日本初となるAIスマートハウスを展開
現在、『AIスマートホーム』というキーワードで注目を集めている企業がある。それが、株式会社エコライフエンジニアリングだ。IT技術を使って家庭内のエネルギー消費を最適化する『スマートハウス』やIoT家電など、近年さまざまな商品が登場しているが、これらのほとんどはネットを介したクラウドサービスの提供や、事前に設定した条件に応じた自動制御、遠隔操作サービスの提供にとどまっている。しかし、同社が提供するAIスマートホーム『CASPAR(キャスパー)』は違う。
「キャスパーは、住んでいる人の生活習慣をAIによって理解し、居住者の快適な生活環境を作ってくれるプラットフォームです。100個以上のセンサーが稼働して50ミリ秒ごとにCASPAR.AIがセンシングデータを収集。睡眠や起床、食事、テレビ観賞など居住者の行動や、照明の位置や明るさ、生活リズムなどの趣向に、天気や温度・湿度といった環境状況を加味してディープラーニングしたうえで、行動を予測して自動で対応します。たとえば、休日の夜は照明を落とした部屋でゆったり過ごすことを好む習慣があれば、自動で照度を落として好みのBGMを流してくれたり、朝日を感じながら目覚めるのが好きなら起床時間に合わせてカーテンが自動で開いて自然な太陽光で目覚めさせてくれたりするわけです」。(取締役 管理本部長・藤井晃氏)
CASPAR.AIは、米国のBrain of Things Inc.,(BOT社)が開発した住宅向け特化型人工知能。BOT社は、分散処理システムの専門家であり、シリコンバレーで数々の起業を支援、成功へ導いてきたスタンフォード大学教授のデービッド・チェリトン氏とアメリカのロボティクス界の第一人者であるアシュトシュ・サクセナ博士が中心となり創業した会社。CASPAR.AIは、すでに米国で2000軒の導入実績があり、さらに2万軒の導入計画も進んでいる。エコライフエンジニアリングは、その日本国内販売とローカライズにともなう技術支援を行っていく。
「AI住宅分野の競合は、今のところ国内に存在しません。この分野に限れば、Google社やApple社にも先行しており、まさにこれから業界に変革をもたらす可能性を秘めたサービスだといえます」。(藤井氏)
元々、中小企業診断士として同社に関わったが、同社の魅力に惹きつけられジョイン。
CASPARや太陽光発電など、多様な事業の知見を活かし住民主体の住環境を創造
株式会社エコライフエンジニアリングの主力事業は、再生エネルギー事業だ。中でも大きな売り上げを占めている産業用太陽光発電システムの販売・施工・メンテナンス事業では国内に30以上のメガソーラー発電所建設の実績を持つ。個人向け太陽光発電設備の販売・施工も行っているほか、太陽光発電システムの運転管理・保守点検(O&M)業務やオール電化住宅の新築・増改築工事も手掛けている。
「産業用太陽光発電事業は、一時の勢いを失っていますが、国が推進している木質バイオマス発電や風力発電、O&Mなど、事業領域の拡大を進め、経営の安定化とさらなる成長を図っていきます。このうちバイオマス発電は、間伐材や林地残材などを活用することで森林再生にも環境にもやさしい発電方法ということで、今後の成長が期待されている分野でもあります。小型直燃式ボイラーやガス化ボイラーが収益上の課題といわれていますが、新システム『高温発生装置(特許申請中)』を組み込んだ発電システムをメーカーと開発することで小規模高収益の実現を目指しているところです」。(藤井氏)
CASPAR事業も、次なる柱として高く期待しているものの一つであり、2018年初頭から本格的に販売を開始する予定だ。
「本格展開から2年ほどの間に受注ベースで数千戸に導入することを目標としています。まずは先行者として国内で高いシェアを確保し、将来的にはアジアパシフィック全域へ販売網を拡大していきたいと考えています」。(藤井氏)
また、住宅向け太陽光発電事業やCASPAR事業、オール電化施工などによって培ったノウハウは『ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)』にも活かせる。ZEHとは、住まいの断熱性・省エネ性能を上げるとともに太陽光発電などでエネルギーをつくる創エネによって、年間の一次消費エネルギー量(空調・給湯・照明・換気)の収支をプラスマイナス・ゼロにする住宅のこと。経産省が「2020年までに新築注文住宅の過半数でZEHの実現を目標」に設定するなど、注目度が増している市場で、同社としてもハウスメーカーや電機メーカーとの協力体制を模索している。
「多様な事業を展開しながら知見を蓄積し、それらを統合、シナジーを生みながら『住民主体の住環境の提供』を実現する。それが当社の目指すところであり、使命だと考えています」。(藤井氏)
新しい事業を生み出し、推進する“創生力”が強み
同社は、社員数60名ほどと少数精鋭ながら約40億円を売り上げる。
「現在の実績は、社員の努力と“創生力”の賜物だと思っています。2003年頃から太陽光発電事業に着手し、時代の流れに対応してメガソーラーにも進出。競合他社の参入が続き自社営業のみでは難しいと判断すると、他社に先駆けてメーカーや販社を介しての営業ルートを開拓することで急成長してきました。CASPARについても、ものすごいアプローチが数多くある中、BOT社がパートナーとして当社を選んだのは、いち早く投資していたことが大きく影響しています。先見性とそこに向かうスピード、限られた経営資源を効果的に投下する決断力や事業化する実現力――こういった総合力によって新たな事業を創り出す力に長けているところが、当社の強みです」。(藤井氏)
それだけに、「何事にも前向きに取り組むことができ、自ら考え、実行できる行動力を備えた人でないと、活躍するのは厳しい」と藤井氏は続ける。
「1から10まで手取り足取りサポートしながら、じっくり育てていくような余裕は、正直ありません。『やる!』といえば、どんどん任せますし、そこから自分で手足、頭を働かしながら学び取ってほしいと思っています。常に課題意識を持って、その解決方法を模索し、行動に移すことで自らを成長させていける人ということです。『自分で育て!』、それが当社の育成方針ですから。そのかわり、やる気がある人は応援します。責任ある仕事を任せるのも、その考えがあるからこそだし、資格取得には補助も資格手当もつけています」
社員の平均年齢は37歳で職場には落ち着いた雰囲気が漂うというが、社員が内に秘めた仕事に対する熱量は、かなり高いものがある。そのような同社に籍を置いて、「住宅業界に大きな変革をもたらす事業の創造に、エコライフエンジニアリングの一員として携わりたい」と思う人は、一度、話を聞いてみてはいかがだろうか。