株式会社フルマークス

高い技術力を武器に、BtoC向けサービスから業務系までさまざまなシステム構築を手がける株式会社フルマークス。代表取締役社長の古舘実氏は、大手電機メーカーや大手建機メーカーでシステムエンジニアとして活躍後、ベンチャー企業に転身。営業部門の責任者としてその会社の成長に貢献したキャリアの持ち主。2005年7月に「お客様から常に満点をいただく会社を作りたい」という思いを胸に、9人の仲間と共に同社を設立した。当時の状況について古舘氏は次のように語る。

「多くのベンチャーがそうだと思いますが、システムを完成させて納品すると、技術者はすぐに次の開発に移ります。そのため、お客様がシステムを使い始めた後に“ここの部分をちょっと調整してほしい”と言われても、当時の会社では満足に応えることができませんでした。しかし私は、そんなお客様からの要求にしっかりと対応すべきだと考えました。そしてお客様に満足いただければ、次の仕事も必ず来るはずだと思ったのです。そんな理想の会社を自らの手で作りたいと考え、同じ思いを持つメンバーと共に当社を立ち上げました」。

ちなみに社名の「フルマークス」とは「満点」の意味。お客様からの要求に100％応え、常に「満点」をいただくことを目指したいという想いを込めて名付けたという。

同社の特徴は、社員数26名という規模でありながら、大手企業との直接取引が売上の8割以上を占めていることだ。クライアントにはわが国を代表する大手・有名企業が名を連ねる。

「エンドユーザーさんとの直接取引が増えたのは2016年ぐらいからです。もともとは間に入っていた会社がありましたが、当社の技術力の高さを評価していただき、お客様から直でやってほしいと頼まれるようになったのです。当初は何かあった時の責任など不安な点もありました。しかし実際に直接取引を始めてみると、直にやり取りできるので、お客様の課題やどんなシステムを必要とされているかがよくわかり、より良いシステムづくりに専念できるようになりました。今では非常に良い信頼関係を築けています」（古舘氏）。

クライアントとの直接取引比率が増えたことなどにより業績も好調に推移しており、直近3年の売上高は、1億8890万円（2017年6月期実績）→3億2616万円（2018年6月期実績）→3億7000万円（2019年6月期実績）と、右肩上がりの成長を続けている。

現在、フルマークスでは全体の7～8割を自社内で開発している。ほとんどがエンドユーザーとの直接取引で、仕様策定や要件定義といった上流工程から設計、開発、テスト、運用まで一貫して手がけているので、エンジニアはスキルや志向に応じて最適な仕事から携わることができる。そして最大の魅力は、自分が良いと思う最新の言語やフレームワークを駆使して開発に取り組めることだ。古舘氏は次のように語る。

「当社にはとにかく技術が好きという、尖った技術者が集まっています。まだ日本語化されていない海外の技術資料を原文で読んで勉強する人もいるほどです。そんな技術者たちに古い技術や開発手法を使って開発してくれと言っても、魅力を感じないでしょう。自分が見つけてきた最新技術をどんどん取り入れた開発ができれば、必ず良い仕事をしてくれると考えています」。

実際、システム開発の効率化や、さらなるパフォーマンスアップを図るために、最新の言語やフレームワーク、ツールなどを積極的に採用している。

例えば同社が手がけた販売管理システムでは、フロントエンドにオープンソースのWebアプリケーションフレームワークAngular7を使い、バックエンドにマネージド型GraphQLサービスAWS AppSyncを採用し、スピーディな開発を実現した。また、オンライン会議アプリでは、AWS IoTを利用して、オンライン上でのリアルタイムのコミュニケーションを可能としている。さらに、請求書管理システムでは、顧客情報や請求書を管理するSPA（シングルページアプリケーション）システムを、オープンソースのフレームワークSwaggerを用いて設計し、迅速な開発と高い保守性の両立を図った。

そんな最新技術をキャッチアップし、技術者全員のレベルを上げるため、同社では月に一度社員が講師になって、社内技術講習会を行っている。最近ではオープンソースのモバイルアプリケーションフレームワークFlutterや、TypeScriptやJavaScriptによるプログラムでAWSの環境を構築するツールAWS CDKに関する講習会を行った。それ以外にも、若手が自主的に開催している勉強会もある。

現在、フルマークスは千代田区神田神保町のビル内にオフィスを構えている。東京メトロ・都営地下鉄「神保町駅」から徒歩１分のほか、複数路線が乗り入れる「水道橋駅」からも徒歩圏内と、アクセスの良いロケーション。社内はできるだけリラックスして仕事に取り組めるように、一人ひとりのデスクを広めにデスクや椅子を配置し、その日の気分によって作業する場所を変えられるよう３つの異なるテーマの部屋を準備している。そんな環境の中で20代から40代まで、平均年齢30代前半の技術者が活躍している。

「私の役割は、技術者が快適に仕事に取り組める環境を整えることです。スキルアップをサポートする制度を充実させているのも、技術好きな社員たちに高いモチベーションを持って仕事をしてほしいから。社外研修やカンファレンスへの参加費用は全て会社負担です。新しい技術を学ぶのは会社のためになることなので、社内外の勉強会・セミナーに出席した時間は、勤務時間としてカウントしています。また、毎年活躍した社員2～3名をアメリカで開催されるAWSのイベントに招待しています」（古舘氏）。

オンとオフのメリハリをつけて働ける環境も魅力だ。年間休日128日で、残業は月10時間以内。残業は完全申請制で、19時になるとサーバがストップするので、申請しない限り作業ができない。有給休暇の消化率は90％以上で、過去には17連休を取得してヨーロッパに旅行したメンバーもいるそうだ。年1回の社員旅行をはじめ、キャンプ、花見、登山など、社員同士がコミュニケーションを深める機会も設けている。求める人材について古舘氏は次のように語る。

「当社の仕事のやり方や技術に関する考え方に共感いただける方に来ていただきたいですね。具体的には最新技術を積極的に学び、それをいち早く仕事に取り入れた開発にチャレンジしたいといった志向を持つ方です。新しいシステムを開発することになった時、“従来の言語よりも今自分が勉強しているこの言語でやった方がより効率的に開発できると思います”と提案してくれるような方が当社には合っていますし、実際にそういう技術者が集まっている会社です」。

今後は、まずは3～5年後をメドに現在の倍の社員数40名体制を目指したい考えで、そのために中途採用も積極的に行っていく。「ただし、フットワークが重くなるような大きな会社にはしたくないですね。目指すのは少数精鋭の強い会社です」と古舘氏は語る。

最先端技術を駆使した開発に果敢にチャレンジする同社は、技術が好き、最新技術を使った開発にチャレンジしたい方には、最適な環境だ。

2020年3月末に千代田区神田神保町の新築ビルに移転した。
９階と１０階の２フロアのオフィスには、エンジニアが働きやすい環境を用意している。

９階は、異なるテーマを持った３つ部屋があり、エンジニアの社員がそれぞれ好きな空間で働けるオフィスとなっている。
一つは、エンジニア全員が過ごせるちょっとおしゃれな執務室。
そのほかに、明るいカフェのようなスペース・落ち着いて仕事のできるシックなスペースを対照的につくり、メリハリのある空間になっている。

１０階は、会議室を２部屋。
小会議室では、テレビ会議システムを導入している。
また、大きなセミナースペースには、今までになかったカフェカウンターやファミレスベンチを設置し、窓からの景観を見ながらコミュニケーションのきっかけとなる場を生み出している。