株式会社リューズ

使い捨てされない、価値あるエンジニアへと社員を育てあげることに並々ならぬ情熱を傾け、実際に結果を出している会社がある。株式会社リューズだ。

同社は社員50名のシステム開発会社。システムインフラとアプリケーションの受託開発を手がける、一見どこにでもありそうな会社だ。だが「人材を育てる」という一点に大きな力を注ぐことで個性を発揮し、他社との差別化に成功している。人材の厚さが、そのまま会社の技術と対応力の高さにつながり、クライアントとの強固な信頼関係も培っているのだ。

代表取締役である丸山竜一氏のメッセージは、「選ばれるエンジニアになろう」―この一言に集約されている。実際、同社には40代、50代はもちろん、60代でも活き活きと活躍するエンジニアがいる。大手の管理職以外は、仕事がジリ貧になり、転職も厳しい年代にも関わらず、この会社はバイネームで仕事が来るエンジニアがゴロゴロいる。正確に言うと「仕事が来る」ではなく、信頼をベースに自らお客様に提案し、仕事につなげる能力を持つエンジニアだ。そのようなスキルを、若いときから意識して培ってきたから、今の姿がある。

リューズでは、エンジニアの成長イメージとして技術、コミュニケーションの面から5段階のレベルを設定している。下から順に次の通りだ。
①自己学習ができる：コミュニケーションが楽しめる
②単一得意技術の習得：顧客担当者と技術的なやりとりができる
③一人前のSE：顧客担当者とプロジェクトについて円滑なやりとりができる
④業務に就いたら顧客とビジネス関係を確立させられる
⑤ビジネスの獲得：SEとして顧客開拓ができる

最上位の⑤がマネジャーにあたる。同社はマネジャーを頂点にチームを編成するアメーバ経営方式をとっており、マネジャーは社長ばりにそのチームの経営に責任を持つ。仕事のマネジメント、予実管理に責任者としてコミットし、仕事を開拓するところまでも担うのだ。ただし開拓といても、既存のお客様と信頼関係を構築し、そこから次の仕事につなげるということで、決してテレアポなどで新規に顧客を獲得するわけではない。

リューズの人材育成は、5段階に応じた習得すべき知識、到達すべきレベル、ふるまいなど「あるべき姿」を示し、その先は、そこに向かって自主的に努力、到達することを求めるというもの。定期的な面談で、本人の目指す方向性とそのプロセスについてのすり合わせはするものの、決して手取り足取り面倒を見るのではない。もちろん周りに助言を求めるのは自由で、求められた人は惜しみなく支援をする社風だが、そのような働きかけも含めて自主的に動けない人は、残念ながら成長は頭打ちになる。そのような人には辛いだろうが、意識の高い人にとっては、明確に道筋が示され、求めれば助言や支援も得られる、極めて成長しやすい環境と言えるだろう。

もう一つの人を育てる重要な要素は、案件の質だ。多くの案件はプライムベンダー直下の位置づけで、数千万～数億円規模の大きなプロジェクトのパーツを切り出して、引き受ける形だ。リューズ側のチーム編成も3人以上が通常で、主体性と責任を持ってプロジェクトを遂行する。社員の力と実績になり、成長につながることを重視するので、案件はほぼ大規模プロジェクトに限る。これはリューズのこだわりポイントであり、それを可能にしているのが、同社の技術力と対応力の高さだ。

さらに近年は、クライアントから直接、案件を受注する受託開発へのシフトも進んでいる。長年、サブコントラクターとして大きなプロジェクトをこなしてきたチームメンバーがいるからこそ、受託開発への移行もスムーズに進んでいるのだろう。開発事例も、とある大学のシステムインフラ構築・運用や、40の拠点を持つ資材メーカーのインフラ構築と業務アプリケーション開発など、大型開発を切り盛りしてきた経験とノウハウが存分に発揮できるものが並ぶ。

受託開発への移行は、会社として仕事の幅が広がることや収益基盤が安定することに加え、社員一人一人が、より多様な経験を積むことにもつながる。同社の場合、メンバークラスのチーム間異動は頻繁で、先に挙げた5段階のステップを進む過程では、様々なプロジェクトを経験し、その時々で身に着けるべき技術や知識を、実践を通じて自分のものとしていく。このように良き案件を通じて人が育ち、いずれ自らも案件を開拓するほどの力量を備え、その人材の質が他社との差別化になり、さらに受注の確度が高まるという好循環を実現しているのだ。

会社名のリューズは、時計の文字盤横のねじである「龍頭」に由来する。これがなくては時を刻むことを止めてしまう大事な部品だ。龍頭のように、お客様にとって小さくてもなくてはならない存在を目指して努力する決意がこもる。その決意を実践すべく、このような個性的な取り組みをしている会社がリューズだ。

そもそも丸山氏がこの取り組みをはじめたのは、丸山氏自身がこの業界で仕事をするなかで、使い捨てにされるエンジニアをいやというほど見て来たからだ。とはいえ、「60代でも選ばれるエンジニア」とは、実際に実現するのは難しい。時にはエンジニアに、心を鬼にして「あなたの価値は何か。会社が報酬を払うに値する価値を示してほしい」と厳しい言葉を投げかけたことも。猛烈な自助努力を促しながら成長の道筋を示し、そのための案件を開拓し、一方で確実に会社も成長させながら今日まで来た。その会社の姿に魅力を感じ、エンジニア達が集まって来る。

ちなみに、入社していきなり厳しさに直面するわけではない。一次面接は丸山氏が行い、この会社の育成のあり方を、同社で活躍するエンジニアの様子と共に、厳しさも包み隠さず話す。その上で、頑張る覚悟のある人に門戸を開く。丸山氏の言葉に共感し、入社を決意するエンジニアは多く、実際に入社したメンバーは、「面接ではキャリア相談のような話になり、信頼できる会社と感じた」、「自分のキャリアに悩んでいたときにリューズに出会い、社長との面接では、キャリア形成に関するアドバイスまでもらった」などとふりかえる。自分の10年後、20年後、30年後を思い描き、どうあるべきか、どう進むべきかを真剣に考えるエンジニアがリューズを選ぶのだ。

入社後のリューズはもちろん、厳しさだけではなく、それと表裏一体の成長する喜び、仕事への充実感にあふれる会社だ。入社時だけでなく、社員総会などことあるごとに社長が「選ばれるエンジニアであるためにどうあるべきか」のメッセージを発信する。その考えは深く浸透し、社員はみんな価値観を共有する仲間たちとなる。バーベキューなど楽しい行事もあり、社長、マネジャー、メンバーと互いに距離も近く、風通しのいい社風だ。

マネジャーまで到達した人材が出ればチームを新設し、「アメーバ」を増やしていく。社員の順調な成長にあわせ、今、45名の会社は、いずれチームを増やして100名体制にしていきたい考えだ。本気で選ばれるエンジニアになりたい。そのための努力は惜しまないという覚悟があれば、まずはリューズにアプライしてみるといい。面接の段階から様々な刺激を受け、最終的に縁があってもなくても、それはきっとこれから長く続くエンジニア人生の糧になるだろう。