アイハーツ株式会社

スマートフォンに特化した広告代理店事業を展開しているアイハーツ株式会社は、リスティング広告やSNS広告、アフィリエイト広告、ADネットワーク広告、SEOといったインターネットを介した広告を中心に、クライアントのビジネスをスケールさせるため、効果的な広告運用をサポートしている。

同社が開発したスマートフォンワンタグ「i-generation」は、種類の違う広告を1つの画面で管理できる広告効果測定ツール。クライアントのサイトやアプリにi-generarionタグを導入してもらうことで、どの広告が効果をあげているか一目でわかり、より効率的な広告運用が可能となる。

また、スマートフォン位置情報広告「i-locAtion」「DiP」も開発。ユーザーのリアルな行動を基に配信対象者をセグメントできる広告配信ツールで、スマートフォンアプリの位置情報を用いて、約4000万人のユーザーのうち、ニーズのあるユーザーにダイレクトに広告を展開できる。加えて、費用対効果が目に見える来店CV計測も可能となる。

「DiPを使えば、吉祥寺の駅前にいる人に対してのみ近所のスーパーの広告を届けるなど、地理的に限定した広告配信ができます。近隣の店舗に立ち寄ってもらうのに駅前でチラシを配ることがありますが、そのチラシをデジタルで配るイメージです。インターネット広告もむやみに不特定多数を狙うよりも、効果が期待できる人に向けて広告を配信する時代が来ています」（システム開発部・矢野宗一郎氏）

「i-hearts（アイハーツ）」という社名には、「インターネットに心を」というコンセプトを込めているという。一人ひとりに寄り添ったデジタルサービスを提供していこうと考えている。

さらに、時代に先駆けてスマートフォン広告に特化してビジネスを展開してきたアイハーツだが、すでに次の時代を見据えて新事業にも積極的にチャレンジしている。

その一つが「人材紹介事業」だ。多くの企業が直面する「入社後のミスマッチ」という新卒採用の課題を解決するために生まれたサービス「halooNAVI就活」や、「自分にピッタリな職業と働き方」を明確にする適職診断アプリ「halooNAVI適職診断」など、HR領域の課題を解決するサービスを生み出している。

「halooNAVI就活は、学生の就職活動向けのエージェントサービスです。halooNAVI適職診断は、求職者の潜在的な能力を顕在化させるだけではなく、個人の性格から見た自己分析も可能な画期的なアプリ。芝浦工業大学との研究・共同開発により誕生しました」（矢野氏）

そのほかにも、社外取締役及び、社外監査役の人材を紹介するサービス「Executive Hearts」など、アイハーツが手掛ける新規事業は、まさに「痒いところに手が届く」サービスが多い。

アイハーツの事業はまだまだある。次に紹介するのは「メディア事業」だ。会議室、イベントスペース、スタジオ、駐車場など、借りたいスペースが簡単に見つけられるレンタルスペース共有サイト「halooSPACE」は、Webやアプリを通じて空きスペースとレンタルスペースを求める人をマッチングするサービスだ。

「ふるさと納税ニッポン！」は、自治体とユーザー双方の生の声を紹介して、寄附の申し込みへと繋げていくメディア。書籍とWebサイト、2つのメディアで自治体の魅力を紹介しているのが特徴で、Webに留まらず出版事業にも進出。「100％取材主義」を掲げた書籍『ふるさと納税ニッポン！』を編集/制作し、年2回ペースで発行している。

そして、アイハーツの事業ポートフォリオの中で、ひときわ異彩を放っているのが、コスプレ専用SNS「コスらぼっ！」だ。

「コスらぼっ！」はコスプレイヤー・カメラマン・コスプレファンのためのSNSアプリ。コスプレイヤーが投稿した写真を、誰でも気軽に見ることができるだけでなく、会員登録をすると写真にコメントができ、気に入った写真に「っぽい！（お気に入り）」をすることもできる。

「コスプレを趣味にする人に特化したSNSアプリです。コスプレイヤーは実名を公表せずに活動したい人が多く、LINEやTwitterなどのアカウントをコスプレ仲間に教えずに、同好の士と交流したいというニーズがあります。『コスらぼっ！』は、そんなコスプレイヤーのニーズに寄り添ったSNSです」（矢野氏）

チャット機能や同じ作品を題材にしたコスプレ「あわせ」の募集、イベント・スタジオ情報、Twitter同時投稿など、コスプレ交流をサポートする「コスらぼっ！」は、これまた「痒いところに手が届く」サービスだ。

「フレンドになればLINEのようなチャットができたり、Instagramのようにコスプレした写真をアップしてコミュニケーションを取れたり、イベントへの参加を手軽に募ったり、といろんなSNSの機能を一つのアプリに集約しました。コスプレの世界には『名刺交換』の文化があり、『コスらぼっ！』を使えばアプリ上で名刺交換もできるようにしています」（矢野氏）

2019年11月現在、「コスらぼっ！」は10万ダウンロード、会員数2.5万人を達成。コスプレSNSアプリとしては、日本最大規模を誇っている。

アイハーツの多岐にわたる事業は、どれもこれもニッチだが確実にニーズのあるサービスなのが特長だ。例えば先にあげた社外役員紹介サービス「Executive Hearts」は、「コーポレートガバナンス・コード」の最新情報への対応を迫られた上場企業向けに、社外取締役及び、社外監査役の人材を紹介するサービスとして始まった。

「大手企業でIPOを担当していた当社の取締役が、ビジネス界に広い人脈を持っていたことが『Executive Hearts』の立ち上げ背景にあります。『コスらぼっ！』も新入社員の女性がたまたまコスプレを趣味にしていたことから始まったプロジェクト。社内にいる様々なメンバーの特性や経験をサービスに落とし込むのが、アイハーツ流のビジネス創出かもしれません」（矢野氏）

システム開発部を率いる矢野氏のスキルも新規事業立ち上げに活用した。新エンジニア人材紹介サービス「tech hearts」だ。深刻なエンジニア不足の折、理系・文系を問わず多くの学生・新社会人がエンジニアとしてスタートを切ろうとしている。インターンシップの紹介・サポートやエンジニア研修など、充実した教育プログラムを通じて、企業に新エンジニアを供給するビジネスである。

「スマートフォン向けアプリ開発やWebシステム開発、Web・スマートフォンサイト制作の受託開発事業を進める中で、多くのエンジニアを育成してきた経験を生かして、外部にもITエンジニアを供給する事業をはじめました」（矢野氏）

IT業界全体でエンジニアが不足しているが、新しいエンジニアを育てる余力がある会社は多くない。エンジニアを育てて紹介するビジネスもまた、的確に世の中のニーズを捉えたサービスと言えるだろう。

同社は、柔軟な発想で次々と新たな事業を生み出すチャレンジングな会社である。新しく入る人材にも新規事業立ち上げのチャンスが豊富にあるという。

「システム開発部の仕事は多岐にわたっているため、いろんな経験ができますし、一人ひとりの裁量が広いため、サービス全体を俯瞰して開発を進められ、新しいことにもチャレンジできます。『コスらぼっ！』の開発をしたメンバーもAndroidとiOSの開発を手掛け、スキルアップをしました。大手で経験する2年間よりも、当社での2年間の方がはるかに成長できます。キャリアプランをしっかり持って、当社で成長してくれるエンジニアと働きたいですね」（矢野氏）

システム開発部の矢野氏は、現在山梨県に在住している。地元の山梨に戻ることになった事情を汲んで、会社がリモートワークでの働き方を受け入れてくれたという。メンバーの働き方に関しても、同社の柔軟な姿勢や考え方は生かされているといえる。