株式会社テクノデータ

ライブ・コンサートなどのチケットを購入するとき、Ｗｅｂブラウザー上でリアルな会場レイアウトで自由な座席を選ぶ。そんな光景をチケット販売ブースにもたらしたのが、株式会社テクノデータである。

同社は、1993年に伊部氏（同社代表取締役社長）をはじめとするオープン系システムの技術者5人のメンバーが立ち上げた。当初はUnixなどのハードウェアや予約業務関連のシステム開発を幅広く請け負っていたが、同社代表の伊部氏が、下請けの仕事ではなく自らの技術でクリエイティブな仕事を手がけようと、ソフトウェアの自社開発志向にシフトしていく。

そんな中、ある音楽プロモーター事務所の社長から相談を受け、1995年、現在の同社の主力製品である「チケット販売システム：Charmシリーズ」の初期バージョンが完成した。しかし、Windows95が発売されたばかりの当時、音楽業界がこの先進的なシステムを受け入れることはなかった。というのも、それまで長く続いてきた伝統的なチケット販売方法（コンサートホールの座席表を板版に張り付け、舞台の見え方や音の聞こえ方を電話で説明しながら希望の席を案内する）が大切に守られており、特に同社がターゲットとしたクラシック音楽業界ではその販売方法がサービスの一部でもあると考えられていたのだ。

営利目的を持たず、低予算で質の良い音楽を提供したいと考えるオーケストラやホールなどは、当時、顧客管理をワープロなどで行なっている程度であり、なかなかITに関心を示してもらえなかった、と伊部氏は当時を振り返る。

このような背景から、Charmsシリーズが日の目を見るまでにはしばらく時間が必要だった。
しかし、フジテレビジョンが主催したシルク・ドゥ・ソレイユ：アレグリア日本公演で60万枚のチケット販売管理を見込んだ導入が決定。機能を拡張して対応し、全256公演で、完全なチケット販売管理を実現した。当時、実券管理（チケットそのものを注文ごとに郵送）が行なわれていたため人為的なミスも多く、興行主は損失を被るケースもあったが、これを解消し高く評価された。

それから「チケット販売システム：Charmsシリーズ」は、ＮＨＫ交響楽団が導入するなど大手楽団に採用され始め、口コミで評判が広まり軌道に乗った。類似のソフトウェアを販売する競合も出始めたが、実際の会場イメージをリアルタイムで拡大縮小できる同社の製品は圧倒的な支持を得たと言う。

現在、同社は首都圏と関西地区に約20社の顧客を持つ。昨年Charmsクラウドバージョンも完成させ、今後も継続的に新しい製品をリリースしていき顧客に貢献していく方針だ。

今後の同社では、時代の要請に応じてCharmsシリーズの機能をさらに拡張していく。2012年には、ファミリーマートでの発券サービスに対応した「Charmsクラウドバージョン」をリリースした。また、チケットを電子化してチケットレス入場を可能にするシステムも シルク・ドゥ・ソレイユ公演で運用をスタートさせた。さらに、顧客管理データベースとの連携によるチケット販促マーケティングシステムの実現や、2014年10月にリリースするスマートフォン機能を武器に、2020年の世界的イベントに向け需要拡大が進む市場への展開も視野に入れる。

今後、募集するのはこれらの同社の夢を一つひとつ実現していく情熱あるスタッフだ。自社製品を始めお客様と直接向き合う上流工程を目指したい熱意あるエンジニアや、全国に広く製品を展開していくパワーを持った営業スタッフの参画を待っている。