3Di株式会社

IT/Web・通信・インターネット系

OpenSimで3D仮想空間を実装

企業について

立ったまま打合せをするのが同社のスタイル。<br/>簡潔に、バイリンガルで進行する。

OpenSimによるオープンな3次元仮想空間

社名の「3Di」とは、3D interverseのこと。すなわち、インターネット上でつながる3次元仮想空間のことである。「セカンドライフ」で話題になった3次元の仮想空間。さまざまな理由から3次元仮想空間におけるビジネスは難しいと考えられていたが、同社では新しいコンセプトを打ち出した。それが、「OpenSim」というオープンソースを利用したサーバソフトウェア製品「3Di OpenSim」だ。これまでのように、いくつものメタバース（仮想空間）が乱立し、ユーザはいずれかを選んで参加するという閉じた世界ではなく、複数のメタバース同士がシームレスに連携し共存するオープンな仮想空間をつくるためのものである。

同社のCTO鎌田氏は、「ユーザが自由に好きな仮想空間を訪れ、自由に行動できなければ、仮想空間におけるビジネスは成り立たないという考え方が世界的に主流になっています。当社の『3Di OpenSim』はそれを可能にする製品で、これまでのメタバースのように特定の仮想空間にすべてを内包させようとするのではなく、3D仮想空間でビジネスをやりたいと考えている企業それぞれが自社サーバの上に仮想空間を構築し、それらの間を“つなぐ”ことで、ユーザがWebを通してスムーズに行き来し、自由な購買活動ができるようにしたのです」と語る。

鎌田氏の言葉のとおり、3Di OpenSimは、将来的にさまざまな仮想空間をユーザが自由に往来する「インターバース」な未来を見据えて開発されており、このために「OpenSim」を採用している。OpenSimは、世界中の技術者によってオープンソースで研究開発されている3Dインターネットサーバーソフトウェア。同社は世界的なコアディベロッパーとして、OpenSimコミュニティに関わっているという。

同社は、インターネットベンチャーのインキュベーション企業であるngi group株式会社による仮想空間事業マーケットの創出と、NGN戦略の一環として仮想空間に注力するNTTインベストメント・パートナーズファンド投資事業組合との合弁で2007年半ばに設立された。そして翌年10月1日、3Di OpenSimバージョン1.0がリリースされた。

社員は約20名でその内の9割がエンジニアである。その中でも9割が日本以外の国籍を持つ人たちで、アメリカやハンガリー、フィンランド、中国、インドネシアなど多彩な国から「OpenSimを使ったインターバースを立ち上げてみたい」という想いを持って集まっているという。彼らの前職も多様で、原子力関連のシミュレーションをしていたエンジニア、ゲーム会社、3Dグラフィックス開発会社など。博士課程修了者が比較的多いという。いずれも「未知の分野の開発に挑戦し、自分の手で新しい市場をつくってみたい」というのが参画の動機のようだ。

リアルと3D仮想空間の融合で生まれる新しいビジネス

3Di OpenSim製品の対象顧客となるのは企業のみである。ゲームや一般消費者によるコミュニティなどの機能は存在しない。あくまでも、ビジネスでの利用が前提となっており、企業はこの製品を利用して3D仮想空間を構築し、自社のウェブサーバ上で見せたい製品を展示・販売し、ブランド構築を行う。

3Di OpenSimの大きな特徴は、「現実世界」と2Dの「Web」の双方の良い部分をあわせもつことだ。これが、時間や場所に縛られず自由な表現が可能な「次世代メディア」として注目されるゆえんである。

たとえば、ビジネスの活用例としてあげられているのが、新築マンションのモデルルームである。メタバースに24時間オープンのモデルルームを構築し、マンション敷地内全体をリアルに体感できる空間にすることで、マンション購入希望者は好きなときに訪問して物件を見学し、必要なときにスタッフを呼び出して質問できる。また、購入希望者同士が情報交換を行うこともできる。

企業はモデルルームの建設・運営コストを削減し、アクセスログ解析でユーザ動向を把握できる。また購入希望者側も、時間や場所に関係なく、販売員を気にせずに落ち着いて検討できる。

もうひとつの例がブックストアなどの店舗だ。リアルの店舗での買い物の楽しみ方を損なうことなく、インターネットショッピングの利便性を享受することができる。たとえば、平積みになっている本、スタッフの手書きの推薦コメントがある本などを手にとって立ち読みし、気に入ったらオンラインショッピングと同じ要領で購入できる。

このように、リアル店舗での空気感を損なわずに、時間や場所の制約から逃れることができるのが、「3Di OpenSim」のすぐれたポイントである。バージョン1.0がリリースされる前から、海外・国内企業からの問合せが数多く寄せられているという。年間のサーバライセンス料金を徴収するというビジネスモデルを採用し、価格も年間525,000円と低く設定することで、今後の大きな展開を見込んでいる。基本的にはソフトウェア製品の販売を中心にビジネスを展開し、同時に、3Dインターバース市場をつくっていくための啓蒙活動等も行う。また、SI企業との提携によるビジネス展開も視野にあるという。

強い意志だけを持ってきてほしい！

今、同社に参画する人は同社の創業メンバーとなる。外国人が多く、世界のコミュニティとの協働活動があるため、コミュニケーションは日本語、英語、中国語などで使えるものを使うという状況だという。現在のメンバーの多くは25歳から30歳前半。フレックスタイム制度をしいており、コアタイムが13時から15時の間だけなので自分のペースで勤務できる環境だ。また、ベンチャー企業とはいえ、ngi groupとNTTの戦略子会社であり、上場を目指しているため、人事制度などはngi groupに準じて整備されているという。

「今、みんなをつないでいるのは、新マーケット創造の喜びと興奮。つくったものを評価してもらえることが大きなやりがいにつながっています。仕事が大好きな人間ばかりで、みんな、私が気を遣ってしまうくらい没頭していますが、全員が主体性を持ってこの会社を立ち上げているという雰囲気は大切にしたいと思います」と鎌田氏。

これからのインターネットを変えていく可能性十分なこのビジネスに参画してみたい。経験よりもそんな「強い意志」を持つ人を迎え入れたいと、同社では新しいメンバーの参画を心待ちにしている。

企業情報

会社名

3Di株式会社

業界

IT/Web・通信・インターネット系 > インターネット/Webサービス・ASP

IT/Web・通信・インターネット系 > その他IT/Web・通信・インターネット系

資本金

1億9467万円

設立年月

2007年06月

代表者氏名

代表取締役社長小池聡

事業内容

私たちは、この3Dインターネットの標準的なしくみを研究開発する「OpenSim」コミュニティのグローバルリーダーとして活動をしております。また OpenSimの代表的商用ディストリビューターとして、3Di OpenSim、構築支援ツール・3Di Studio等の開発、ならびに、3Diソリューションの提供を行っています。

株式公開（証券取引所）

非上場

主要株主

ngi group株式会社 NTTインベストメント・パートナーズファンド投資事業組合

従業員数

-人

本社住所

東京都目黒区上目黒2-1-1 中目黒GTタワー 20F