飲食×ITでイノベーションを。ビッグデータを活用したテック企業へ
株式会社ライドオン・エクスプレスは、宅配寿司『銀のさら』のサービスで知られる寿司・弁当の宅配事業と提携レストランの宅配代行事業を手がける会社だ。2001年に『銀のさら』の全国チェーン展開をスタートした後、急成長を遂げ、2013年12月に東証マザーズに上場。それからわずか2年弱の2015年11月に東証一部への市場変更を遂げた。コンビニとの競合など厳しさを増す中食市場において、迷走する会社も少なくないなかで、成長を続けてきた、業界を代表する会社だ。
だがライドオン・エクスプレスは、決してアナログな宅配寿司屋ではない。「誰もがご自宅にいながらにして享受できる、より便利で快適な新しいライフスタイルの創出」に向けて、「次世代ホームネット戦略」を基本戦略に置き、事業宅配ネットワークと顧客情報というビッグデータを活用し、IT企業への変貌を目指している。
例えば、提携レストランの宅配代行サービスの「ファインダイン」。宅配機能を持たないレストランに代わって、おいしい料理を自宅やオフィスに届けるという新しいデリバリーサービス。宅配といえば全国一律のチェーン店という概念が定着しているが、ファインダインはたとえば麻布のイタリアンなど、オーナーシェフの店や隠れ家的な名店などのメニューも宅配してもらえることが特長だ。加盟レストランにとっては、新たな顧客の開拓や広告・宣伝効果も期待できる。実際にファインダインのWebサイトをのぞくと、様々なレストランがあり、メニューに加え、注文から配達にかかる時間が刻々とリアルタイムで表示されている。
それだけでなく、2020年9月には主にオフィス・商業系ビル向けのデリバリーシステムを提供する企業と業務提携。これにより、大手デベロッパーが展開する都心部のオフィスや商業施設における独自のデリバリーサービスの提供を開始した。
「ファインダイン」と他の自社ブランドとの複合化による更なる生産性の向上を目指し、受注対応、調理対応、配送におけるシステム、オペレーションの構築を行う他、販売促進においては、様々なクーポン機能の開発や公式Twitterなどのデジタルを活用した、新規顧客の獲得とリピート利用の促進も積極的におこなっており、飲食×ITを駆使した企業へと成長している。
シェアリングエコノミービジネスへの挑戦とその先のITシステムの構築へ
ファインダインが目指す価値は「シェアリングエコノミー」と呼ばれるもの。この事業の本質は、料理を作る人(=レストラン)と配達する人(=ドライバー)がどういう状態にあるかを可視化して管理することで、料理を食べたいお客様に食べたいタイミングで確実に運ぶという配達効率の最適化を実現すること。
ファインダインのWebサイトを開くと、店名とメニューと共に、手元に届くまでの時間が表示される。これは、レストランが混雑状況を勘案した「今、この料理を作るのに何分かかるか」という状況をリアルタイムで入力し、それを受けてライドオン・エクスプレスがドライバー達の位置情報などを勘案した配達を算出して待ち時間を表示する仕組みだ。
かつては電話で近所のお店に頼んだ「出前」。電話をかけてみないと店の混雑状況や出前にかかる時間がわからない。ファインダインは何を何分後に食べられるかがわかり、食べたい人と食べさせたい人のマッチングを、インターネットを介して効率的に実現する。それはつまり、今、利用可能なレストランのリソースを、今、食べたい人に提供するという「シェアリングエコノミー」だ。
これは世界の潮流でもあり、例えば配車アプリで世界的に有名な『Uber』も、自動車に乗りたい人と、空き時間を使って自分の自動車で収入を得たい自動車オーナーを結びつけるもの。ファインダインと同様の食の領域でも、アメリカの『GrubHub』、『Postmates』、ドイツの『デリバリー・ヒーロー』、中国の『ウーラマ』など、イノベーティブなIT企業として注目を集める会社がズラリと並ぶ。ライドオン・エクスプレスも、世界標準で見ればまだ規模は小さいながらも、いずれこの一角に名を連ねることを目指す。
事業の肝は、マッチングの精度をいかに高めるかであり、そのためにはどれだけ精緻なITシステムを構築・運用できるかにかかっている。IT部隊の人的拡充も含めて、システムの構築と強化に努めている。
ちなみに、国内では類似のサービスに、有名店なども含む多彩な弁当・ケータリングの予約サイト、大手の出前予約サイトがあるが、あくまでも「予約」や「出前の仲介」というサービスであり、ファインダインの目指す「シェアエコノミー」とは異なる。システムに加えて自前の宅配部隊を持つこと、加えて食を扱ってきたノウハウがある点が大きな強みであり、他社が容易に参入できない要因となっている。
ただし慢心は禁物だ。宅配網を持つ業態の会社による新規参入もあり得るからだ。今は都心部で展開するファインダインだが、いずれは『銀のさら』の宅配網も活用し、サービスエリアを飛躍的に拡大する考えだ。一部の店舗でトライアルもスタートした。この領域でトップであり続けるために、さらに攻めていく。
事業拡大を支える同社のDX化推進を目指し組織を拡充!覚悟を持って挑める人を求む
『銀のさら』が主力事業のライドオン・エクスプレスにおいて、今後の事業展開にはDX(デジタルトランスフォーメーション)化が急務となっている。アナログな業務管理や、労働集約型モデルが故の人手不足への対策は、事業拡大にかかせない。
また、昨今の社会環境変化に伴い飲食業界もデジタル化の流れが進む中、同社もIT投資を早くから進めてきている。
自社ECサイトやSNSを活用した販促活動、店舗業務の見える化や効率化などを見据えて、様々な業務をつなぐシステム構築を急ピッチで進めている。
これまではシステム構築を外部に頼っていた部分も多かったが、それらを内製化し、よりスピードアップしたい意向だ。そのために組織を拡充していく。今から入る人には、拡充するエンジニア部門の核となることを期待し、いずれはチームビルディングやマネジメントも担ってほしいと願う。
「エンジニアには、モノづくりに没頭する人と新しいことをしたい人がいますが、今の当社に馴染むのは、自分自身が事業や企画をドライブしていることにモチベーションを感じるような、新しいことをしたい人だと思います」。望月氏は言う。というのも、まだまだ産みの苦しみを味わうフェーズにあり、相応の覚悟と意思を持って、組織を作りつつ自らも手を動かしていく必要があるからだ。「でもその後はメンバーが増えて、自分が事業の方向性を決め、アーキテクトしたモノをチームに作ってもらうようになる。そういう未来像にモチベーションを持ってほしいのです」とも。
同社のデジタル化は事業拡大を支えるだけでなく、フードデリバリー業界全体のIT推進も担う重要フェーズを迎えている。
システム構築のノウハウを自社内で保有し新たなフードテックカンパニーを目指している。
株式会社 ライドオン・エクスプレスの社員の声

30代後半
2015年05月入社
企画から運営まで一貫して関わ...続きを読む

40代前半
2014年04月入社
課題や業務範囲が広いこと。
フードやレストラン業界と関...続きを読む

30代前半
2016年02月入社