新しいエネルギー管理の仕組み、『VPP』のシステム開発によって電気の供給効率を”最大化”
株式会社C-RISE(シーライズ)は富山県高岡市に本社を、石川県金沢市に支店を置くシステム開発会社だ。社員数は16名と小規模だが、手掛けている事業は、次世代エネルギー管理システムに関わるもので、規模も社会的意義も大きい。
「現在、沖縄県宮古島市の全島エネルギーマネジメントシステム(EMS)化実証事業における、バーチャルパワープラント(VPP)サービス開発及び実証試験に取り組んでいます。全島EMS化実証事業とは、政府から環境モデル都市の認定を受けている宮古島市と地元企業の株式会社すまエコが共同で、電力需要の平準化やエネルギーコスト低減、再生エネルギー導入量の拡大などに取り組んでいるプロジェクトです。当社はその中のVPP事業について、省エネ診断や蓄電池制御、太陽光出力制御、普及促進のシステム開発を担当しています」。(代表取締役社長・村井将則氏)
ここでいうVPPとはどのようなものかを理解するには、発電の仕組みを知る必要がある。
電力需要は1日の中で変化する。皆が寝静まった深夜と大勢が活動している日中で必要となる電力が違うのだから当然だ。電力会社はその需要の変化に合わせて、火力、水力、原子力、太陽光などを組み合わせて発電量を随時調整している。なぜなら、需要に対して発電が不足した場合だけでなく、多すぎても停電を引き起こしてしまうからだ。ところが、東日本大震災以降、原子力発電が停止したことで、太陽光を筆頭に再生可能エネルギーの導入が進んだ。これによってピーク時に必要な電力を何とかまかなえるようにはなったが、太陽光は発電量を天気に大きく左右されるため、需給バランスを調整するための火力発電コストが大きく跳ね上がってしまったのだ。火力発電の場合、CO2排出の問題もある。そこで、発電側だけで吸収しきれなくなった需給調整を電力使用者側の需要を制御することで行おうという仕組みが、VPPだ。
「電力使用者がそれぞれどのくらい電気を使っているか“見える化”し、エアコンや電気コンロ、蓄電池など各種機器の電源オン・オフや設定温度変更、放電・充電などを遠隔制御することで、需要の上げ下げを行います。実は、このプロジェクトが宮古島で先行しているのにも理由があります。電力会社にとって離島における発電供給事業は、以前から赤字続きでした。その赤字はユニバーサルサービスとして地域全体で負担していますが、電力自由化が進む中いつまで現在の電気料金を維持できるか分かりません。島としては、将来の安定的な電力供給を確保するためにも、離島発電の赤字解消につながる新しいエネルギー供給システムの必要性が高まってきたのです。その解決策の一つとして注目されているのが、このVPPなのです」。(村井氏)