愛知のものづくりをシステム面から支えてきた実績と信頼
1989年に名古屋で創業した株式会社コスモルートが、東京本社を立ち上げました。現在、その牽引役を担う人材を求めているのだが、東京本社の可能性を探るためにも、まずは、同社が愛知や滋賀エリアでどのような事業を行い、実績を積み上げてきたのかから紹介したい。
同社は、『ELEGANCE-我々の産み出す「もの」は洗練されていなければならない』というビジョンを掲げ、『ものづくり』の街で製造業の顧客を中心に生産管理システムや販売管理システムなどを構築してきた。その技術力の確かさは、富士通グループのコアパートナーやAmazonテクニカルパートナーに認定されていること、取引先に自動車業界や電機業界、情報通信業界などの大手企業グループが並んでいることからもうかがい知ることができる。
「創業以来、最新技術を積極的に導入して、さまざまなシステムの企画・提案から開発、保守・運用まで手掛けてきました。現在、当社の強みの一つとなっているクラウドにもいち早く取り組み、現在は、DevOps、インフラ、アーキテクトという3グループ体制で、インフラ基盤設計/構築やアプリケーション基盤構築/技術支援、アプリケーション・サービスの運用保守などを行っています」(副社長・島本 鉄弥氏)
60年以上の歴史を持つ物流会社・中京陸運株式会社と共同開発したSaaS型WMS(倉庫管理システム)『LogiNebula(ロジネビュラ)』もその一つだ。これは、入荷・保管・引当・ピッキング・出荷や流通加工、請求・支払といった標準機能を無料で利用できるWMS。物流会社の現場が必要とする機能がそろっている点、インターネット環境とブラウザさえあれば使用できる点、そして、無料という手軽さが評価され、中小企業を中心に導入企業は80社を超えている。多言語対応していることから、世界展開している大手物流会社にも、このサービスを利用している企業がある。
「ただし、ロジネビュラをSaaS型にしたのは、お客様の使い勝手を追求したからで、他の形がより適していれば、そちらを選んでいました。最新技術を取り入れるかどうかは、あくまでお客様にとって最適なシステムを構築するためであって、何が何でも最新技術を詰め込んでシステムを開発しようとは、まったく考えていません」と。(島本氏)
このあたりのバランス感覚と顧客本位のスタンスが、同社が多くの企業から信頼されている理由なのだろう。
*2019年現在はロジネビュラなど全サービスを譲渡したネプラ株式会社により運営されています。
長期的視点でビジネスを描き、 東京本社にて事業を拡大していく!
コスモルートの強みというと、クラウド基盤構築や独自フレームワークを使用した開発、インフラ、ネットワーク構築のほか、基幹システムのスクラッチ開発やEDI、EAIツールを使った導入、ERP連携、BIシステム、メカトロニクスなど、さまざまなものが挙げられる。しかし、愛知エリアでは、ものづくり系の顧客が中心という偏りがあった。今回、東京支社を立ち上げるのは、その他の業界・業種へ領域を拡大するためだ。
「愛知では、お客様の80%が製造業です。そのため、今後、こちらは専門性をさらに磨いて、製造業向けのシステム開発やメカトロニクス分野でシェアを拡大していきたいと考えています。一方、東京は多様な業種が集積しているエリアですので、愛知では受注しにくい、金融、サービス業などの本社機構の案件に積極的に取り組んでいく予定です」(島本氏)
ただ、金融やサービスを対象としてあげているのは、すでに引き合いがきているからであって、「東京本社の事業をどのように展開していくかは、本社を担う人材次第」だと島本氏は続ける。
「東京は、これから事業の形をつくっていくフェーズです。名古屋に比べて知名度も高くない中、いかに事業を拡大していくかについては、ロードマップから描いていくことが重要になるはずです。そのため、与えられた仕事をこなす受身の発想ではなく、長期的な視点でビジネスを描き、実行していける積極性や行動力のある人を求めています。
また、東京ではIT業界の中小企業向けのシステムなど、自社サービスの開発も考えているので、そちらでもアイデアを持っている人材がいいですね。とはいえ、ゼロ→1のスタートアップ企業ではないので、30年近い歴史の中で蓄積してきた技術力やしっかりとした経営基盤に支えられた資金力、企業との信頼関係といったリソースを使いながら、東京という大舞台で勝負することができます」(島本氏)
東京本社は、2019年度で社員25名体制、売上3億3000万円まで成長させるビジョンを描いている。このようなビジョンの渦中で牽引、体感できる機会は、そうそうあるものではないだろう。
会社の成長には、社員個々のパワーが不可欠!
コスモルートは、理念の一つに『「すべての人々に喜びと…」豊かな社会創りへの貢献』を謳っている。『豊かな社会』とは、『人々が喜びと幸せ、つまり「心の豊かさ」を持てる社会』であり、ここでいう『人々』には、お客様はもちろんのこと、社員も含まれている。「お客様の満足は会社で働く社員の満足(心の豊かさ)があってこそ生まれるもの」と考えているからだ。
「そのため、社員の働く環境づくりにも力を入れており、時短勤務のほか、条件に応じて在宅勤務にも対応しています。また、当社にとって社員一人ひとりのスキルは財産ですから、社員が成長するための環境や教育制度の整備にも注力しています。社員教育OJTのほか、2017年より、階層ごとにオンライン研修を受けられるよう、カリキュラムを整えています。また、これまでどおり資格取得費用補助や社内講習会も行っていきます」(メカトロニクス事業部 エンベデッドシステムグループ マネージャ・熊崎 敬之氏)
また、社長から社員まで隔たりなくフラットな関係性が構築されているのも特徴で、「相手が先輩だからといって発言しにくくなるような雰囲気はない」という。
「当社のように社員がお客様のところへ常駐していると、社員同士のつながり、会社と社員のつながりをいかにつくっていくかも大切だと考えています。そこで、福利厚生費を活用して同好会をつくって活動している社員も多いですね。現在は、釣りクラブやランニングクラブ、面白いところでは、謎解きイベントに参加する謎解きクラブというものもあります」(熊崎氏)
社員のモチベーションアップという観点では、実力を正当に評価する風土が根付いていることが挙げられるだろう。現在副社長を務める島本氏は30歳そこそこでマネージャとなり、38歳のときに取締役に就任している。
「当社がいろいろな面で社員を大切にしている理由は、社員の満足がお客様の満足につながるというだけでなく、東京本社を立ち上げ、事業領域を拡大していきながら会社を大きくしていこうというフェーズにおいて、社員個々のパワーが非常に重要だと考えているからです」(島本氏)
社員に活躍の機会を積極的に与える同社だからこそ、東京本社の立ち上げという変革期に門を叩く価値が高まるといえるのではないだろうか。
エンベデッドシステムグループ
マネージャ
熊崎 敬之氏