MLB球団からも高く評価される映像検索・分析サービスを開発

プロスポーツデータの解析・分析サービスを開発・提供しているRUN.EDGE株式会社。2018年に設立してから急成長しているITベンチャーだ。

同社が提供している競技映像の分析サービス。直感的なUX、高速化技術が高く評価され、日本だけでなくメジャーリーグでも活用されている。
スポーツの世界でのデータ活用は日に日に重要性を増している。RUN.EDGE株式会社では試合映像の分析を軸に、高速な映像検索・分析サービスを開発し、監督・コーチだけでなく選手も利用可能なアプリケーションをプロスポーツ分野で提供している。
「RUN.EDGEという社名には、最先端のテクノロジーを活用しながら尖ったモノを生み出す、そしてそこへ向かって社員みんなが全力で走っていく会社でありたいという想いが込められています。その想いを実現するため、社員1人ひとりの個性や技術を大切にするプロのエンジニア集団というのが、RUN.EDGEが目指す姿です」(代表取締役社長 小口 淳氏)
富士通から独立し、設立間もない会社ではあるが、同社のサービスはすでに日本のプロ野球球団だけでなく、米国MLB(メジャーリーグベースボール)の球団でも採用されている。試合の映像分析の担当者に限らず、コーチや選手も日々活用する分析ツールとして、高い評価を得ている。2019年度には多数のMLB球団への製品トライアルが予定されており、ビジネスの更なる拡大が見込まれる。
こだわりのUXで、野球だけでなくサッカー分野にも進出

代表取締役社長 小口 淳氏
富士通に入社し、スポーツビジネスのプロジェクトを立ち上げ、2018年6月にRUN.EDGE株式会社を設立した。

明るく広々としたオフィスは、働きやすい環境だ。社内では活発にコミュニケーションが取られ、会社全体で一丸となってプロダクトを生み出している。
業界には様々な分析ツールが存在するが、なぜ、同社サービスが評価されるのか?その理由の一つがこだわり抜かれたUXだ。
プロスポーツにおける戦術構築において競技映像を活用することは目新しいことではないが、使用する映像の加工・編集は、スポーツアナリストやデータ分析担当者が映像編集ツールを駆使して行っているのが現状だ。
対して同社のサービスは、分析担当者だけでなく選手・コーチ・監督が自分で分析できるというアドバンデージを有している。直感的なUXによって、分析したい複数のシーンを簡単に検索し、特許出願中の技術によりサクサクとストレスなく次々に再生することが可能だ。必要なシーンだけ集めたダイジェスト映像は、チーム内でシェアすることも、オフラインの環境で見ることもできる。シーンの比較機能はピッチングフォームの分析をタブレット上で細かく行うのに有用だ。他にも、モバイル環境でもストレスなく使えるための独自の再生技術の開発や、スポーツ分析における新しいコミュニケーションを生むための新機能の設計など、ユーザーの新しい体験を考え抜き実現している。
「野球だけでなく、サッカーの映像分析をサポートするプロダクトも現在開発中です。バルセロナにあるコーチ育成機関とパートナーシップを結んで開発を進めるとともに、スペイン、フランス、ブラジルの世界有数のチームにおいてトライアルも実施しています。まずはヨーロッパでの展開を想定しているため、2019年夏のシーズン開幕に合わせてローンチ予定です」(小口氏)
野球とサッカーという、異なるスポーツの映像分析ノウハウを組み合わせることで、今後は他スポーツへの拡大も視野に入れる。たとえば、アマチュアスポーツ向けに、自分たちで撮影した動画を使って、選手が自分で分析を行えるプロダクトを開発中だ。
開発者による「魂こめた」モノづくり

社員全員が同じ目標を共有し、グローバル市場を意識した"世界最高のプロダクト"を生み出そうとしている。

開発をするだけではなく、サービスの企画やデザインにも意見を求められる。他の会社では味わえないやりがいを感じられる環境だ。
同社の開発スタイルは、「プロダクトアウトを重視している」と小口氏は語る。
「まずは、社内のエンジニアたちと共にプロダクトの方向性や目的、価値を企画した上で、どのような機能が必要か、どのような技術を使用するのか、自分たちでじっくりと検討しながらプロトタイプを開発します。その上で、実際にユーザーに使ってもらい、改善を加えていくというのが当社の開発スタイルです。初めからユーザーの意見を主体として開発する方法もありますが、その場合、どうしても『言われたものをつくる』意識がつくり手側に芽生えてしまいます。ユーザーの要望だけをベースにして、開発者がプロダクトが提供すべき本当の意味や価値を自ら考えなくなると、結果的にプロダクトが生み出せる可能性が小さくなってしまうのです。つまり、プロダクトが本質的な価値を生み、ユーザーの現場に大きな進歩をもたらすためには、開発者がものづくりの中で常に自分の頭で考え続ける必要があると考えています。従って、受け身ではない開発者起点の主体的なものづくりを行うために、まず自分達が考え抜いてものを作り、その後にユーザーの意見を聞いています。考えることをやめないこと。これが我々にしか作れない魂のこもったプロダクトづくりにつながると考えています。ユーザーによるトライアルを経て大きく形が変わっていくこともありえますが、それでも、自分たちで考え、自分たちの手で形にして本気でぶつけて考えることをとても大切にしています。」(小口氏)
それだけに、当社にジョインする人材には、「モノづくりが好きで、エンジニアとして成長したい、世界中に最高のものを届けたい」と本気で思っていてほしいと小口氏は続ける。
会社としても社員の学びを積極的に支援している。会社の事業に寄与すると認められた社外研修やセミナー受講費用は会社が負担している。また、自身の成長を目的としていれば、年間1万円まで会社の承認をとらずに自由に書籍やプロトタイプ用機材などを購入できるというユニークな制度もある。
「当社はアメリカやヨーロッパなど、グローバルに事業を展開し、こだわり抜いたUXで世界一のプロダクトを本気で目指しています。その実現のため、先端技術にも積極的に挑戦し、開発者やデザイナーが一丸となって、改善を繰り返しながらサービスの質を高めていっています。エンジニアが自身を磨きながら、市場価値を高める事ができる環境があると自信を持っていえます。一緒に成長する仲間を待っています」(小口氏)
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