2010年創業。2016年からシステム開発が本格化。
2010年に創業したアルカセット・コンサルティング株式会社は、業務・ITコンサルティングと、ITシステム開発、Webサービスの3つの事業を柱とする。創業メンバーが、ITをバックグラウンドにもつコンサルティングファーム出身であったことから、まずは業務・ITコンサルティングを主事業としてスタート。ITシステム開発、Webサービスといった事業はそこから派生したものだ。
「業務・ITコンサルティングやシステム構築のPM/PMOなどの派生として、以前から小規模のシステム開発も請け負っていましたが、お客様からの『開発まで一貫して受けてもらいたい』との強いご要望をいただき、2016年初頭からシステム開発事業として本格化しました」と同社代表取締役の小川 啓介氏。過去には、大手金融業において既存パッケージでは対応困難な複雑な帳票の開発・実装、物流企業のオーダー管理システムの設計・開発、アパレル系ECサイトの外部モール・関連システム連携システムの設計・開発、などの事例がある。
創業以来、自然な流れで事業は拡大、物流、建築、金融、アパレルなど、顧客企業の業種もさまざま。確かな仕事がまた新しい仕事の依頼を生むという好循環が会社を育ててきた。現状、100%が直接取引である。また「代表の私を含め、メンバーがバイネームでお客様からの引き合いをいただくことが多いのですが、最近はアルカセットに、ということでご依頼いただくケースも増えています。私たち以外のメンバーも、会社経営やフリーランスを経験した者が多く、実際は一人ひとりお客様をとれるだけの実力をもった者ばかりなんです。おかげで基本的には営業をかけずに、ご依頼をいただけています」と小川氏は語る。
同業他社もあるなか、競争力の源泉となるのは、これまで積み重ねてきた信頼、ということになるだろう。
「大小犇くコンサルティング・ITシステム開発業界において、他社と比べて頭抜けてすごいところがあるとは思ってはいません。ですが、社員ひとりひとりは、どこでも戦える人材だと思っています。これから、この“戦える仲間”に“新しい仲間”を加えて、頭抜けていける組織として成長させていくのです。少人数の会社ですから、大きなコンサルティングファームやSIerと比べて価格競争力は多少あるとしても、そもそも10人の会社と数千人の会社では、お客様に対して請負えるリスク範囲は全く異なります。それは当然のことです。しかし、当社が1万人月を請け負うことはできなくても、PMとしてキーとなる10人月を補完することはできます。そういった仕事はおそらく、私たちが飛び込みで営業しても受注はできませんが、これまで一緒に仕事をしてきたお客様からは『御社に頼みたい』と言っていただけるのです。これまでのお客様は、ほぼ全てリピートしていただいています」
ものごとはもっと簡単にできる。「世の中を、もっと簡単に」がビジョン。
現在は、多くの顧客企業からさまざまな引き合いがある一方で、それをすべて受注するだけの人手がない状態。その最たるものが、システム開発にあたるエンジニアだ。例えば、自社プロダクトの開発とクライアントへの提供、併せて他クライアントに対し横展開していく、そんなプランがあるという。
「人手という意味でも増やしたいですし、これから会社が事業を拡大していくにあたって“組織化”も進めていきたいのです」と小川氏。
「私と同じ思想をもった人間たちによる、ネットワーク型の組織にしたいと思っているんです。例えばCTOやCIO、CFOといったポジションの人間には、もっているスキルは違ってもアルカセットはこんな会社にしたい、2020年にはこのぐらいの規模に成長させたいといった部分を魂として共有してもらい、それを実現するためにどうするか、自律的に動いてもらう。エンジニアやコンサルタントも同様で、会社としての目標を共有できる人を求めています。それを実現するためのさまざまな手法やスキルをもった人材を集めることが、ひいては会社の幅を広げていくことになるのだと思います。例えば、具体的に動いている案件のひとつでは、LAMP環境での開発経験は必須になると思いますが、同時にアジャイル、DevOpsといった手法・要素により、当社とお客様のオペレーションエクセレンスを目指し、まさにビジネスエンジンとなりたいと考えています。そのためにも、PM/PMOスキルに長けた人材、チームリーダーとして実務メンバーをまとめることができる人材、プログラミングが得意な人材と、さまざまな人材を求めています。未だ会社は、目指すところへ行くためには足りないところだらけなのです」
小川氏のいう「思想」「魂」とは、イコール会社にとってのビジョンでもある。同社HPには、「世の中を、もっと簡単に」という言葉が掲げられている。
「ものをつくるプロセス、ものを動かすプロセス、利用するプロセスなどを含めて、もっと簡単に、シンプルにしましょうということです。なぜなら、それが一番コストパフォーマンス良く、お客様のビジネスの目標を達成できるからです。QCDという言葉がありますが、業務上達成しなければならない品質を担保しながらバランスを取れば、重いのはコストと時間。そこを圧縮するには、第一にプロセス、仕組み、やり方をシンプルにすること。私たちがお手伝いするのはそこです。やれること・やりたいことがどんどん増えていくのが世の中の流れ。でも一方では、ビジネスの仕組みややり方は、もっと簡単にできるはずです。それが当社の目標なんです」
コンサルタントとエンジニアの役割が重なる部分も!
自らを「業務・ITバックグラウンドを持つビジネスエンジン」と定義している同社。それが意味するのは、顧客が目標を達成するためのハードルを共に越えていくパートナーである、ということだ。それは、コンサルタントであってもエンジニアであっても、なんら変わるところはない。
「お客様の目標を実現するものがITだったらITを使えばいいですし、ビジョンや計画を策定することが重要ならコンサルから着手すればいい。コンサル、システム開発、Webサービスの3つの事業があるといっても、それぞれ重なる部分は大きいといえます」
必然的にコンサルとエンジニアの役割が重なる部分も生じる。
「上流から下流まで、お客様の要件を直接伺うところからそれを実現するところまでを、一貫して見ることができる。その実現手段はエンジニアが持っているスキル次第です。Webサービスを提供することかもしれないし、アプリを提供することかもしれない。エンジニアの意見も必ず吸い上げます」
クライアントとの距離も近くなる。
「希望すれば、客先のエグゼクティブとも直接話すチャンスがあります。上から降って来た仕事をさばいていくという仕事ではなく、プラスアルファの提案がいつでもできますし、それがエンジニアにも期待されているのです」と小川氏。
「将来の展開としては、自らの中から生まれた技術的発想をビジネスとして形作る、当社が自律的かつ自立的なビジネスエンジンになることだと思っています。いま多くのテクノロジーが米国から輸入されていますが、その中には日本人も20~30年も前に考えていたものがあると思います。日本人のエンジニアの技術的発想をビジネスとして形作れなかったり、アイディアをアイディアのままで終わらせてしまっていたりした、ということではないでしょうか。しかし当社には技術とビジネスが合流する環境があります。例えば、『ディープラーニングでこんなことがしたい』というアイデアをもったエンジニアがいたら、それをどうビジネスに繋げるか、どんなお客様に提案して、どう貢献するかといったコンサルタントのアイディアを利用することもできる。エンジニアが新しいことにどんどんチャレンジできる環境を目指します」