暮らしを豊かにするすべての物を消費者に届ける「川」になりたい
『リビングート』、『インテリアパレット』、『お弁当グッズのカラフルBOX』など、生活雑貨や家具・インテリアに特化したネットショップを展開しているリビングアンドヘルス株式会社。「暮らしを豊かにするものを届ける川になる」というミッションの下、国内の主要なショッピングモールに計10店舗を出店し、2005年の創業以来、急速な勢いで成長を続けている。
同社はもともと、滋賀県で長年の歴史を持つ生活用品の卸問屋が母体となって立ち上げられた会社だ。代表取締役社長の梶本幸伸氏は、創業の経緯をこう語る。
「日本をはじめ世界には、ユニークな生活用品を製造しているメーカーが多数ありますが、そこで開発されている商品の中で、小売店の店頭に並ぶ商品はごく一部に限られています。当社は卸問屋として多くのメーカーと共に歩んできましたが、どれだけよい商品でも販路が開けなければ消費者の目に届かない状況にもどかしさを感じ、もっと多くの商品を消費者の方々に見てもらえる場を作りたいという思いから、ネットショップを立ち上げました」。
同社が運営するネットショップの最大の特徴は、自社在庫を持つ商品だけでも4万アイテムにのぼる圧倒的な品ぞろえだ。仕入れる商品をバイヤーが選別するのではなく、取引先で製造されている全商品を取り扱うように心掛けているという。人や環境に害のある商品は厳しくチェックして排除するが、デザインや機能のよしあしを判断するのはあくまでもお客様。売れ筋の商品だけでなく、カラーやサイズ違いなどのバリエーションも含めてすべての商品を取り扱い、各商品の特徴や作り手の思いをありのままに伝えることを大切にしている。
「私たちのお取引しているメーカーは独自の販路を持たない中小企業が中心で、多くの商品が消費者に紹介されるチャンスのないまま埋もれてしまっています。そういう商品をひとつでも多くご紹介することで、お客様に『こんな商品あったのか!』と、感動してもらえたら嬉しく思います」。(梶本氏)
取引先と取扱商品を年々増やし、大手ECモールに次々と出店を遂げてきたことで、同社の売り上げは増加の一途をたどっている。創業から約15年の間で、月間の売り上げが前年の同月より減少した月はわずか2回。平均すると対前年比120%の勢いで売り上げを伸ばし続けている。今期の売り上げは50億円に届く見込みで、今後もさらなる成長が期待される。
ECサイトの枠を超え、Webメディアとしても充実を
同社はこれまで、取扱商品を増やすことを最重要課題と考え、毎月約1000点のペースで取扱商品を増やしてきた。サイトへの登録作業を効率化するために、従来は商品ページのレイアウトをパターン化していたが、近年はさらなる取り組みのひとつとして、特集ページの制作や、コンテンツサイトの運営にも力を注いでいる。
「取扱商品が増えてお客様に多くの選択肢を提供できるようになった一方で、どれを選べばいいのか分からない、というお客様の声も耳にするようになりました。そこで、お客様の商品選びをお手伝いするために、特集ページの制作や、暮らしにまつわる情報メディアの運営にも、今後はさらに力を注いでいきたいと考えています。私たちが築き上げようとしている『暮らしを豊かにする川』には、これまでたくさんの商品を投入してきましたが、これからは『暮らしを豊かにする情報』も一緒に流すことで、より大きな流れを作っていきたいと思います」。(梶本氏)
同社が運営している生活情報サイト「ハウジー」では、「テレビ周りをスッキリさせる配線の工夫」や、「毎日使えるエコバッグの選び方」などといった、ひとつのテーマについて深く掘り下げた記事を発信している。収納アドバイザーや人気ブロガーによって書かれた記事も多数掲載しており、説得力のある内容が、読者をネットショップへと誘導する新たな窓口となっている。
ネットショップの中でも、特に力を入れて売り出したい商品がある場合には、バイヤー、カメラマン、デザイナーらが集まって、メーカーの営業担当者と一緒に特集ページの制作に取り組むことがある。商品の使い心地を伝えるために動画を取り入れるケースも増えており、ネットショップという枠を超え、メディアとしての新たな力を発揮しようとしている。
読み応えのあるコンテンツを制作するために、同社は今後、Webメディアや雑誌の編集経験がある人材を中途採用で積極的に採用したいと考えている。また、メーカーと共同でオリジナル商品の開発にも取り組んでいることから、商品開発や商品企画の経験がある人材も採用したい考えだ。
「毎年順調に新卒採用を実施しているので人手が足りないわけではありませんが、より魅力的なコンテンツを制作するためには、実務経験豊富な方の力がぜひ必要だと感じています。個人の裁量が大きく、自分のアイデアを生かして仕事ができる環境です。これまでに築いてきたキャリアを存分に生かし、当社に新しい風をもたらしてほしいと思います」。(梶本氏)
誰もが主体的に仕事に関わり成長を実感できる環境
同社では、すべての社員が会社の運営に参画する社内委員会制度を設けている。社内研修を企画・運営する「教育委員会」や、懇親会をとりまとめる「親睦委員会」など6つの委員会があり、さまざまな部署から集まった社員が、よりよい職場環境を作るために意見を出し合っている。中でも特にユニークなのは、「感動委員会」の活動だ。社員同士がアプリを使って感謝の気持ちを伝え合う取り組みを推進し、メーカーから提供されたサンプル商品をチャリティーバザーに寄付する活動も行っている。
委員会は、社員同士の交流の場としても大きな役割を果たしており、委員会での活動が、会社になじむきっかけになったと振り返る新入社員も多い。また、入社2年目や3年目の社員が委員長を務めるケースもあり、若手社員がリーダー経験を積むことができるよい機会にもなっている。
もうひとつ、同社の特徴的な取り組みとして挙げられるのが、社内図書制度だ。全社員が年に2回、読書感想文を書いて提出するルールとなっており、1回出すごとに同社の取扱商品が何でも買える3000円分の社内ポイントが支給される。読書が自然と習慣化することで知見が広がるとともに、自社の取扱商品を自宅で使ってみるきっかけにもなると好評だ。
また、毎週水曜日をノー残業デーと決め、定時から15分以内の退社を呼びかけるなど、社員が働きやすい環境づくりにも力を注いでいる。男性社員の育児参加を推奨するために、妻の出産直後に一週間、必ず育児休暇を取る決まりも設けられた。育休を取得することで、国から補助が得られる他、会社からも10万円の祝い金を支給し、男性社員の育児参加を応援している。
多彩な福利厚生制度が用意されている背景には、「暮らしを豊かにする物」のエキスパートとして、仕事もプライベートも充実させてほしいという会社の思いが込められている。社員に寄せる期待について、梶本氏はこう語る。
「私自身、作り手の思いが詰まったさまざまな商品を見ることが好きで、どうすれば売れるか、流通の仕組みを考える仕事にも大きなやりがいを感じています。そういう思いを共感できる仲間と一緒に、働くことができればうれしいですね。メーカーでは日々新しい商品が作られていますし、EC業界も激しく変わり続けています。私たちも、社員一人一人の成長とアイデアを大切にして、常に新しいチャレンジを続けていきたいと思います」。
問屋業で培ったメーカーとの信頼関係を強みに、生活雑貨と家具の一大マーケットを築き上げたリビングアンドヘルス。圧倒的な品ぞろえをベースに、「探す楽しみ」と「見つける喜び」も提供できるWebメディアとして、さらなる飛躍が期待される。