有限会社ミック　（横浜中華街 皇朝）

中国の食文化を日本の人に伝えたいという思いからスタートしたお店。横浜中華街に店舗を構え、当時の横浜中華街にはなかった一口サイズの小さな肉まんを主力商品として販売を開始、瞬く間に人気を呼び、行列のできる店として順調に売上を伸ばしていった。

創業時からこだわってきたのは「最高の技術で最高の味を伝えたい」ということ。現在でも皇朝ブランドの特徴となっている「中国料理世界チャンピオンの店」というコンセプトは、創業時からのもので、同店の主力商品である肉まんも、チャンピオンを中心に商品開発が行われた。
現在は、中国料理世界大会点心部門・熱菜部門の第1回～第3回までの4名のチャンピオンが同社に在籍し、商品開発はもちろんのこと技術指導や、現場での調理など様々な場面でその技術を発揮している。4名とも、取得には最低15年が必要とされる中国国家高級技師の特級保持者であり、その腕前は折り紙つきだ。

　現在では横浜中華街を中心に海老名SA、新横浜、仙台、羽田空港等取り扱い店舗も10店舗以上に拡大している。

ネット・通販事業も好調で、楽天市場・Yahoo!・自社サイトで事業を展開している。特に楽天市場では、食品・スイーツジャンルの年間ランキングで、2006年度には1位を、2007年度には3位を獲得するほどの人気を誇っている。

2007年には日本経済新聞社NIKKEIプラスにておすすめ肉まんランキングの2位を獲得。テレビ・新聞・雑誌など各種メディアに取り上げられることも多く、同店の点心をお気に入りに挙げる著名人も少なくない。取材当日にも、昼の情報番組で同店が取り上げられていたほどだ。

※中国料理世界大会…世界中国料理連合会により、４年に1度開催。世界各国の中国料理調理士が選手として参加する、中国料理関連のイベントとしては世界最大規模の大会。5部門の個人競技と団体競技で、各々の持ち得る限りの調理技術を競う場であり、中国料理を志す調理士にとっては非常に権威ある大会。
※中国国家高級技師…中国労働部労働局の監査によって与えられる、料理人を対象にした国家資格。「特級」資格保持者は食の本場と言われている広東省でもわずかに5名、中国全土でも約40名しか存在しない。

同社が最も大切にしているのは、「多くのお客様が喜んでくれること」。そのため、単に最高の技術と味を提供するだけでなく、リーズナブルな価格で提供することにこだわり続けてきた。
「主力製品は90円の肉まん。贅沢なものを追求しているのではありません。コストパフォーマンスの高い商品を提供して、広くみなさんに喜んでもらえることが大切だと思っています。最初の頃はチャンピオンからも、高価になっても最高の料理を作りたいという意見が出ていましたが、『広くたくさんの人に食べてほしい』という当社の考えを伝え、制限はあるが、その中で一般の方に最大限喜んでもらえるものを作ってほしいとお願いしたところ、その考えに共鳴してくれました」と語るのは取締役副社長の陳有章氏。2店舗目にあたる「皇朝レストラン」（中華街）は食べ放題の店。これもお客様が一番喜んでくれる形態を考え抜いた末に出した結論だったという。同社の思いは消費者に届き、｢皇朝レストラン｣は、情報誌「横浜ウォーカー」が行なったグルメ・オブ・ザ・イヤー2007で総合ランキング2位を獲得するほどの人気店となった。

お客様満足度にこだわる同社の姿勢は、中華らしい雰囲気と高級感を持つパッケージにも表れている。

社内には「失敗してもくじけない人が多い」。失敗を責めるのではなく、いかに次につなげていくかを重視する社風がその背景にはある。「何度も同じ失敗を繰り返してはいけませんが、失敗を恐れてはいけないと思います。失敗しても、その原因をきちんと分析して、改善して、そして次につなげていくことが重要です。何よりも『最後には必ず成功するんだ』という熱い気持ちを持つことが大切。その気持ちがあれば、きっと結果は出るはずですから」

そんな同社が求めるのは、ベンチャーマインドを持った人材。「若い会社なので、年功序列は一切なく、成果主義で評価しています。年齢や性別に関係なく、能力のある方であれば、給与も上げますし、権限も与えます。自分の手で会社を大きくしていくんだという志のある方にぜひ入社していただきたいですね」。新規事業の立ち上げはもちろんのこと、軌道に乗り収益が見込める事業であれば、子会社化をしていく可能性もあり、能力とやる気さえあれば、そのトップに就くことも夢ではない。
逆に、会社のメンバーとして自らの技術を向上させ、会社に貢献したいというメンバーも大歓迎だと陳氏は語る。様々な志向を持った人材が活躍できる会社でありたいという思いがその背景にはある。ただし、協調性や収益に対する意識はすべての人に必要だともいう。「お客様から支持されているということが、すなわち収益を上げられるということだと考えています。お客様との直の接点を持たないような職種のメンバーは見失いがちですが、『給与は会社から出るのではなく、お客様から出ているのだ』ということを忘れずに、仕事をしてほしいと思います。これを忘れてしまうと、どんなに努力したとしても、変な道に外れてしまう。職種や、将来目指す方向に関係なく、このことは大切にしてほしいと思います」

創業以来、常に「お客様はどうしたら喜んでくれるのか」という点を重視して事業展開を続けてきた同社。今後もこの思いをぶれさせることなく、消費者を笑顔にさせるような商品・サービスを提供し続けてくれることだろう。ぜひこの思いに共感できる志の高い人材にチャレンジしてほしい会社だ。