金融系大規模開発プロジェクトと財務会計や人事・給与業務のシステム開発が2本柱
システム開発会社の株式会社SKB。グループ全体で1,000名を超える、独立系SIerとして大手のソフトウエア情報開発株式会社(以下、SKI)グループの一員である。
同社は1983年9月、日比谷計算センター株式会社として設立された。創業者は、大手ICT企業から独立し、汎用機を用いて企業の給与計算や財務会計業務を受託する“電算室代行業務”をスタートさせた。以来、今日まで財務会計、人事・給与業務は同社の主力領域であり続けている。
1997年に組み込みシステムを主に手がける株式会社アルプス技研(東証1部)の100%子会社となる(株式会社アルネス情報システムズに社名変更)。異なる領域を強みとする者同士、シナジーを発揮させる狙いのM&Aであったが、直後にリーマン・ショックが発生するなどして十分な統合効果は得られなかった。結果的に2011年5月、SKIの100%出資子会社となり、8月に現社名に変更する。SKI初のM&Aとなった。
SKIは、あらゆるメガバンクのインターネットバンキングシステムや大手証券会社のトレーディングシステム、損害保険会社の業務システムといった、金融領域に抜群の強みと実績を誇る存在。そういった大規模開発プロジェクトのマネジメントを担い、SKBが要件定義から設計、開発、テストまでの開発工程を担うカップリングが成立し、スムーズかつ強力なシナジーを発揮。この関係性の中で、SKIから現場志向のエンジニアが数多くSKBに移り、SKBの技術力を底上げした。そしてSKIはSKBグループ化の成功を受けて次々にM&Aを続け、現在までに主要9社からなる企業グループを構成するに至る。
SKBの事業としては、このSKIのパートナーとしての金融を主軸とする業務領域と、設立以来の財務会計や人事・給与業務領域のシステム開発という2本柱の体制。150名弱の従業員規模でありながら、前者は億単位のプロジェクトに携わることも稀ではない。後者においては、「SuperStream」という財務会計および人事・給与パッケージを担ぎ、これまで約200社のクライアントにカスタマイズ導入している。
つまり、SKBの強みは、“SKIグループの総合力×1983年に設立され、蓄積してきたSKBの独自ノウハウ”といえるのだ。
3年間新たな変化を! インフラやAI領域にも積極的に取り組む
同社は、設立以来“信念”、“挑戦”、“勇気”という企業理念を掲げてきた。「その思いは、現在まで変わっていない」とシステム部グループマネージャーの向田敬博氏は言う。同社が発揮している価値について、向田氏は次のように続ける。
「技術力をもってお客様の業務システムの開発や保守に関わることで、お客様の業務を支えるという黒子的な意識が強くあります。B to Cの独自Webサービスを手がけるような派手さはなく、地味な仕事です。しかし、私たちが支えている、例えばメガバンクのネットバンキングといったシステムは、世の中の人たちが毎日当たり前のように使い、便利さを享受している生活インフラです。SKB独自事業の財務会計や人事給与システムも、お客様の経営や従業員の生活に不可欠のもの。こういった、裏側で“支える”というところに意義を見出し、堅実に業務を手がけ、お客様に評価し選ばれていると自負しています」
2019年9月現在、同社の社員数は132名。今後の目標として、3年間で社員を倍増させる計画を掲げている。同社はこれまで主に新卒採用を行ってきたが、中途採用にも力を入れることになった。
「既存サービスのお客様の要望を受ける形で、サーバー構築を主体とするインフラ領域にも力を入れていますが、今後は新規のお客様のインフラ領域にも積極的に営業していきます」と向田氏。
さらに、AI研究プロジェクトも発足させた。数学科出身のエンジニアなど有志数名が手を挙げ、まずは自社が手がける上でどういった領域にAIを適合させるかの研究活動を開始。それとともに、会社が受講料を負担しAI関連資格を学ぶ形で専門知識の習得に取り組んでいる。このプロジェクトは今後、人数を増やしていく予定だ。新しい領域への拡大にも積極姿勢を見せている。
所属意識を高め人間関係を深める施策によるフランクでオープンなカルチャー
同社のカルチャーは、階層がメンバー-グループリーダー-ブロックマネージャー-社長という3段階しかないフラットさ。声が経営に届きやすく、意見が言いやすいオープンさが身上だ。
オープンさのシンボル的な存在が、給与制度だ。入社4年目以上の給与金額は自己申告制(もちろん査定はあります)で、且つ社長以外の給与金額を社内に公開している。その狙いについて、向田氏は次のように説明する。
「自分の目標としている先輩がいくらもらっているか、気になるじゃないですか。あれぐらい活躍すれば、あれぐらいの金額がもらえるというのは励みになりますし、キャリアプランのロードマップも描きやすくなると思います」
そんな同社には、SKIからの異動もあり、30代を中心とする“旬”のエンジニアがそろっている。複数のロケーションに分かれて客先常駐および自社内での受託開発を手がけているが、「メンバーに“SKBの一員”という意識を持ってもらい求心力を保つことと、人材育成の観点から、1現場の自社エンジニアは必ず複数人送り込んでいる」と向田氏。
人材育成にも余念がない。OJTが基本であるが、3カ月ごとの「目標管理レビュー会」が特長的だ。3~4年の世代幅で10~15人のチームをつくり、社長や向田氏も同席する中、グループリーダーが各メンバーの3カ月間の目標や行動計画、実践内容をレビューするというものだ。3カ月前との比較や周囲の期待値の再確認、環境変化、本人が希望する方向性といった要素を確認して次の3カ月間の行動目標策定や配置転換の決定などを行う。
このほか、新人にはメンターがつき(「親子会」)、e-ラーニング、外部研修なども実施している。
「目標管理レビュー会」の際に自分を中心に人物相関図を書き、関係性の強弱などを線の太さや色で表現し可視化。これによって、能力の向上やプライベートを充実させる社内の人間関係や帰属意識の強化に繋げている。
また、仲間意識を強めるグループ会や全員が集まる月例会もあり、お互いが顔を合わせる機会を積極的に設けている。
福利厚生として、妊娠・出産・育児に関する制度や介護に関する制度を充実させ、長く働ける環境づくりにも力を入れている。
さらに、SKIグループとして“健康カンパニー”を宣言、プライベートも含めて禁煙としている。健康診断は必ず年1回受診できるように、告知を徹底している。また、メンタルヘルスチェックを年1回実施し、心の健康もメンテナンス。
「取引先は大手企業がほとんどで、どこも働き方改革には力を入れています。したがって、当社メンバーの働き方も理解してもらい、柔軟な対応をしてもらえています。当社の男性社員が育休を取った実績もあります」(向田氏)
同社が求める人材像は、次のとおり。
・約束を守る責任感のある人
・笑顔であいさつができる人
・素直に教えてもらおうという姿勢でいられる
・行動力、社交性がある
・抵抗なく高度なことに取り組める
安定性のある事業基盤でじっくり技術を学びながら世の中のためになる仕事ができる環境が、同社にはある。要チェックの募集といえるだろう。