MDMベンダー+キャリア(ソフトバンク)の独自性を強みとするTech企業
企業が業務最適化を目的に、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスを大量に導入する傾向がますます強くなってきている昨今。モバイルデバイスのパフォーマンス向上と共に、業務利用の領域も拡大の一途である。このような流れを受けて、モバイルデバイスをセキュリティの観点から適切に保護するMDM(モバイルデバイス管理)の重要性が高まっている。
株式会社AXSEEDは、設立以来MDM領域における自社開発サービスのライセンス販売をメイン事業として展開しているTech企業である。同社の代表的なサービスは、モバイルデバイスにAgentアプリをインストールして利用するクラウドベースのサービスSPPM2.0だ。統合管理サーバと端末内のAgentやOSが連携してポリシー・指示を飛ばすことでモバイルデバイスの安全な管理を実現している。「紛失・盗難時の情報漏洩を防ぎたい」「紛失・盗難時にデバイスの位置情報を取得したい」「起動時のパスワード利用を義務化したい」など、セキュリティ対策における企業の要望に応える機能が評価され、現在累積で4000社以上に導入されている。
MDM関連の自社サービスを提供する会社が数多く存在する中で、同社は他社とは一線を画すポジションで事業を展開している。それはキャリアと非常に近い位置でサービスを開発していることである。同社は2017年にソフトバンクグループの一員となり、引き続きグループ外へ販売すると同時に、ソフトバンクのモバイルデバイスに同社の技術をOEMで提供している。モバイルデバイスにMDM関連の機能を標準搭載するためには、デバイスに搭載されているオペレーションシステム(Android/iOS)の厳しい基準をクリアしなければならない。同社は「MDMベンダー+キャリア(ソフトバンク)」という立ち位置で、ソフトバンクグループから常に最新情報をキャッチしながら、いち早くサービス開発につなげている。
同社はMDM関連事業と並行し、ソフトバンクグループが提供するサービス(Webサイトなど)の受託開発も行っている。AI・IoT・ロボットなどの最新技術を取り込みながら開発を行い、技術のボトムアップにつなげている。ソフトバンクグループの中で開発を専門としている企業は少なく、強力な開発パートナーとなっている。全体の売上に占める両事業の割合は、MDM関連事業が6割、受託開発事業が4割となっている。
技術開発の体制をさらに強化し、新しい事業の柱となるサービスの創出を目指す
MDM関連事業が好調に推移する現在、同社はどのような事業展望を描いているのか。執行役員・企画管理部の部長を務める持田敦也氏は三つの強化ポイントを挙げている。
一つ目に挙げるのは、新サービスの立ち上げである。
「今後私たちはスマートフォン領域の開発で培った技術・ノウハウを活かし、自社サービス事業の比率を高める構想を掲げています。MDM関連にとらわれず、目下複数の新サービスを2020年度に立ち上げる計画を進行しています。ソフトバンクの最新技術を取り込めるポジションにいる利点を最大限に活かし、トライ&エラーを繰り返しながら業績にインパクトをもたらすサービスの創出を目指します」。(持田氏)
二つ目は、拠点の強化である。
「2019年の6月に福岡に開発拠点を設置し、すでに4名のエンジニアが稼働しています。福岡市は国家戦略特区として指定されており、ベンチャー企業の支援と、ベンチャー企業で活躍する人材の創出に積極的に取り組んでいます。優秀な開発エンジニアが集まるエリアに拠点を設置して横のネットワークを形成し、新しい展開のチャンスをうかがいます。ベンチャー企業は、優れた技術を商品化し、PR・販売するノウハウを持っていないケースも多々あります。埋もれた技術を発掘し、自社サービスと連携させることで新しいサービスが生まれればいいと考えています」。(持田氏)
三つ目には、技術を担う人材の増員である。
「現在、全従業員の中でエンジニアが占める割合は7割程度ですが、今後もっとエンジニアの比率を高めていきたいと考えています。優秀なエンジニアを一人でも多く増やし、Tech企業として最も重要な技術力を売る集団を目指していく方針です」。(持田氏)
2004年に設立して以降、MDM事業で発展を遂げてきた同社は、2017年にソフトバンクグループの一員になったことで、Tech企業としてさらなる発展を遂げる可能性が膨らんでいる。今まさに、第二成長期に差し掛かった段階であり、「新しい技術開発にチャレンジしたい」「世の中に新しい価値を提供するサービスをつくりたい」と考える人にとって、絶好のチャンスだと言えるだろう。
優秀な社員が、場所と時間にしばられない働き方を叶える福利厚生・制度をつくる
優秀な人材が能力を発揮し続けるためには、「この会社で働き続けたい」と思える環境が欠かせない。その点、同社の福利厚生をはじめとする社内制度は大きな魅力となっている。
同社はソフトバンクグループになった段階で、グループ共通の制度を一部導入した。その中でも フルフレックスタイム制は、同社の多様な働き方を象徴する制度の一つだ。通常のフレックスタイム制は、「○時~○時は出勤必須」というコアタイムが存在するが、同社にはそのコアタイムが存在しない。極端な話、いつ出勤・いつ退社してもOKの勤務形態である。多くの社員は通勤ラッシュピークの時間帯を外し、10時くらいに出社しているという。また、在宅勤務の要望にも柔軟に対応しており、あるエンジニアは家庭の事情で実家がある熊本に戻り、在宅で開発業務を行っている。また、産休前の女性社員が、体調に配慮して在宅勤務したケースもある。
「政府が実施しているテレワーク・デイズにも参加しています。最近では7月に1日間、20名の社員がテレワークを行っています。当社は場所・時間の枠にしばられない働き方にかなり柔軟だと思います。副業も認めており、お天気キャスターや料理教室の先生などをしている社員もいます。第二の仕事で得たものを第一の仕事に活かせれば良いのではないでしょうか」。(持田氏)
ソフトバンクグループの福利厚生を導入すると同時に、自社オリジナルの制度も導入している。一風変わった制度では、毎週水曜日にさまざまなおやつが配られる『おやつの日』や、毎週月曜日に社内カフェスペースにビュッフェが登場する『あさごはん制度』などが挙げられる。
さらには、社員同士のコミュニケーションを円滑にするための社内部活動も支援し、認定した部には部費を支給している。ジャンルは趣味・勉強・スポーツなど何でもOK。スキー部、ヨガ部、ボードゲーム部、英語部、ボルダリング部などがあり、ボードゲーム部はエンジニアを中心に毎回20名くらいが参加し、どんどん輪が広がっている。
数多くの先端IT企業が進出し、最新情報をキャッチアップできる渋谷を拠点に、最高に働きやすい職場環境のもと、最高に面白い仕事を追求できるのがAXSEEDという会社だ。同社は能力を思いっきり発揮したいメンバーの参加を心待ちにしている。