クリナップソリューション株式会社

クリナップソリューション株式会社では、システムキッチンやシステムバスのメーカー「クリナップ」のデジタルマーケティング担当者を求めている。しかし、クリナップソリューション自体は、クリナップグループ内のシステム開発会社。同社で親会社のマーケティングを担当する人材を募集している背景を、順を追って説明しよう。

まず、クリナップソリューション株式会社は、クリナップ株式会社の100％子会社である。クリナップ株式会社の人事系システムを作っていた株式会社エイチエスケイを前身に持ち、2017年4月に株式譲渡により完全子会社となった。元来はシステム開発会社でソフトウェアの受託開発やITエンジニアの派遣事業をしていたが、クリナップの子会社となったことでクリナップグループのシステム開発全般を担うことになったのだ。

「1990年7月の設立以来、当社の前身であるエイチエスケイとクリナップグループは、30年近い付き合いがあります。クリナップ本体の事業多角化の一環で、情報システム部の強化を目指していたところに、子会社化の話が持ち上がり、クリナップグループの情報システム部の機能を集約する形で設立された会社です」（事業企画課 部長 石川明）。

子会社化することで、クリナップソリューションの経営は、今まで以上に安定することになった。人事系システムだけでなく、グループ内のさまざまなシステムを担当することになり、今やグループ内からの依頼が8割を占めている。

「2つの会社が1つになったイメージです。働く人間も半分はエイチエスケイの出身で、残りの半分はクリナップ本体やグループ会社から転籍してきた人間です。エイチエスケイの事業を継承して受託開発やパッケージソフトウェアの販売・導入支援を専門にしている部隊もいれば、マーケティング企画支援の人間もいます」（石川氏）。

クリナップソリューション株式会社で募集しているのは、システム開発のエンジニアでなく、デジタルマーケティング担当者なのは、そんな会社の出自も関係しているのだ。所属はクリナップソリューションになるが、実際に働くオフィスは同じ社屋内のクリナップ株式会社デジタルマーケティング課となる。

クリナップソリューション株式会社の親会社「クリナップ株式会社」は、東証1部上場の大手企業。システムキッチン・システムバスの世界で、業界初の画期的な製品を数々と世に送り出し、業界のトップランナーとして現在の地位を築いてきた。人口減少で日本経済全体がシュリンクしているなか、どの業界でも競争は激しく、業界を代表するメーカーの一つである同社も例外ではない。将来を見据えて、販売ルートの拡大や事業の多角化を推進し、ECサイトやWebサイトを展開している。

「O2Oへの取り組みやMAの導入など、これまで手掛けてこなかったマーケティング手法にも積極的にチャレンジしています。クリナップ本体だけでなく、クリナップソリューションの人間も一緒になって、デジタルマーケティングの体制作りを進めています」（クリナップ株式会社 開発本部EC推進課 課長・葛原浩司）

クリナップの製品を販売するための取引先は、販売店、工務店、ハウスメーカーがメインである。全国に100カ所以上にショールームがあり、ビジネスモデルが異なることも手伝い、Webでの集客には力を入れてこなかった。しかし、スマートフォンが広く普及したことにより、同社の顧客にも変化が現れたという。

「エンドユーザーが年々商品に詳しくなり、お客様から鋭い質問をいただきます。昔は4社5社の見積もりを比較して決めたものですが、今のお客様は自らインターネットで情報収集し、ご来店いただいた時点である程度絞り込んでいる方も少なくありません。詳しいところはまだ探っている段階ですが、肌感覚でお客様の購買行動が変化しているのを察知しています。そこで今のお客様が何を求めているのかを具体的に知るため、デジタルマーケティングの必要性を感じています」（葛原氏）

ショールームに足を運んでもらうため、BtoBtoCの意識を持ってデジタルマーケティングに取り組む必要があるのだ。新宿のショールームで実験的にデジタルマーケティングの手法を導入したところ、好感触が得られ、新しい販路を構築できるかもしれないと社内でも期待されている。

コンテンツマーケティングの観点から、公式ECサイトで何を販売すれば、お客様が喜び、お客様の生活を充実したものにできるかを一緒に考えて作り上げる人材を求めているのだ。同社でなら「顧客が何を求めているかを知る」というマーケティングの本義に沿った仕事ができそうだ。

クリナップソリューションのメンバーだけでなく、親会社クリナップの人間も参画してデジタルマーケティングの体制作りは進められている。長くコールセンター担当をしてきた人や、社内研究者として「生活」の研究をしている人、ショールームで顧客と接してきた人もいれば、広報・宣伝の担当者もいる。

「社内になかった機能を作っているため、いろんな人材が集まって知恵を絞っています。マーケティングの専門家はまだいませんが、それぞれのカタチでエンドユーザーとコミュニケーションをしてきた者たちです。その経験を生かしてエンドユーザーとのコミュニケーションを形作ろうとしています。今回の募集で新たな人材を獲得し、社外からの風を吹かせてほしいと願っています」（葛原氏）

CRMの推進に携われるということから、やりがいを求めてクリナップソリューションに転職した間普氏は、同社での仕事について次のように語る。
「大きい組織で新しいものが生まれている最中で、そこに自分の活躍できるフィールドがあると感じ入社しました。各システムを連携させてデータをシームレスに共有できるようにするなど、もう少し局所的な仕事をするものだと思っていたら、デジタルマーケティング全般を任されています。思いもよらない展開でしたが、おかげで楽しく働いています」（ソリューション事業部 産業ビジネス開発課 主任・間普聡）

Web制作会社で働くWebディレクターは、依頼があったサイトを作って終わり。達成感はあるかもしれないが、その後の顧客の動向を知ることは少ない。クリナップソリューションでなら、業務内容を熟知したうえで、最適なWeb戦略を立案・実践するだけでなく、効果測定、検証までを担当する。マーケティングの結果、必要なWebサイトを制作する際の外部ディレクションも仕事のうち。Web制作会社での経験も生かせる。

「これまでに運営してきたクリナップのECサイトやWebサイトを改善しながら、新たなお客様とのコミュニケーションを作り上げる仕事です。新しいことにチャレンジしている職場は高稼働になりがちですが、当社の就労環境は親会社と同じですから、一部上場企業と同水準。チームで仕事を進めるため、一人で業務を抱え込むことがなく、残業もほとんどありません」（間普氏）

東証一部上場企業である子会社の未来を背負うような新しい取り組みにもチャレンジできて、仕事の範囲が広いため自らのスキルアップも果たせる。受託する立場から発注元に移りたいと考えているWebディレクターや、Webマーケター、Webコンサルタントにとって、恵まれた環境がクリナップソリューションにはある！