圧倒的なスピードを叩き出し、ブロックチェーン業界に革命を起こす
AIやIoTなどと同様に、世界を変える可能性のある最先端技術として注目が高まっているブロックチェーン。株式会社アーリーワークスは、世界中のどの企業もなし得なかった「超高速のブロックチェーン」の開発に成功した期待のベンチャーだ。
もともと、ブロックチェーンという技術は多くの課題を抱えている。一番のネックとなっているのが「スピード」で、セキュリティ面を重視するあまりにそのスピードが犠牲になることが当たり前だった。処理速度が遅いため、実用性に乏しく、技術的には大きく注目を集めながらも、実際のプロダクトとして活用されるケースは非常に少ないのが現状だ。
実際、既存のブロックチェーンが1つの取引を処理するのに、例えばビットコインが10分、イーサリアムが15秒、イオスが3秒かかると言われている。そんな中、同社が開発した「Grid Ledger System(GLS)」は0.2秒と驚くべきスピードを叩き出している。広く使われている「Suica」の技術要件として定められている0.3秒すらもクリアする、驚異的な数値なのだ。
「我々はブロックチェーンの根底のところから作り直して、GLSを完成させました。それを可能にしたのが、弊社CTOの山本のアイデアと技術力、そして開発力です。創業間もないベンチャーですが、非常に技術力の高い会社だと自負しています」(CEO・小林聖氏)
その技術力の高さは、各方面からもお墨付きだ。同社は2018年5月に創業したばかりだが、その3カ月後にはNTTドコモの5Gパートナープログラムに出展。そこで技術力が評価され、5Gソリューションパートナーとして実証実験もスタートさせている。パートナー選定された15社はそうそうたる大企業ばかりだが、アーリーワークスは唯一のベンチャー企業として大いに話題となったのだ。
「さらに今年2月には、開発の視野を広げようと、ビジネスでの実利用を見据えた超高速ブロックチェーンアルゴリズムの開発に向け、東京工業大学との協業もスタートさせています」(小林氏)
その処理スピードの速さから、今後はデータベースへの置き換えも進むだろうと言われているが、GLSについてはデータベース活用も最初から視野に入れて開発が進められており、その可能性は間違いなく大きなものとなるだろう。特許や知財としての申請も進めており、ゆくゆくはOSSのライブラリーとして提供していく方針だ。
ブロックチェーン活用のボトルネックであった"スピード"の問題を解決し、さらにはオープンソース化を目指す。同社はまさに、ブロックチェーンの世界に突如現れた"革命児"と呼ぶべき存在なのだ。
世界一の速度を記録し、大きな注目を集めている革新的なシステムだ。
「SQL互換」で、誰もが使えるブロックチェーンの実現を目指す
「ブロックチェーンの分かりにくさの1つに、マネタイズモデルが見えにくいことが挙げられます。ある監査法人のデータでは、毎年世界中で何万というプロダクトが立ち上がっているが、残るものは8%程度で、さらに実証実験や実サービスまで進むものはほんの一握りなのだとか。そんな中、我々はNTTドコモ社とのプロジェクト以外にも、いくつかの実用化プロジェクトが進行中です」(小林氏)
最近は、米Facebook社が仮想通貨「Libra」の開発を進めるなど、大手企業がブロックチェーンを活用したビジネスに積極的だ。ただ、そうした取り組みのベースになるのは従来の"遅いブロックチェーン"技術であるため、いつか限界が来るのは目に見えている。そんな時に、GLSがどれだけの価値を発揮できるかは、想像に難くないだろう。
その鍵となるのが、同社が目指す「SQL互換」だ。いくらブロックチェーンに注目が集まり、そのランニングコストが下がったとしても、学習コストが高ければ、本当に使えるものにはならない。そこで、普通のエンジニアでも簡単にブロックチェーンを学べるように、SQLに互換性を持たせることを考えたのだという。
「MySQLやmongoDBなど、APIが公開されているものと連結させることで、多くの会社が導入しやすい形に持っていく考えです。すでに大手ITベンダーの協力のもと、そのプロジェクトも進行中です」(小林氏)
圧倒的なスピード、コスト削減、SQL互換…こうした従来のブロックチェーンにはなかった思想を持つGLSを、サブスクリプション型で誰でも簡単に使えるものとして販売していくのが、同社の事業の柱となる。海外進出も視野に入れ、そこに向けた資金調達も着々と進んでいるという。
「我々は2020年10月のIPOを実現することで、日本にもちゃんとしたブロックチェーン開発会社があるんだということをアピールしていきたいと思っています。そして、創業間もないベンチャーであっても、技術力さえあれば大手企業と肩を並べられるということを、多くの人に伝えていきたいです。その結果、IT後進国と言われる日本にも、圧倒的な技術力を持った会社があるんだということを世界中にアピールしていけたらと思っています」
組織の文化や制度までも、これまでにないものを構築したい
アーリーワークスの強みは、開発力やプロダクトの凄さだけではない。
「私とCTOの山本はベースとなる哲学が一緒なんです。人がどう歩むべきか、システムはどうあるべきか、会社はどうあるべきか、ほとんどの考え方が一致しています。そんな2人が経営の中心にいるわけですから、ベクトルがブレない自信があります。やりたいことも、やらなくてはいけないことも全て決まっていますし、実現したい世界も同じなのです」(小林氏)
仕事の進め方の面でも、これまでにない新しいものを構築したいと考える小林氏。社員の提案で既にフレックスタイム制が導入されたが、今後はあらゆる制度を、社員間で密にコミュニケーションを取りながら創っていくという。
「新しいカルチャーを創ろうとしているので、チャレンジングな人ほど楽しいと思います。会社に勤めているというよりは、『そのコミュニティに属している』という感覚を共有できればいいなと思っていますね。現状、実制度として何かあるわけではないので、一緒に会社創りから手伝ってくれる仲間だと嬉しいですね。根幹はものづくりの会社なので、システムだけでなく、文化や制度、会社そのものだってクリエイトしていける、そんな場所にしていきたいと考えています」(小林氏)
基本は少数精鋭の組織を目指す。事業内容がディープテックであるだけに、中途半端な知識・スキルセットでは理解ができないだろう。それを踏まえた上で、正しく開発や営業ができる人をきちんと集めて、育てていくつもりだと考えている。
現在は正社員が7名と役員3名による10名体制。入社の動機として多いのが、「一緒に働く人の知的レベルの高さ」だという。知的好奇心が高い人にはピッタリの会社と言えるだろう。
2019年11月には、新たなオフィスに移転予定。より一層コミュニケーションが取りやすい職場環境を整えるべく、いろいろと計画中だ。新オフィスを足場に、IPO、そして世界を目指していく。
コンセプトである「今すぐ“使えるブロックチェーン”をすべての企業、すべての人に」が実現されたその時には、「ブロックチェーンといえばアーリーワークス」と言われる世界が間違いなくやってくるだろう。