高度なデータ分析力と医療業界出身のコンサルタントが強み!

代表取締役社長 渡辺 幸子 氏

米国医療経済学者 経済学博士
会長 アキ・よしかわ 氏
株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(以下GHCジャパン)は、医療機関を対象にコンサルティングサービスを展開する会社だ。
同社が掲げるミッションは「医療と経営の質向上に全知を傾け、医療の発展に寄与する」。クライアントは北海道から沖縄まで全国にわたり、主に急性期病院と呼ばれる緊急性の高い疾患に対して高度な治療を施せる大病院を対象としている。
同社の設立は2004年。同社の米国法人の創業者で、現会長の国際医療経済学者のアキよしかわ氏は、元々、アメリカでデータを活用した医療コンサルティングを手がけていた。同氏が来日した際、日本では体系的な医療データがないことに驚き、それならばデータの蓄積からはじめようといくつかの病院と取り組みをはじめたのが、GHCジャパンの成り立ちだ。
以後、先進的なアメリカの事例や手法を参考にしながら、日本の実情に沿う形で事業を展開してきた同社。データ分析、ベンチマークなど極めてロジカルな要素が、この事業のポイントだ。
診療報酬制度の改定や病院の淘汰など医療をめぐる様々な問題を背景に、同社のような医療機関向けのコンサルティングを手がける会社は多い。主な競合は戦略系コンサルティングファームや会計事務所、大手SIerなどのヘルスケア部門のほか、GHCジャパンと同じような医療専門のコンサルティング会社など。競合がひしめくなかで同社の強みはデータ分析のノウハウに加えて、元医師、元看護師、元MRといった医療系のバックグラウンドをもったコンサルタントが多いことだ。
一般になじみの薄い分野であり、ともすれば机上の空論になりがちだが、同社の場合は現場感覚をベースにしたコンサルティングで、クライアントの評価も非常に高い。例えば、手術室の稼動を改善し、病院の収益アップを実現した事例を担当したのは、実際に手術の経験がある元医師のコンサルタントだった。クライアントの数はこの10年で10倍に拡大。1つのプロジェクトが終わるとまた次の課題に取り組むという具合に、契約を継続するクライアントが多いことも同社の評価の高さのあらわれだろう。
画期的なWebサービス『病院ダッシュボードχ(カイ)』で医療をより良く!

同社の持つ膨大なデータをもとに、『病院ダッシュボードχ(カイ)』を開発。

定期的に、全社ミーティングを実施している。外部のゲストスピーカーを呼んで話を聞いたり、メンバーが自発的に実施したデータ分析や提案をする場だ。
そんな同社の事業で特に今後、成長が期待されるのが、Webサービス『病院ダッシュボードχ』だ。病院内の様々なデータを可視化および自動分析し、課題解決や意思決定を支援する。同社がこれまでコンサルティングをした病院は800以上。そのノウハウや経験、そして蓄積してきたデータをベースに、コンサルティングのプロセスの第一段階であるデータ分析を自動化、パッケージ化したシステムだ。
特徴的な機能はベンチマーク分析で、まさに同社にしかないデータを基準に、自病院の経営状況や位置づけが他病院と比較してどうかがわかる機能だ。民間病院はもちろん公立病院も経営の最適化や効率化が求められる一方で、慢性的なスタッフ不足で経営分析もままならない状況下、これは意思決定や改善プランに必要な指標が自動的に作成できる画期的なツールだ。
「外来患者の分析ソフトや手術データの分析ソフトなど、個別のシステムは他にもあるが、院内のあらゆるデータを一元的に管理し、簡単な操作で誰にでも活用できる形になっているのは他にはないのでは?」。『病院ダッシュボードχ(カイ)』の開発者はそう語る。
「医療の分野は、他業種に比べてデータが活用できていません。IT未開の地であり、分析すべきデータの宝庫です」とも。
同社の持つ膨大なデータをもとに、『病院ダッシュボードχ』にもさらなる機能を加えたり、データを活用した新たな事業を展開したりすることなども視野に入れている。
現在、『病院ダッシュボードχ』のターゲットとなるべきDPC対象病院(注)が全国に1600施設あるなかで、導入しているのは200病院強。すでにかなりの数にのぼっているが、「このシェアを半分の800病院くらいまで伸ばしたい」(開発者)と、同社の目標は大きい。そしてそれは決して無理な数字ではない。
未開のビッグデータに医療の質の改善という社会的意義の大きさ、さらには経験豊富なスタッフ―。GHCジャパンには夢と可能性がある。頑張れば、自分に大きな見返りが期待できそうなステージと言っていいだろう。
※DPC対象病院とは?
厚生労働省が打ち出す大病院向けの新たな診療報酬制度がDPC(診断群分類)。DPC制度の対象となりうる諸条件を備えていると厚生労働省が認定している病院がDPC対象病院で、その数は全国で約1600。効率的で適切な病院運営ができていれば、従来の点数積み上げ式の報酬制度よりも病院の利益は大きくなり、患者の医療費の支払いも軽減される。点数制からDPCに切り替えるかどうかは各病院に判断が任されている。
Leap to the Future 未来(あした)を創造する、医療の現場から

元医師、元看護師、元MRといった医療系のバックグラウンドをもったコンサルタントが多いことが同社の強みだ。

オフィス内はフリーアドレス。好きな場所で仕事ができる。
「たとえばエンジニアなら、言語の指定とこういうものを作りたいというアバウトな要件はありますが、そのためにどうするかは自分で考えます。仕様書通りに作りたい人より、自由にチャレンジしたい人に向いているでしょう」(開発エンジニア)
月1回の全社ミーティングは会議のほか、大学教授や経営者といった外部のゲストスピーカーを呼んで話を聞いたり、メンバーが自発的に実施したデータ分析や提案を持ち寄ったりするなどし、充実した時間となる。懇親を兼ねた食事会も開催する。
同社の取り組むのは、国家的課題ともいえる医療の世界。急激に経営の合理化や医療機関同士の競争、差別化が叫ばれ、ドラスティックな変革を余儀なくされている分野だ。だがデータを用いた適切な分析をすることで、経営の質も医療の質も上がり、患者やそこで働くスタッフの幸せに、ひいては国民全体の幸せにつながる。
募集しているのは、その一翼を担うメンバーだ。そして何よりもIT化が始まったばかりのこの領域は未開のフロンティア。きっとおもしろい世界が待っている。
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