株式会社I.V.Consulting

株式会社I.V.Consulting（アイヴィーコンサルティング）は、SAP社ERPパッケージの導入コンサルティングを軸に、各種システム導入コンサルティング、経営コンサルティングといった事業を行っている。

同社は2009年に設立された会社だ。以降、強みであるロジスティクス分野を中心に着実に業務を拡大してきた。主要顧客は、大手コンサルティングファームや、SAPを手掛ける準大手システムインテグレーターなどいずれもグローバルな事業を展開する企業である。

「プロ意識が高い」「コンサルティングレベルが高い」「製品知識が豊富」「コミュニケーションスキルが高い」

小規模ながらこのように顧客から評価される経験豊かで優秀なコンサルタントが揃っていることが、同社の武器である。営業部門は持たない。コンサルティング・サービスの質の高さが営業部門の機能を肩代わりしているのだ。1度ついたクライアントにコンサルタント自身のスキルが認められ、継続的な受注に至るケースが殆どだ。

同社に在籍するコンサルタントは、SAPコンサルタントとして平均9年の経験を持っている。それは、経験豊富で優秀なコンサルタントのみをピンポイントで採用してきた結果である。
SAPは複雑で奥の深いシステムだ。過去の経験値が大きく左右する。プロジェクトを円滑に進め、確実な導入効果を得るためには優秀なコンサルタントの存在が重要だ。そのため同社では、アサインするコンサルタントのスキルレベルを重視している。コンサルタント・スキルの高さは、同社の営業力の源泉である。

同社が経験豊かで優秀なSAPコンサルタントを確保できる大きな理由は、社員の働きに応じた利益還元を行っているからだ。それを可能とするために、同社は顧客にとって付加価値を生まない経費は最低限に留め、優秀な社員を集める事に投資して来た。それが、高レベルのコンサルティング・サービスを実現している背景だ。同時にそれは、顧客に請求するコンサルティング費用を安価に抑えることにも繋がっている。

会社設立以降、不要な経費を抑えた堅実な経営に徹した結果、同社は第3期の2011年には利益率が飛躍的に向上し黒字化を達成。新規取引先の確保や稼働率の向上により、売上金額そのものも飛躍的に向上している。

創業者である代表取締役・新井智幸氏は同社を起業する前、大手メーカー系のコンサルティング会社など2社で、足掛け8年に渡ってSAPの導入コンサルティングを行ってきた経歴を持っている。現在の営業ルートは当時築いた信用によって確保されたものだ。
新井氏は前職までの経験の中で、業界で当たり前とされてきた年功序列型の評価制度や報酬体系、利益構造に疑問を持っていた。年齢や性別に関わらず頑張っている社員にはその成果に見合った報酬を還元し、顧客には費用に見合ったサービスを提供できる会社を設立するために、独立することを決意したのである。

「社員の満足度を向上すれば、よりスキルの高い社員が集まってきます。この業界ではコンサルタントのサービスレベルが会社の競争力に直結します。社員を大事にすることが、顧客に高い付加価値を提供する唯一の手段だと信じています」（新井氏）

同社の事業方針は、少数精鋭での運営だ。性急に自社の規模拡大を追い求めるのではなく、プロフェッショナルとしてのコンサルティング・サービスを提供できる人材のみを集め、サービスの質、顧客のメリットを追求する。この経営方針のもと、将来的には20名規模の組織へと育てる計画である。同社は、その実現に向け、新たな人材を確保するために動き始めている。

新井氏が目指す組織は、個人の意思・スキルを尊重する、“個人事業主の集合体”に近いものだ。上司も部下もなく、誰かに命令することも、誰かに指図されることもないフラットな組織だ。各社員は自分の仕事とスキルに自信と誇りを持ち、“お客様に最高水準のサービスを提供する”という価値観だけを共有し集っている。一見すると誰もが独立したコンサルタントに見える。また、いつ独立してもおかしくないスキルと人脈を持っているが、一か所に集う事で相乗効果が生まれるため、一同に会している。小規模でも競争力はどこに負けない、そんな強い組織を目指しているのである。

このような考え方は、給与体系にも反映されている。実力主義が貫かれた給与体系である。プロジェクトに配属されている期間は、契約単価の70%が社員に支払われる。配属されたプロジェクトで継続してアサインされた場合には、別途営業手当が支給される。評価制度に関しては、目標管理は一切行わない。現場に出て顧客に評価されていることが社内での評価に直結し、給与に反映される仕組みになっている。

「実力さえあればきちんと待遇に反映します。もちろん、実力に合わせて給与もしっかり払います。実力だけで評価されることは怖いかも知れませんが、SAP業界は仕事が多いのに人材が不足している状況です。弊社には大手顧客との太いパイプもありますので、活躍できる環境は用意出来ます。現状に満足できない人は勇気を持ってチャレンジして下さい」（新井氏）

同社が社員に求めることは、与えられた仕事に責任を持ってコミット出来ること。責任を持って仕事に取り組み成果を出せる人材に対しては、その努力や成果に十分報いることが出来る会社だ。現状に不満や疑問を抱えているとすれば、チャレンジしがいのある会社だろう。