人間をスマホの画面から解放し、より快適に過ごせる社会を創造する
株式会社ネイン(Nain Inc.)は、ハンズフリー、アイズフリーなインターネットデバイス「Zeeny」の企画・開発・販売をおこなっている会社だ。端末情報を“聴く”ことができる、次世代のウェアラブルなイヤフォン開発に取り組んでいる。会社設立は2014年11月で、本社は東京・渋谷にある。
スマートフォンは、何かほかのことをしながらスクリーンを操作するのには向いていない。ネインは技術によって人間をスクリーンから解放し、スクリーンの操作によって失われた時間を取り戻し、人間が人間らしく生活できる世界を目指す。ヒアラブル端末「Zeeny」は音声UIを使った専用アプリでメールやSNSの通知を受け取ることができるため、スマホを取り出す回数が減り、時間を有効に活用できるようになる。開発コンセプトは、「もっと世界と向き合える」だ。
「Zeeny」は当初、一般消費者向けに開発・発売され、購入者の中心は若者だった。Amazonなどのオンラインストアをはじめ、BICカメラなどの量販店でも販売されている。現在は法人からの引き合いが増え、建設やビル管理などビジネスシーンの活用例が増加。図面に目を落とさなくても耳で聞き、声で記録することができるため、生産性の向上につながる点が評価されている。
この勢いに乗り、ネインはさらなる業務拡大を目指している。クラウドファンディングサイト「Makuake」では、開始24時間で目標額を突破。PARCOのクラウドファンディング「BOOSTER」でも目標額を突破した。2019年10月には、高砂熱学工業株式会社からの出資による協業を発表。2019年12月にはパイオニア株式会社と資本業務提携を締結し、フィールドワーカー支援ソリューション事業の拡大や、産業分野における事業創出、ネイン独自の音声UI技術の車載モビリティへの応用などを加速させる。
パーソナルユースからビジネスユースへ、広がるヒアラブルサービス
ネインは、音声UIにより作業現場をハンズフリー/アイズフリー化し、生産性を向上させることを目標とした商品、サービスの開発をおこなっている。ヒアラブル端末やソフトウェアの開発・販売を通じて、“目で見ない/手で操作しないインターネット”を実現する。
「Zeeny」は、音声通知に対応したヒアラブルデバイスの名称であると同時に、スマートフォンアプリ(iOS/Android)の名称でもある。「Zeeny」アプリをインストールすれば、イヤフォンなどのBluetooth機器が、スマートフォンに届いたメッセージを読み上げる。
「Zeeny TWS」は、「Zeeny」の完全ワイヤレスモデルだ。メッセージやスケジュールなどの確認はもちろん、Siri/Googleアシスタントなどもスマホ本体を取り出すことなく操作できる。高音質音楽再生やノイズキャンセリング通話、最大約9時間の連続使用、完全防水(IPX7取得)など、ワイヤレスイヤフォンとしても高い基本性能を備える。
「Zeeny Pro Service」はフィールドワーカー向けのソリューションサービスだ。働く場面で手が離せない/目が離せないフィールドワーカーに、音で直感的に情報を伝える業務用ヒアラブルIoTによって、生産性と安全性の向上を実現する。さらに、センサー技術を使って動態管理や健康管理など効果を「見える化」できるようにする。導入は建設業やビルメンテナンス業に多いが、今後は製造、電鉄、電力、道路、医療、介護などへの展開を目指す。
そのほか、オーディオブランド向けのソフトウェアサービス「Yv(イヴ)」というサービスも展開している。
ネインは、他社に先駆けてヒアラブルデバイスをリリースし、業界をリードしてきたからこそ得られたマーケットへの知見をアドバンテージに、より多様な活用シーンを提案し、優位なポジションで事業を展開していく。例えば、ヒアラブル端末という枠を超え、「スクリーンからの解放」を実現する製品やサービスを展開していく。また、ヒアラブル技術を活用した「旅行者向けAR情報配信サービス事業」といった計画もある。
常に新しい技術を学び、先回りして製品に仕込み、世の中を驚かせる
2021年2月時点の従業員数は30名で、シンプルに良いものを考え、開発していくことが大好きな“技術者魂”を持つ開発メンバーが集結している。同時に、スタートアップとしては珍しく家族がいるメンバーが多いため、仕事を効率よくこなしながら、家族を思いやった働き方を実践している。
企業文化としては、「社会への奉仕」に重きを置く。目指すゴールは「ユーザーが快適に過ごせる社会」であり、売上や利益ではない。自らが生み出す価値を最大限に高めることで、商品やサービスがユーザーに喜ばれることが常に優先される。
また、ネインには「和」を重視する風土がある。各メンバーはじっくり考えた上でオリジナルな意見を持ち、同時に人の考えにもしっかり耳を傾ける。自分の成果よりも「どうやったら課題が解決されるのか」の方にポイント置き、行動に移していく。
「チャレンジへの喜び」もネインには充満している。「チャレンジに失敗はつきもの」という言葉の通り、新しいチャレンジをすることに喜びを感じ、失敗を恐れずに試行錯誤を繰り返す。その結果として新しい情報を得ること、新しい発見をすることに、大きなプライオリティが置かれている。
ハードウェアの開発は、文字通り“ハード”な仕事だ。苦しい思いをしながら頭と手を動かし、少しでも良くしたいと考え、実行に移さなければならない。そのためには、「自分たちがそのプロダクトを愛する」ことが大前提となる。「人に必要とされるモノ」をつくることは、とても難しい営みだ。「2030年に求められるテクノロジーは、どんなものか?」 そんな想像をしながら、これからの社会に必要とされる製品・サービスづくりに没頭できる。