価値が実証されたサービスを業界ニーズと組み合わせ、新規事業を創造し続ける
株式会社フェーズワンは、“日本の医療を元気にしたい”という理念のもと、次々と新しい手法を駆使し、時代のニーズに沿った形でITを事業に融合させながら、医療業界への貢献を続けてきた。
医師のキャリア形成に影響を及ぼす制度改革があれば、多様な選択肢を提示する転職求人情報サイトを立ち上げる。そして、動画制作の知見を活かした専門コンテンツ配信サービスを開始し、医師たちの成長だけではなく、製薬メーカーのプロモーション支援をも実現する。まさに“医学×IT”というDXの取り組みによって、これまでになかった新しい価値を生み出し続けているのが同社の姿と言えるだろう。
今後については、医学教育プラットフォームの創造に注力していくという。さらに、日本の高度な医療技術は世界から注目されているという事実もあることから、大手商社と業務提携しながらその事業マーケットをアジア・太平洋地域を中心とした海外にも広げていくというのが同社の考えだ。その内容について、取締役・石井氏に説明してもらった。
「ここ数年、新人の医師たちが場数を踏んで手術のスキルを上げることが難しくなり、また手術見学で見て学ぶ機会も減少しています。その状況下で、今後は動画制作ではなく、世界の医師コミュニティ間で教育コンテンツを配信・視聴されるプラットフォームを創り、日々アップデートされるベテラン医師の技術や知見の伝承を非対面でも可能にしたい。」(石井氏)
この取り組みも、従来の医療業界、そして医療関連ビジネスの世界にはなかったものである。しかし同社の事業開発手法で注目すべき点は、VRや配信サービスなど、一般的には価値が実証されたものを医療業界における課題と組み合わせながら、他社にはない独自の付加価値によってニーズに応えている部分にある。
医療業界における高名な医師との強固な関係性など、唯一無二のコアコンピタンスを活かす
独自の付加価値として特に顕著なのは、各医学会で活躍するキーオピニオンリーダー医師(以下KOL医師)との強固な関係性を活かし、教育コンテンツの指導・監修が可能だからこそもたらされる情報の正確性、信頼性、そして革新性である。
『がん@魅せ技』という手術手技の動画制作・配信サービス(現在では同社の主要株主である株式会社ケアネットに運営の主体を移した)を運営する過程で、出演や編集などに関係した医師たちとの強固なネットワークが構築された。そのことによって、医療に関する最新の情報、そして最新の手術手技に関する情報に触れながら、価値あるものを発信できる体制が整った。それが、全国の医師たちから貴重な情報源として高い信頼を得る結果を、同社にもたらしたのである。
「人間の生死に関わる医療の情報では、何よりも信憑性が重視されます。その中で、学会や大学のトップと呼ばれるような先生方とともにきちんとした背景を持つコンテンツを発信しているという意味で、当社には大きな強みがあると思っています。今後、私たちは教育を目的とした課金コンテンツ配信にも取り組みたいと考えていますが、その事業にも多くの先生方から協力を申し出ていただいています」。(石井氏)
そんな同社の代表である稲葉氏に、この環境でチャレンジすることの魅力について、最後に語ってもらった。
「この業界、当社の環境で何にチャレンジするかはその人次第ですが、私たちは医療業界の中でITを含めたデジタル化を進めているところです。医療業界をより良くする事業に携わりながら、医師や看護師、そして最終的には患者さんを幸せにするような仕組みを考えて事業を盛り上げたい。そんなチャレンジをしたい方であれば、ぜひこの環境に来ていただきたいと思います」。(稲葉氏)