株式会社アプリオ

株式会社アプリオは、Webシステム開発とSES事業を主軸とするITベンチャー企業だ。アドテクノロジーへの造詣の深さや、インフラ知識に基づいたハードウェアとネットワークに優しい開発力が強みである。特にインフラを考慮した開発は、経年による不具合発生率が低いという結果に繋がっており、クライアントから絶大な信頼を得ている。

今後は、自社によるAndroidアプリケーション開発にもより注力していく計画だ。企業としてステップアップしていくフェーズに入り、貪欲にスキルを習得していこうという積極的なエンジニアを求める。

創業者である代表取締役社長 阿部 東志哉氏は、EC事業を手がける株式会社ネットプライスで社内SEとして従事した人物。複数の事業立ち上げの後、モバイル広告代理店へ転じ最高技術責任者に就任した。IT業界で、多彩な経験を積んでいったのだ。その後、自分たちのコントロール下でエンジニアがやりたいことをやれる環境を作ろうと、現在同社のCTOを務める長谷川 徹氏と共に、2011年4月株式会社アプリオを設立した。

豊富な経験と高い技術力を持つ両氏によってスタートした同社だが、軌道に乗るまでには苦労もあったという。
「売上の大部分を占めていた主要クライアントが離れて、経営として厳しい時期もありました。その時は、私と長谷川が出稼ぎ的に他企業に常駐して、その売上を計上することで会社を維持していました」。（阿部氏）

大企業への常駐で実績を積む意味もあったという。苦境とも言える状況下でも、得られることを模索して前向きに取り組んだ結果、経営は少しずつ安定していった。
「学ぶことが多かったです」と、阿部氏は穏やかに振り返る。堅実に謙虚な姿勢でクライアントに向き合うことを大切にして、2016年からは一転成長・拡張期へと上向いた。

同社は、クライアントに対して品質の高いシステムを安定的に供給することを第一に取り組む。クライアントの真のニーズをくみ取り、高品質なサービスをとことん追及することで、「信頼」という何にも変え難い価値を得たのだ。

本章では、同社の考え方や取り組み、サービスの特徴をより詳しく探っていこう。
企業理念を「会社と社会が相互に楽しく豊かに」と定めている。この思いを阿部氏は、次のように語る。

「会社設立の動機のひとつに、エンジニアが楽しめる環境をつくりたいということがあったので、理念にも反映しています。そうは言っても、クライアントの役に立たなければ意味がない。経営としてマネタイズもしていかなければならない。どれも欠けることなくバランスを取ることが大切だと考えています」。（阿部氏）

先にも触れたが、同社は現在WebシステムのSI事業と、クライアント先に自社社員が常駐して開発・運用を行うSES事業が二本柱になっている。今後は、そこにAndroidアプリの自社開発を加えて伸ばしていく計画だ。
「SESのメリットは、転職することなく複数の企業で多くの経験を積める点です。そこで、多彩なスキルに触れて身に付けてもらい、ゆくゆくは自社開発にも活かしてもらえればと考えています」。（阿部氏）

同社がエンジニアに多種多様のスキルを積極的に身に付けてもらいたいと考えるのには、明確な理由がある。それは、できないから、難易度が高いからやらないという選択を無くしたいという強い思いだ。できないことを何とかして実現可能にしたときのクライアントの喜びと、自身の充実感こそがエンジニアの最上の幸せであると、同社の経営陣は信じている。また、やりたい事業を実現するためにもできることを多くしておかないと、ベストなタイミングでの参入が出来なくなる。

楽しく豊かに仕事をするために「できないことは全部潰そう」というくらい前のめりの姿勢で仕事に取り組みたいと考えているのだ。もちろん、常駐先は個々人の経験や志向、キャリアプランなどを総合的に考え合わせて、適した現場をアサインする方向で進められる。

今後、会社の成長や事業拡大に伴い、選択肢は増えるだろう。その時に限界を作らないためにも、社員には建設的な目標を設定、模索して、実行して欲しいと考えている。自身の思いを伝えるためにも、コミュニケーションを積極的にとって欲しいという。やりたいこと、実現したいことをいつでも経営陣に相談できる風通しの良さが、同社にはある。

技術力にこだわる同社には、他社とは違った教育の取り組み方がある。それは、新入社員にハードウェアやネットワークといったインフラの知識を必ず習得してもらうこと。

インフラの基礎を学習しながらプログラミングを学ぶため、レイテンシやスケーラビリティを意識したシステム設計ができるようになる。それによって、無数にあるシステム開発の手法の中でも、トップ5に入るようなベストソリューションを提供できるのだ。

「これは、短期的には売上につながらない施策ではあります。不具合による修正やトラブル対応に伴う追加発注が減るわけですから（苦笑）。しかし、長期的に見ると、経年による不具合発生率が減り安定稼働につながる。お客様の満足度は各段に高くなります。その結果、信頼という価値を当社に見出していただけます」。（阿部氏）
目先の利益ではない、長期的視野に立った堅実経営へのこだわりが見える。それを阿部氏に率直に伝えると、「確かに、"リアリティ"にはこだわっていますね」と、うなずいた。クライアントにとっての実利を優先する。地に足のついた経営方針だと言えよう。

社員のスキルアップを積極的に後押しする同社は、教育支援体制も手厚い。業務に必要だと判断した資格ならば、取得に必要な諸費用は100％負担する。技術書をはじめとする書籍も常識の範囲内での希望ならば、なるべく揃えたいという。
「現在はまだまだ少人数体制なので、社内イベントなども積極的に提案してもらえますし、通りやすい状況です。これから参画する社員には、組織や文化作りにも大きく関わっていただけます」。（阿部氏）

積極的な姿勢でコミュニケ―ションをとれば、自分の意見やアイディアを実現していける環境だ。社内での残業は少なく、常駐先において連続的な時間外業務が続く場合には、阿部氏自らが交渉して解消にあたっているという。エンジニアの働きやすい環境をつくるための労力は惜しまない。

同社は、次の5つを行動の指針としている。
①誠実　②柔軟　③親和　④創造　⑤謙虚

ここまでで、変化の激しいIT業界において、このように堅実な行動指針を大事にする理由と思いが伝わったのではないだろうか？同社は、実直に技術力向上を追及し、未来を切り拓きたいと考えるエンジニアを強く求めている。