なにか確認や問い合わせをする際は電話が必要だったりと、管理会社も入居者もコストが掛かるような手続きが多くありました。そういった点をシンプルにDX推進できる、それがこのサービスの成長要因となっています」。(眞鍋氏)
日本国内における賃貸管理会社の数は、小規模な事業者を含め約5000社以上が存在しているが、その中で管理物件数が1万戸を超える大手事業者様は約100社。同社の取締役CFOである宮嶋氏は、その約100社の中で管理物件数が上位となっている企業との契約が、同社の飛躍を後押ししていると語っている。
「業界トップの管理会社で約100万戸、それに次ぐ企業で約60万戸という管理物件数になっていますが、当社の『パレット管理』はその2社にも導入いただいています。そうした大手企業との契約によって、このサービスが広く展開できていますし、そのサービス利用者となっている入居者数のスケールメリットは、アドオンサービスの利用者増を見込める魅力にもつながっていると思います。」(宮嶋氏)
「Daigasグループ」への参画による事業シナジーで、生活者により快適な暮らしを
ここで宮嶋氏が語るアドオンサービスというものが、同社のもう一つの事業の柱である賃貸物件入居者向けのサービスである。現在展開されている『パレット電気』は、生活者が低価格の料金プランで電気を利用できる仕組みを構築したサービスであり、電気事業者との協業により入居者にメリットを提供するものとなっている。こうした他社との協業によるサービスの拡充を図っていくというのが、今後の同社の事業方針だと眞鍋氏は語っている。
「『パレット管理』の展開によって、当社には物件の情報や契約者に関する膨大なデータが蓄積されています。そのデータを活用することで、私たちは入居者の方々の生活を便利にするサービスを企画し、さまざまな業種の企業とコラボレーションをしながら事業を拡大させることができます。今後は、電気に加えガスなどのインフラ関連事業、IoTを活用したスマートロック機能の展開など、より入居者の身近な部分に直結するサービスに注力しながら、生活を便利にする事業を形にしていきたいと考えています」。(眞鍋氏)
こうした方針のもと、新規のビジネスパートナー開拓を積極化している同社だが、その取り組みに加え、2020年10月からは大阪ガス株式会社が2018年にスタートさせたグループブランド「Daigasグループ」にも参画。電気やガスといったインフラ・エネルギー関連企業のほか、情報ソリューション事業やセキュリティ対策事業、福祉事業を手掛ける企業にいたるまで、さまざまなビジネス領域にまたがる企業群を形成しているのが同グループの特徴だ。同社としては、グループ内の企業との事業シナジーによって入居者の生活をより便利に、より快適にしていきたいという思いを持っているが、その具体的な取り組みについて、宮嶋氏が事業アイデアのいくつかを紹介してくれた。
「新規の事業として考えているものとしては、1つは『パレットPay』という決済サービスです。賃料のほか、電気・ガス料金やインターネット利用料金など、住生活に関する費用をまとめて請求し、アプリ上で可視化できるというサービスです。それ以外にも、入居の際に必要となる保険手続きに関する利便性を高めるもの、IoTを住生活に活かすものなど、いくつかの構想がありますので、今後はそれを実現するための取り組みを進めていきます。その取り組みに必要なのが、サービスを形にしたりパートナーの新規開拓という役割を担うビジネスサイドの組織強化、そして実際にシステムを構築・開発する役割を担うエンジニア組織の体制強化だと、私たちは考えています」。(宮嶋氏)
チャレンジを歓迎する環境でビジネス視点を重視したエンジニアとして活躍
現在、約40名の従業員数となっている同社の体制において、開発業務を担うエンジニアが約半数を占めている。そのエンジニアたちは、同社の開発環境にどんな魅力を感じているか、人事を担当している眞鍋氏に聞いてみた。
「当社では、フロントエンド、バックエンド、AndroidやiOSといったモバイルなど、開発する領域やプロダクトがおおまかに分かれていますが、取り組む業務に関してはエンジニアの興味や関心を重視しているところに特徴があると思っています。専門領域に特化してスペシャリストを目指すことはもちろん、自身の市場価値や業務の効率化を図るためにフロントエンドの担当者がバックエンドの業務も経験してみるなど、それぞれのキャリアイメージに合わせてチャレンジできる環境となっているのが魅力なのではないでしょうか。また、住環境に関する個人情報を扱う業務も伴いますので、セキュリティを意識した設計や開発・ヒューマンエラーが起こりにくいセキュアな運用を実現しないといけないという部分が、難しさでもあり楽しさでもあると思います」。(眞鍋氏)
眞鍋氏は、自社のエンジニアたちが「ビジネス的な視点を持って業務に取り組んでいる」という共通意識も挙げている。
「技術面や自身のキャリアに関する価値への興味だけではなく、ビジネスとしての可能性や事業の発展性にも向き合っているというのが、当社のエンジニアの特徴だと思います。時事的な問題やニュースにもしっかりとアンテナを張っている人も多いですし、そういう姿勢はゼロからイチを生み出しグロースさせる当社の事業には不可欠なものです。ビジネスパーソンとしてしっかりとした土台があるからこそ、そこから課題の発見ができる、さらにはエンジニアとしてその課題の解決ができるというサイクルが実現できているのだと思います。」(眞鍋氏)
スタートアップのベンチャー企業として位置づけられる同社に、これから入社を目指す人材に伝えたいことは何か。最後に眞鍋氏、宮嶋氏の2人からメッセージを送ってもらった。
「人々の生活を取り巻く『衣・食・住』のうち、『住』に関してはまだまだビジネスとしてのチャンスがあると私は思っています。大きなインパクトを与える画期的なサービスだけではなく、小さな幸せや利便性に着目したサービスを積み重ねることでも、世の中を変えることはできます。ぜひ当社で、やりがいある業務に取り組んでいただきたいですね」。(眞鍋氏)
「当社は、いわゆる第二の創業期に入った段階。そのスタートに立ち会うという意味では、ぜひ意欲的な方々に参画していただきたいというのが私の願いです。当社のエンジニアとして、地に足の着いた着実な仕事を通して成長していただきたいと思います」。(宮嶋氏)