国土交通省が進めるCALS/ECに対応。公共事業に特化した情報共有システム「information bridge」
石川県金沢市にある株式会社アイサス。同社が提供する「information bridge」は、公共事業に特化した情報共有システムだ。
国や地方自治体が発注者となる公共工事は、工事を進めるにあたり、受注した建設会社と発注者の自治体との間で、細やかな情報共有が必要とされる。工事の各段階で、発注者の承認がないと工事が進行しないケースも多い。受注者が工事の進捗を報告し、それに対し発注者が承認を与えるプロセスを、紙の書類にハンコを押して進めていた。
「公共工事を進めるには、細かい書類のやり取りが必要です。各自治体が作ったフォームに入力して、必要な書類を添付して登録。工事の進捗に合わせて、自治体の担当者に承認を求めなければなりません。工事の現場は役所がある市街地から遠く離れている場合も少なくありません。半日かけて役所まで書類を届け、仮に不備があれば戻って修正し、もう一度届けるといった効率の悪いことをしていました」(専務取締役・平本孝範)
そんな効率の悪い受発注者間のやり取りをオンラインで進めるのがアイサスの「information bridge」だ。ASP形式でシステムを提供しているため、専用アプリケーションを必要とせず、導入・更新に経費と手間がかからない。料金は1工事ごとに発生し、それぞれの工事に関係する利用者数がどれだけ増えても、登録データ容量がどれだけ大きくなっても料金の追加が発生しないのが特長だ。
「公共工事に関するデータのやり取りは大容量になるのが普通です。2次元の設計図でも200メガ、300メガのデータ容量があり、メールに添付して簡単に送れるサイズではありません。国土交通省が進めるCALS/EC(キャルス/イーシー)という"公共工事に関する情報の電子化"の取り組みがあり、国土交通省が発注する公共事業は、2004年度から全ての事業をCALS/ECの対象にしています」(平本氏)
「information bridge」は、全国の自治体の公共工事で活用され、その数は年間3000工事に上る。同じようなシステムを提供する会社は全国に9社あるが、アイサスはその中で、従業員25名の金沢にある小さな企業ながら、シェア上位に位置しているというから驚きだ。
「当社は公共工事の情報共有システムに特化した会社です。公共工事は普通の工事とは違って、独特のビジネス慣習や業界特有のルールがある世界。3名のCALS/ECエキスパート、5名のCALS/ECインストラクターを擁する当社だから提供できる、現場での使い勝手を重視したシステムが強みです」(平本氏)