アイシン・エィ・ダブリュ株式会社

世界有数の自動車部品メーカー・アイシン精機を中心に、約150社（総従業員数約6万6000名）で構成されるアイシングループ。その中核企業であるアイシン・エィ・ダブリュ株式会社は、1969年、AT（オートマチック・トランスミッション）専門メーカーとして設立された。

現在では、AT、カーナビ、ハイブリッド、の3部門を事業の柱とし、従業員数約1万名を数える企業に成長している。2007年3月期決算では、売上高（8,764億円）、経常利益（565億円）ともに過去最高を記録し、今後もさらなる成長が見込まれるている。

特に、設立当初からのコア事業であるATは、国内外トップメーカーのフラッグシップカーをはじめ、世界17ヶ国の34社の自動車メーカーで採用されており、世界シェアナンバー1を誇る。

また、1990年代以降、急速に成長したカーナビ部門では、1992年に世界で初めて「ボイスナビゲーションシステム」の製品化に成功して以来、世界40ヶ国（2006年現在）の道路情報に対応。欧州版では10カ国以上でのボイスナビゲーション機能を持たせるなどして、自動車メーカーの純正品への採用やカーナビメーカーへのOEM供給などにより、こちらも世界トップクラスの生産台数を誇っている。ITS（高度道路交通システム）分野への進出など、同社の技術が活躍するフィールドはさらに拡がっていく。

一方、省資源や環境に配慮した製品開発にもいち早く取り組み始めた同社は、90年代初頭よりハイブリッド技術の開発にも力を注ぎ、トヨタ自動車と共同で数々のハイブリッドカーを市場に投入してきた。今後はさらに、世界中の自動車メーカーへの供給を視野に入れ、コスト面などの課題解決を図りながら、同部門の発展に力を注いでいる。

同社の強みは、常に“革新的な物づくり”を目指して培ってきた高い技術力である。その開発の歴史は“世界初”と“世界一”に挑み続けてきた歴史だ。1977年の小容量FRオーバードライブ付4速AT「03-50」から始まり、1980年代初頭の小容量FRロックアップ付4速AT「03-71L」、小容量FR電子制御式4速AT「03-71LE」など数々の“世界初”の製品開発を経て、AT分野における“世界のトップメーカー”という地位を確立してきたのだ。
近年においても、カーナビからの情報をもとにATのシフト制御やサスペンションの減衰力制御を行うナビ協調サスペンション制御システム「ナビマチック」や、世界の自動車メーカーの注目を浴びた高容量8速AT「TL-80SN」（いずれも2006年）、4WDハイブリッドトランスミッション「HR-10F」（2007年）など、革新的な製品を次々と開発している。

そして、その技術力と同社の成長を支えてきたのは、設立以来貫いてきた“品質至上”の経営理念だ。この理念のもと、徹底したTQM（全社的品質管理）活動を行い、開発から生産にいたるまで品質の100％保証にこだわり、厳格な品質保証体制を築き上げてきた。この活動は、デミング賞（1977年）、日本品質管理賞（1982年、1991年）の受賞などといった形で世界から認められ、同社の信頼に結びついてきたのである。

このような同社の技術力や品質へのこだわりを象徴するのが、2003年に設立された「ものづくりセンター」である。コア技術に特化した研究を行う同センターでは、開発・生産技術・製造による三位一体の体制で、工法、設備、生産システム、品質について、革新的技術の研究・開発を行っており、これまでに、『ドリームキャリー』（江戸時代の茶運び人形の“からくり技術”にヒントを得て考案された自動搬送装置。第1回『日本ものづくり大賞』特別賞受賞）や、『カイテキゴクセマライン』（設備の小型化や高速加工、工程集約を徹底することにより実現した、全7工程、ラインベース108㎡という小型開発ライン）、『マイルド浸炭』（従来浸炭法では8時間以上かかっていたギア材の熱処理を3.5時間で行う。さらにCO2は40％削減、精度は40％アップ。第2回『日本ものづくり大賞』経済産業大臣賞受賞）など、従来の考え方にとらわれない革新的な発想による新しい技術を次々に生み出している。

“品質至上”を経営理念とする同社は、「企業の活力や成長を生み出す人材こそ最も大切な資産であり、企業の活力の源泉」と考え、その人材を通して顧客や社会へ貢献し、企業の発展や社員の幸せを実現することを基本としている。そして、“顧客が求める価値”を追求し、世界の市場から“喜びと信頼”を持って受け入れられる“魅力ある商品とサービス”の提供を実現するための“人づくり”に取り組んでいる。

「常識を疑うことが入口」とする同社の物づくり。自動車業界の常識に染まりきっていない新しい視点を持ったエンジニアを必要としている。AT部門を中心に即戦力採用を強化している同社だが、自動車業界での経験がなかったというエンジニアが数多く活躍しているのが大きな特徴だ。
その背景には、一人一人の長所を生かすことを基本とする“人づくり”の姿勢がある。社内の「技能研修センター」では、1979年以来、若手社員の「心・技・体」の訓練を目的とした事業内認定職業訓練を行ってきた。また、高度な技能者育成の取り組みとして、「技能五輪」や「技能グランプリ」の全国大会に参加し、上位入賞者を多数輩出してきた。
さらに、海外グループ会社の物づくりに関わる中心的な人材を迎え入れ、モデルラインや工場を利用した実践的教育を行い、グローバルな物づくりに対応する技能育成にも注力している。

「人材こそ最も大切な資産」という考え方は、同社の行き届いた福利厚生環境にも反映される。コンサートや公園などの文化活動が行われるホールやスポーツ施設、研修設備が整った「希望の丘」や、シアターやスタジオを配備した「ゆとりヒルズ」などといった施設、そして、地域との交流も兼ねた定期的なイベント開催など、充実した内容となっており、社員の活力に繋がっている。

「子どものころからとにかくメカが好きだった」というエンジニアが多数在籍する同社は、「エンジニアとして嬉しいこと、カッコイイと思えること」を大切にする会社だ。一人一人のエンジニアが持つ「ワクワク感」を共有したいと願う仲間や上司、経営陣、そして“世界一の生産技術”をとことん追求できる一級品の開発課題と、その課題を全世界・月産50万台以上の製品生産に直結出来る体制。ものづくりのあり方を自分の力で変えて行きたいという意欲を持った人材にはうってつけの環境が揃う。それがアイシン・エィ・ダブリュ株式会社だ。