残業は極力しない! プライベートの時間をしっかり確保し、技術力向上に生かす
株式会社ジュエルケースネットは、ネットワーク/サーバーの設計・構築およびシステム開発、セキュリティーコンサルティング・診断・対策を手がけているIT企業。社名の“ジュエルケース”とは、“宝石箱”のこと。宝石のように輝くエンジニアを大切にする会社という理念から命名された。
そんな同社の最大の特長は、勤務時間が年間を通して月間平均180時間以下を社是としていること。「2010年2月の創業以来、破ったことはただの一度もありません」と代表取締役の山田峰秀氏は胸を張る。2018年1~6月の半年間においては、月平均149時間という実績を上げている。1日平均7時間強、である。その理由について、山田氏は次のように話す。
「私がエンジニアだった頃、残業が非常に多くきつい思いをしました。何が辛かったかといえば、新しい技術を学ぶ時間が取れなかったことです。だからこそ、プライベートの時間をしっかり確保できる会社をつくろうと当社を創業しました。社員には、空いた時間はエンジニアとしての能力を高める勉強に有効活用してほしいと思っています」(山田氏)
もちろん、業務の状況によって180時間に抑えることが難しくなりそうな局面は発生する。「そうした場合は、比較的余裕のあるメンバーにシフトして強制的に休ませたり、目に余るケースは業務そのものから手を引かせてもらっている」と山田氏。それほど徹底しているのだ。
こうした対応ができるのも、同社の高い技術力や業務遂行力が評価され、国内最大手クラスの通信・システム開発ベンダーと直接取引し、仕事を選べる環境に身を置いているから。
「エンジニアによって、LinuxやUNIX、Solaris、あるいはCISCOなどと、やりたい技術領域がそれぞれあります。もちろん、案件に求められる技術レベルに本人の能力が追いついていない場合もありますが、それらを勘案してできるだけ本人がやりたく、かつ成長できるような案件を確保するようにしています」(山田氏)
自らの経験から、プライベートの時間をきっちりと確保することの大切さを学び、自ら起業。
大手通信企業で最先端の通信技術開発に関わる技術力
同社が得意としているのは、ネットワークやサーバーの設計・構築といったインフラ領域。大手生命保険会社のネットワーク構築・運用といった一般的な業務を手がけるだけでなく、大手通信企業の研究所に常駐しての最先端の通信技術開発に従事するというレベルにある。
「通信ネットワークにおいては、トラフィックの状況によってルートや分岐点が混雑することがよくあります。当然、通信速度は落ちるので、バイパスに流すことが必要になります。そういったルート分散技術の研究をお手伝いしたりしています」(山田氏)
また、大規模なマラソン大会などの際に、どれぐらいの人が集まるとネットワークにどれだけのアクセスが生じ、必要な容量をいかに確保するかといった研究にもタッチしている。セキュリティにおいては、クライアントのシステム環境に“ホワイトハッキング”を行い脆弱性を診断、セキュリティホールへの対処の提案および実施といった業務を手がけている。
こうしたクライアントとは、山田氏が前職時代から関わる中で信頼関係を深めてきた(インタビュータブ参照)。創業当初は山田氏が直に知人に声を掛けて仲間を増やし、初年度800万円程度の売り上げから“倍々ゲーム”で成長を始める。ここ数年は130~140%の成長を続け、創業8年目となる2017年度の売り上げは1億4,000万円に至る。
今後のビジョンについて、山田氏は次のように言う。
「社員の幸せを第一に考えています。ですから、急激に規模を大きくするといったことは考えていません。社員がやりたくもない仕事を無理に取って来なければならなくなるからです。そうではなく、あくまでも仕事が選ぶことができ、社員の状況に目が届く範囲内で、少しずつ徐々に増やしていければいい。そして一人ひとりの力量を磨き、より付加価値の高い仕事ができる“エンジニアの宝石箱”をつくっていきたいと思っています」
社長に何でも好きなことが言える、フランクでフラットな雰囲気
前述のとおり、エンジニアの能力向上に力を入れている同社。例えば、ネットワークエンジニアに欠かせないCISCOのCCNAやCCNPといった資格取得のための社内勉強会や、社外セミナーへの派遣に取り組んでいる。もちろん、受託するハイレベルの業務が何よりのOJTの機会になっていることは言うまでもないのだが。
「受講費用や必要な参考書などの購入は、もちろん会社が全費用を負担しています。また、社内にあるCISCOのルーターなどを勉強用に貸し出すといったことも促進しています」(山田氏)
風土づくりのポイントとしては、「社長である私に、何でも好きなことが言えるフランクでフラットな雰囲気づくりを心がけている」と山田氏。社員から意見や要望を集め、会社づくりに反映させるボトムアップ型のスタイルだ。
「年1回の社員総会というオフィシャルな場だけでなく、1~3カ月ごとに回る各現場でも都度メンバーとコミュニケーションを取って話を聞いています」(山田氏)
2018年8月現在、約30名(うち正社員14名)のメンバーは客先の複数の現場に分かれ、各業務に就いている。そうしたグループごとに、自由参加の飲み会が多いところで週1~2回と頻繁に行われているのが特徴的だ。全社員が集う懇親会も年2~3回行われているという。また、年1回社員旅行に出かけており、2017年の冬は金沢に行った。「ノドグロが食べたくなって(笑)」と山田氏。
そんな同社が求める人材について、山田氏は次のように期待を寄せる。
「やる気があり、スキルアップにポジティブに取り組める方。そして、当社にはコミュニケーション力が高いメンバーが揃っているので、そういった方にぜひ来ていただきたいと願っています」(山田氏)
ITの世界にあって、“超ホワイト企業”かつ高い技術力を誇る同社。プライベートを重視しながら自分の能力を高めたいエンジニアには絶好の環境といえるだろう。