株式会社ライボ

株式会社ライボは、キャリアや転職に特化した匿名相談サービス『JobQ』を運営するITベンチャー企業だ。
2015年2月の創業以来、拡大を続ける転職関連市場において他にはないコンセプトとサービスでユーザ数を伸ばしてきた。2019年3月には、総合人材サービス大手パーソルグループのパーソルキャリア株式会社にグループイン。転職サイト運営やエージェントサービスに強みを持つパーソルキャリア社と、潜在的転職希望者層へのアプローチに強みを持つ同社が手を組むことで、双方のシナジー創出が期待される。
パーソルキャリア社とのパートナーシップ構築により現状のサービスを進化させると共に、新たな領域にも挑もうとする同社は原動力となる力強い人材を広く求める。

同社の主力である『JobQ』は、匿名によるユーザ同士でキャリアや転職に関する情報交換と相談ができるサービス。具体的な企業名を検索して、社員や元社員による口コミを読めるサービスは他にもありJobQでも可能だが、そればかりでなく仕事全般に関する悩み、転職への不安など漠然とした内容にも対応するのが特徴だ。
例えば、最新のアクセスランキングを見ると、「IT業界は1つの会社を勤めるのと転々するのならどちらが良いか？」や、「転職先の先輩から言われた一言が頭を離れないがどうすればいいか」など、様々な質問が並ぶ。
真剣さを感じるものから、会社の飲み会頻度や通勤列車の混雑具合、オフィスにいる女性が気になるといったライトな雑談的質問まで、範囲は実に広い。
疑問が湧きあがったユーザが、即座にスマホを手に取り構えることなくJobQに投げかけている印象だ。回答する側のユーザも、持論を交えながら真摯に答えている。
このようにユーザ間でのリアルなキャリア・転職の情報交換が特徴のJobQは、パーソルグループにジョインしたことで、具体的な求人情報と紐づくようになり利便性がさらに向上した。

ここで、同社設立のいきさつに迫ろう。
創業者である小谷匠氏は大学生の頃から起業意欲を持ち、卒業後スタートアップに飛び込んだ人物。当初は営業職だったものの、いずれ起業することを考えて必要性を感じ、プログラミングを学んでエンジニアへと転身する。
一年半ほどしてその企業を退社した小谷氏は、アジアの新興国へバックパッカーの旅に出かけた。現地での起業も視野に入れてビジネスアイディアを模索し精力的に動き回ったが、結果的には日本国内で起業しようという結論に至り帰国する。こうして、2015年当時のトレンドだったシェアリングエコノミー領域での展開を目指し設立したのが同社なのだ。
試行錯誤や方向性の転換を幾度か繰り返しながら開発サービスを洗練させていき、ついに主力となるJobQのローンチに至る。

人材・転職関連サービスの市場は大手の競合も少なくないが、その多くは「転職直前」や「転職活動中」、「転職後のサポート」がメイン。同社のように、なんとなく転職が気になっていたり、今の仕事にどことなく不安を感じていたりという本人すら意識していない「潜在的転職希望者層」も含めてターゲットにしているのは珍しい。同社は市場において独自のポジションを奪取していたわけだが、パーソルキャリア社とのパートナーシップによって、転職活動における一連のアクションフェーズを網羅したことになる。

働き方改革が広まり、雇用の多様化や労働力の流動化が進む昨今。フリーランス人口も増加の一途で、仕事を取り巻く環境は急激な変化を遂げている。キャリアや転職にまつわる悩みや不安は増える一方だ。このような社会情勢を背景に、JobQのニーズは今後ますます高まるだろう。
小谷氏は事業展開について、「これまでの２年間は、ニッチを抑えることを念頭にサービス作りを進めてきました。しかしこれからはスピード感を増し、マス向けを意識して規模感を大きくしていきたいです」と展望を語った。
具体的には、ユーザ数やQ&Aを増やして投稿数を蓄積していき、圧倒的ナンバーワンとして寡占状態を作りたいという。

しかし、同社が見据える未来はJobQの拡大だけにとどまらない。その先にあるのは、ビッグデータを活用したまったく新しい形の転職関連サービスの展開だ。
小谷氏は、今の段階ではあまり詳しく話せないと前置きしつつ、思い描く世界観の一部を話してくれた。
「現在の転職サービスは、意志の強弱はあるものの“転職したい”という思いがあってのアクションが前提になっています。例えば、転職サイトに会員登録をする、エージェントサービスにレジュメを登録するといった能動的なステップです。しかし、自分の意志で動く時が本当にベストな転職タイミングなのでしょうか？」
小谷氏は主体的な求職活動だけでなく、市場の動きや受動的な行動などのデータを転職ビジネスに取り入れられないかと考えている。
例えば、モノを買うというユーザの行動に当てはめると、「欲しいものをGoogleで検索して口コミなどを見ながら検討する」のが従来型。一方で10代後半～30代前半の若い年代では、「インスタグラムを見ていて、知らず知らずのうちに購買意欲が高まり購入に至る」という流れはごく普通だ。小谷氏は、後者に近い形を転職サービスでも作りたいと構想を練っているのだ。
「すでにコア技術の開発に着手していて、JobQを通じたデータ蓄積やパーソルキャリア社が持つデータの活用を前提に設計を進めています」と話す。同社のエンジニアは、他社では持ち得ない豊富なデータを活用して、これまでになかった新しいサービス作りに取り組める。
また、「エンジニアリングの面白さと同時に、労働人口減少を迎える日本を“IT活用による生産性向上”という観点で支えていけます。具体的には”自分に本当に合う企業との出会い“や”キャリアにおける納得した意思決定“をサポートすることで、個の能力が発揮できる社会創りに寄与できるのです」と、同社での仕事のやりがいにも言及した。

「個が活躍する社会を創る」がビジョンの同社は、自社においても個人のパフォーマンスを高く維持できる職場づくりを進める。陽気に活き活きと働ける会社がモットーだ。
気軽にコミュニケーションが取れるように個室の会議室だけでなく、スタンディングのオープンな会議スペースを確保。オフィス内で社員がリラックスできるよう柔らかなソファーを配置した小上がりや、筋肉を鍛えるためのベンチプレスマシンを備えたプロテイン飲料飲み放題のトレーニングルームまで用意してあるから驚きだ。
「コアタイムは11時～16時で、リモートワークもOK。ワークライフバランスに気を配り、心身の健康を維持することで高いパフォーマンスが発揮できると考えています」と小谷氏。
しかしながら自由でフレキシブルなワークスタイルは、それだけ自律と結果へのコミットが必要となる。このことをきちんと理解して、実行できる人物が望ましいだろう。
「実力を試したい、スキルに自信を持っている、能動的かつ主体的に仕事を進めたいといういずれかに当てはまる方ならば、当社で伸び伸びと活躍してもらえるでしょう」と小谷氏はにこやかに話す。

結果や数字には厳しいが、ギスギスした殺伐感はなく競い合う緊張感もない。ヘルシーでほがらかな社風は、小谷氏の人となりを反映していると感じた。
小谷氏は、「データを信じ、ベースにして進めていくのがプロだと思っています。しかし、行き過ぎると雰囲気が悪くなるので、同時に人格も磨くよう意識しています。人としての情や礼儀、愛は大事にしたいですし、社員にも常日頃からそう伝えています」と組織のトップであり、エンジニアでもある自身の心がまえを話してくれた。
ユーザへの配慮は日ごろの振る舞いが顕著に現れると、小谷氏は言う。だからこそ、プロダクトを生み出す組織や人は「徳」を持たなければならないというのが小谷氏の持論なのだ。

創業期、急成長期を経て、パーソルキャリア社のバックアップのもと、安定した拡大期へ入ろうとしている同社。
小谷氏は、「とにかく人が足りません！若いチームで頑張ってきましたが、CGMの事業経験者や人材業界の経験者、マネジメント経験者などが来てくれたら、どんなに心強いでしょう！
とはいえ、チャレンジしたいという意欲と主体性は重視したいので、若い方や経験が乏しい方でも積極的に幅広く会いたいと思っています。構えずにお気軽にご連絡ください！」と呼びかける。
応募者には、代表取締役の小谷氏自身が最初の段階から直接会って話をする。