安心できる環境で、人生設計ができる。そんな「理想の会社像」を目指して。
株式会社トイロジックは、家庭用ゲームソフトやPC用ゲームソフト、スマートフォン用ゲームソフトを企画・開発・販売する会社だ。設立は2006年12月で、東京・大塚に本社を置く。受託開発と自社パブリッシングのバランス(およそ6:4)を大切にしており、受託を受ける際には金額よりも「スタッフにとっていい経験になるか」を重視。これは、“守りの戦略”として今後も続けていく方針だ。自社コンテンツのパブリッシングでは、第1弾タイトル「Happy Wars」が日本のみならず欧米圏でヒットし、累計1,400万以上のダウンロードを記録した。
社名の「TOY」は、その名の通り子どもから大人までワクワクする「遊び心」を表し、「LOGIC」は時代を牽引する先端の「技術力」を示す。この2つを融合させた「喜び・驚き・感動」がトイロジックの開発コンセプトとなり、国境を越えて多くの人々を盛り上げる新しい遊びを、垣根やジャンルにとらわれることなく生み出し続けている。
「遊び心」と「技術力」で世界の人と楽しめるコンテンツを制作したいと、そんな強い想いを持つ同社。会社として大切にしていきたいことは「新しいコンテンツやゲームを自分たちで立ち上げていくこと」、そして「安心して働くことができ、しっかりとした人生設計ができる会社であること」。この2つを理念として掲げ、現在も変わることなく受け継がれている。“理想の会社像”の実現を目指し、世界に向けて”トイロジック”を発信し続けているのだ。
代表取締役社長を務める岳洋一氏は、株式会社ナムコ(現・株式会社バンダイナムコスタジオ)の出身。プログラマーとして10年ほどの経験を積んだのち、立ち上げ間もない株式会社キャビア(2011年8月に株式会社AQインタラクティブに完全吸収)の開発チームに移籍。キャビアではゲームのプログラマーはもちろん、ゲームの企画やディレクター業などを兼務し、シナリオも自ら書くなど幅広く活躍してきた。クリエイティブな経験を持つ代表を筆頭に、世界水準の技術力を持つ社員と一丸となって世界No,1を目指している。
受託開発と自社パブリッシングの両輪経営で、世界トップを目指す
受託業務では、「大乱闘スマッシュブラザーズX」や「新・光神話 パルテナの鏡」など世界中に根強いファンを持つシリーズの開発に携わってきた。一方、自社パブリッシングでは、「Happy Wars」や「ハッピーダンジョン」などオリジナリティあふれるヒット作を次々生み出している。2017年7月発売の「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」(ニンテンドー3DS、発売元:株式会社スクウェア・エニックス)の開発も担当し、ビッグタイトルで豊富な開発経験を積んだ。特にオンラインアクションゲームの開発を得意し、コンソール向けタイトルにこだわり続ける姿勢も特徴的だ。
ゲーム開発においては、独自のライブラリやノウハウを駆使することで知られている。UnityやUnreal Engine 4などの既成エンジンも併用しつつ、自社エンジンの開発も行っていることが、広範で奥深い開発技術力を育てる素地となっている。ゲーム開発における「技術力」へのこだわりには並々ならぬものがあり、開発技術力こそが会社の成長と存続を左右する“生命線”という危機感を持っている。
トイロジックの目指す先には、オリジナルのゲームエンジンやネットワーク技術を活用した「ハイエンドマルチプラットフォームゲームの開発」という境地がある。ターゲットは、日本だけでなく全世界のゲーマーだ。なぜこれほどにオンラインアクションにこだわるのか、その理由を岳氏に聞くと、「人と人とがつながって遊ぶのが一番面白い。多彩なコミュニケーションを楽しめる関係を提供したいから」と話す。目標は、ワールドワイドでトップレベルのオンラインアクションゲームを開発できるスタジオとなり、世界中のユーザーに認知されるブランドを育て上げることだ。
近い将来の目標としては、据え置き機とスマートフォンの連動で遊べるタイトルを育てていく方針。お手軽なモードはスマホでプレイし、がっつり遊ぶところはコンソールで楽しむ、そんなスタイルも手掛けていく。さらに同社は、スマートフォンやWeb向けの生活・ビジネス系アプリを開発する新規事業部を立ち上げた。ゲーム開発でつちかった技術やノウハウをいかし、人々の生活をよりゆたかにしたり、人同士の繋がりをアシストしたりするような、次世代のサービスを目指しているという。
領土拡大を目論む大国ではなく、少しでも幸福度が高い島国を指向
2020年1月現在の従業員数は130名で、組織は社長・マネージャー・スタッフという極めてシンプルかつフラットな構造。ゲームスタジオにありがちな殺気立ったオフィスではなく、和やかな雰囲気の中で仕事をしている。社長の岳氏自らも、開発や事務作業にあたっている。
トイロジックで特徴的なのは、開発現場の離職率の低さだ。事実、過去3年以内の新卒離職率4%(2020年11月時点)という数字は同業者から見ると驚くべき数字で、働きやすい職場であることは間違いない。そのワケは、変化が大きく競争も激しいスマホゲーム業界とは異なって、コンソールゲーム開発を中心に行っている点にあるだろう。じっくりとゲームづくりに集中したい人にとっては、まさに理想的な勤務環境といえる。
社内では複数の開発プロジェクトが稼働しており、「NieR Replicant ver.1.22474487139...」をはじめとした大手メーカーからの受託タイトルに携わるチーム、そして自社オリジナルの未発表オンラインアクションタイトルに携わるチームに分かれている。同社はコンソールゲーム開発を主軸としながらも、スマートフォン向けのゲームタイトルや関連サービスに携わる部門も存在している。
教育・研修の面では、CEDECなど開発者講演イベントの受講や、関連企業のカンファレンス、新製品発表会などへの参加を業務時間内に積極的に推奨している。社内では、技術紹介やノウハウ共有、ナレッジ蓄積を目的とした勉強会を定期的に実施。海外ゲームイベントの視察に参加することも可能で、米国で開催されるE3やGDC、ドイツのgamescom、中国のChinaJoyといった大型ゲームイベントにも、毎年視察を行っている。
評価制度は、年に1回、360度評価が行われる。これは、上司や部下・同僚だけでなく仕事上で関連する他部署のメンバーなども含めて評価する手法で、複数の評価者が評価することで、客観性や公平性を担保できる制度だ。
企業理念に掲げる「遊び心」と「技術力」に加え、トイロジックが重視しているのが「人間関係やコミュニケーションを大切にする風土」。サークル活動への補助なども行われており、社員同士の交流の機会が多くあるため、開発においてもチームワークや協調性の高さにつながっている。