日本を代表する企業が共同で設立。300社、30万人超にサービス提供中
エイチアールワン株式会社は、人事給与業務のアウトソーシングを中心に、人事分野に特化したBPO(Business Process Outsourcing)サービスを展開する会社だ。この領域では国内ナンバーワンの売上を誇る。
設立は2002年。住友信託銀行(現三井住友信託銀行)、松下電器産業(現パナソニック)、花王の3社の人事給与業務を受託する会社として誕生した。いずれも日本を代表する企業だ。業界の異なる3社が、人事業務を集約・標準化する共通のプラットフォームを作り、それを3社だけでなく他社へ横展開することで、日本全体の人事業務の生産性を上げる――このような理念の下にスタート(当時の社名は人事サービス・コンサルティング株式会社)。2009年には、三菱商事グループの人事部から人事アウトソーシングを主要業務として分社化された、ヒューマンリンク株式会社の人事給与アウトソーシング事業部門を統合し、今のエイチアールワンが誕生した。
「従来、人事業務は社内のみで閉じた部門。人事給与業務のアウトソーシングサービスは、1社1社が独自のルールで運用しているものを標準化・効率化するもので、言ってみれば、きれいな既製服に着替えてもらうようなサービスです」(執行役員・南部広樹氏)
実際、エイチアールワンは、金融、メーカー、総合商社の複雑な給与業務を、世界屈指のERP、SAPを使って標準化した。自ずと多様な業界に対応できるサービスとなり、創業時の理念の通り、積極的に外部へ展開。今ではクライアントの6割以上が外部の会社だ。利用社数は300社超、サービス提供人数は30万人超の規模に成長し、なお刻々と増えている。
導入前は、各社とも独自のやり方で、マンパワーを割いて実施していたであろう給与業務を、エイチアールワンが引き受け、統一のやり方で効率的に行う。各社で生まれた人的余力は、よりコアな業務に投じられ、企業の生産性が向上する。エイチアールワンは、300社・30万人の規模で、このような効率化を行い、日本の生産性向上に貢献している会社と言えるだろう。
クライアントは大企業が中心だが、中小規模の企業も増えてきている。ひとたび受託すれば、継続率もほぼ100%だ。というのも、給与業務の外注は導入時の負担が大きいこともあり、安易に始めたり辞めたりはしないからだ。よって、導入時は慎重にサービスの質、コストパフォーマンス、実績、信頼性などを見極める。これらの要素は、いずれもエイチアールワンはピカイチだ。実績がさらなる実績を呼ぶ形で、右肩上がりの成長を続けてきた。だが、ナンバーワンの地位に安住することなく、常にサービスの改善に取り組み、現在のように多くのクライアントから信頼を得るようになった。
AI、ロボットなど常に最先端の技術を導入。事業領域も拡大。人事のコア業務へ
一方で、「給与業務のアウトソーサー」とは、エイチアールワンのほんの一面でしかない。同社を、定型業務を地道に遂行している会社と思ったら大間違いだ。そもそも創業時、日本国内の多種多様な業界の膨大な給与業務を、SAPを使って標準化、効率化しようと発想したことが、十分にイノベーティブだった。その後、企業がノンコア業務をアウトソーシングする流れは加速し、時代が追いついてきた今、エイチアールワンはさらに先を見据えている。
一つはAI、ロボットなどの最新の技術を取り入れ、エイチアールワン自体の生産性を飛躍的に向上させることだ。今まで人が行ってきた問い合わせ対応や画像取込みをAIに置きかえるほか、これまで人がやってきた入力処理などをロボット(RPA)が代行するプロセスに変えていっている。少ない人数で、より多くの処理を円滑に行う仕組みづくりが着々と進んでいる。
そしてもう一つは、給与業務に留まらず、目標・成果・報酬の管理やキャリア開発、人員の採用・最適配置など、人事業務の中でもよりコアな業務へと進出することだ。給与アウトソーシングの導入プロセスやその後の運用で、エイチアールワンには膨大な人事関連のデータが蓄積される。ビッグデータとAI技術を活用すれば、これらのデータから、企業に対して新たな提案ができる。すでに給与関係のサービスはすべてクラウド化。データを蓄積し、活用する基盤はある。今後、蓄積するデータの範囲を広げていけば、人材の有効活用と企業の成長に直結する様々なサービスを提供できるだろう。既に一部は「タレントマネジメント」としてサービスを開始しているが、さらに注力していく考えだ。
「少子高齢化やグローバル化などの社会情勢を背景に、企業は様々な課題に直面しています。日本企業の人事業務効率化と生産性向上を目指した創業時が第一段階としたら、今は、人事、人材活用という側面から、より積極的に企業の成長に資するサービスを生み出す第二段階に入っています」(南部氏)
業界ナンバーワンながら、いや、業界ナンバーワンだからこそ、今後も歩みを止めない決意だ。国内外には数々のBPO企業がある。特に、テクノロジーの発展により言葉の壁がなくなったとき、海外の企業は脅威だ。エイチアールワンは、どこまでも挑戦を続ける。
今後のテクノロジー激変を見据え、中心となって活躍するメンバーを募集
エイチアールワンにおいて、システム事業部門の果たす役割は非常に大きい。創業以来、常に先端の技術を取り込み、いかにお客様に対して新たな価値を提供できるかが、大きなテーマだからだ。
システム事業部門は、東京と大阪を合わせて100人弱の所帯だ。個々の技術と知識を活かし、チームが一丸となって、既存サービスの安定的な運用と改善、および新たなサービスの開発に取り組んでいる。キャリア採用で加わるメンバーは、システム開発会社などIT業界出身者が多いが、なかには未経験からの挑戦組もいる。経験者、未経験者ともに共通しているのは、サービスを作ることやお客様の役に立つことへの意欲だ。
「お客様に近いところでサービスを作りたいという理由で入ってくる人は多いですね。先端のIT技術も使いますが、我々にとってITはツール。技術を使って何を提供できるかが大事です。なので、例えば今、システム開発や運用の仕事をしているが、お客様の顔が見えず、システムの全体像もわからないような状況に悩んでいる人がいたら、ぜひ当社に来てほしいと思います」(南部氏)
これから加わるメンバーには、今後5年~10年の間に訪れるテクノロジーの激変を見据え、中心となってエイチアールワンを引っ張ってほしいとも期待する。求めるのは、サービスを安定的に運用する地道さと、先を見据えて挑戦するマインド、行動力も持ち合わせる人だ。志願したら、最新の技術に取り組むこともできる同社。「挑戦しないともったいない」と南部氏は言う。毎年、選抜したメンバーをシリコンバレーや上海など海外の最先端事例の視察に送り込むほか、システム事業部門のメンバーは皆、一度はオフショア拠点であるアジア(大連、ハノイ)の協力会社を訪ねる機会もあり、自然と国外へも目が向く。
マーケットも有望だ。「潜在的なBPOの市場規模は3000億円と言われています。それに対して、当社の売上はまだ100億円未満。業界全体でも200~300億円程度です」と南部氏。開拓の余地はまだ大きく、実際、引き合いも絶えない。
技術やサービス開発の経験など、キャリア形成の面で得られるものが多いほか、働きやすさも抜群だ。給与業務の運用部門を中心に社内は女性が多く、育休や時短も当たり前に取得する。普段から、お互いに協力しあう空気が醸成されているため、子どもの有無に関わらず、多様な社員が気持ちよく働けるのだ。この良き雰囲気のなか、お客様の顔が見えるサービスに携わり、最先端の技術に触れ、新たな価値を創造するチャンスもある。エイチアールワンは、そのような様々な魅力にあふれた会社だ。