イジゲン設立の背景を教えてください。
30歳を前に、故郷・大分のIT企業に取締役として迎えられた際、大分の市街地の人通りの少なさにショックを受けたのが原点です。20代を過ごした東京や福岡ほどではないにしろ、以前はもっと賑わっていたのに…と。 実際、母校・大分大学の卒業生の大半が大都市で働いていますし、「大分に戻りたいけど職がないから」といった声もよく耳にします。大分に限らず、地方はどこも似たような状況でしょう。 この現状を打開するには、地方でやりたいことをやって、なおかつ成功する実例をつくるしかない。そんな思いで立ち上げたのがイジゲンです。 設立時4人だったメンバーは現在、グループ全体で60人を突破しています。今後は自社開発のサブスクリプションプラットフォーム「always」を本格的に広げていく方針。成長スピードをさらに上げ、地方発スタートアップのロールモデルといわれる存在を目指します。
もともと起業志向が強かったのでしょうか?
そんなことはありません。イジゲンの設立に際しても、大分を何とかしたいという思いはあったにしても、会社というよりはラボ的な、意気投合した仲間とやりたいことを存分に試したいという気持ちでしたね。 ただ、実は実家が起業家一家。父は衣料卸、その洋服を母が自分の店で売る。弟もECで起業し、上場まで達成しています。その影響を受けたつもりはないのですが、起業のリスクを特に考慮しなかったのも事実。やりたいことをやるには起業するしかないだろうと、カジュアルなマインドで始めた感じです。 近年は、事業の成長で大分の発展に寄与する目標とは別に、大分の文化を育てたいという思いが年々強まっています。サブスクのデータ収集のために運営している大分市内の会員制バーで、定期的にイベントを行うのもその一環。また2年前から、大分のIT企業数社と協働してエンジニアを育てるNPOを運営しています。こうした活動は今後も継続するつもりです。
always開発に至る経緯をお聞かせください。
イジゲン設立の翌年、2014年に、最初の自社サービス「AIRPO(エアポ)」をリリースしました。これは利用者が参画店に来店しただけでポイントが溜まるというスマホアプリ。大分市内の回遊性を高めたいという創業の原点の思いをそのまま反映したプロダクトです。 エアポは参画店700か所、利用者3万人を集めて地元の話題を呼び、大分県ビジネスグランプリ最優秀賞も受賞しましたが、十分なマネタイズには至らず、経営的には受託開発に頼る状況でした。 潮目が変わったのは、ICOに似た会員権アプリ「SPOTSALE」を展開した2018年。顧客開拓のために東京にオフィスを出し、多くの企業と会話する中で、企業が処方箋を渇望する喫緊の経営課題が2つあると気づきました。キャッシュレス対応とロイヤルカスタマーの獲得です。 前者に対してはすでに多くのプレイヤーが動いている。イジゲンが取り組むべきは後者、ということで、サブスクのプラットフォームという着想に至ったのです。
どんな人と働きたいですか?
やさしい人がいいですね。言い換えれば、他人を思いやれる人、自己中じゃない人。仲間を素直にリスペクトできる人に会いたい。採用面接でも、もちろん技術やスキルも大切ですが、人間性やカルチャーフィットをより重視しています。 とはいえ急成長する組織だから、走りながら考えるスピード感も必要ですし、会社の成長ペースに沿って自分も成長する気概がほしい。ベンチャーにおいては、成長しなければ退化です。面接で重視するのは、そういった要素も含めた人間性であり、カルチャーフィットです。 私はいつも、応募者の方との面接を楽しみにしています。他人の人生に触れる機会って、なかなかないじゃないですか。その人がどんな考え方で、どんな生き方を選んできたか、それを聞くだけでも楽しい。あなたの人生も、ぜひ聞かせてください。
オフの過ごし方を教えてください。
家族は妻と子ども2人。会社もカオスですが、子どもが4歳と2歳の女の子なので、家の中も相当にカオスです。家ではやはり子供と過ごすことが多いですね。そのほかは、移動中にNetflixを見るのが息抜きでしょうか。 今は趣味と呼べるものは特にないですが、もともとは何でも一度やってみないと気が済まないタチ。何を話すにしても、経験していないと説得力ないですから。学生時代は、野球の部活の他にテニスや水泳など、いろんなスポーツをかじりました。 ベンチャーは土日も関係なく仕事しているイメージがあるかもしれませんが、当社はフレックス制ですし、リモート勤務もOKなので、オンとオフのメリハリはあるほう。社員もそれぞれ、思い思いのオフを楽しんでいます。