株式会社スカイクレスト

株式会社スカイクレストが設立されたのは、1990年。それ以来、小売系流通（物流）システムの開発、保守・運用を中核事業として手堅い経営を継続している。代表取締役を務める寺師泰之氏は、同社の設立以前から大手総合スーパー（GMS）と取引実績があり、設立後も関係が途切れることなく、会社として物流システム開発を手掛けることとなった。

90年代といえば、消費者ニーズが多様化していき小売で取り扱われる商品数が急増していった時代だ。それに伴い物流量も拡大し、物流センターのオートメーション化やシステム化が進展した。2000年代に入ると商品原価削減のために物流コストの削減を図る会社が増えたことで、効率化を図るための物流システムの進化が進む。その中には、システムのWEB化に伴う可視性の向上といった取り組みも含まれる。2010年代に入ると、取引先とのデータ連携強化や、さらなるコスト削減を実現するためパッケージ化された物流システムの普及が広がっていく。

このような物流システムの変遷を常に現場で経験し、小売系流通会社の業務の進化に柔軟に対応しながら最適なシステムの在り方を追求、実現し続けてきた同社には、膨大な知見が蓄積されている。
「小売系流通システムは、大きく物流センター系、本部管理系、配送系、店舗管理系の四つに大別できます。これら4領域のシステムがどのように連携しているのか、それぞれの領域において最適なシステムの在り方がどのようなものか。そして、お客様にとって使いやすいシステムとは何か。この全てを満たすシステムをつくるには、お客様の業務内容や業務フローを知り、理解することが欠かせません。当社には30年にわたって、積み上げてきた知見や経験則があります。これが当社の強みであり、お客様の信頼の源泉であり、競合優位性になっています」（寺師氏）。

現在、GMSの多くはパッケージ化された物流システムを導入しているところが多い。そのため、その導入を手掛けるシステム会社は取り扱っているパッケージのSI技術には長けているが、反面、物流業務に関する知見が不足しているため、顧客の多様な要望に柔軟に対応することを課題としているところが少なくない。しかし、同社の場合、設立以前から取引のある総合スーパーは自社で独自の物流システムをつくっており、同社はその開発、保守・運用を手掛けてきたことで、物流システムに関する理解度が非常に深い。だからこそ、顧客から「スカイクレストに任せておけば」という信頼を獲得できているのだ。

同社が第2の柱とすべく力を入れているのが、サイバーセキュリティ分野だ。
これまではセキュリティ関連事業として、独自開発した電波環境調査機器による各種調査・販売や、防止システムに関するコンサルティングを行ってきた。

時代の変遷や技術の進歩を踏まえ、同社では新たな取り組みとして、不正なWi-Fi電波を検出する機器の開発を進めている。さらに、各地域にハニーポットを設置し、悪意ある攻撃者の手法や脅威に関する貴重な情報を収集・分析。その結果をもとに、有効な対処手法の研究・開発に取り組んでいる。

「この分野は、単に情報防護やサイバーセキュリティの技術があれば良いというものではなく、その背景にある世界情勢や地政学リスクなども踏まえ、俯瞰的に全体を見る視点が欠かせません。そのため、当社ではサイバーセキュリティ企業やシンクタンクとの連携を進めるとともに、教育・指導の面では、ある大学が実施する「真のサイバーセキュリティ人材」育成プログラムに参加し、社員の育成を推進していく予定です。」（寺師氏）。

現在取り組んでいる事業を通じて、情報防護・サイバーセキュリティ分野の先端技術やノウハウを蓄積できれば、それを民間企業へ展開するためのコンサルティングやソリューションビジネスも開発していく予定だという。

「サイバーセキュリティは、サイバー攻撃から守るための対策や技術ですが、情報防護は、機密性の高い情報が外部に漏洩したり、不正に利用されたりしないよう、技術面だけでなく、制度や組織体制も含めて総合的に対策を講じることです。
そのため、情報の価値はますます高まっていきます。今後は情報防護の重要性がさらに増していくはずです。
そのノウハウを培うことで、新たなビジネスの機会を模索していければと考えています」（寺師氏）。

情報防護やサイバーセキュリティの対策は、業種や業界によって異なる。
そのため、物流システムと同様に、セキュリティ分野においても現場を重視し、技術だけでなく業界ごとの慣習やビジネス習慣、業務内容を理解しながら、顧客との信頼関係を構築していきたいと話す。
この「顧客起点」の発想こそが、同社の大きな強みにつながっているのだろう。

同社には、物流システムに関する高い専門性を有した人材がそろっている。
顧客からの信頼も厚く、プロジェクトが途切れることはない。
同社は、この財産を引き継ぎ、今後の同社の持続的な成長を支えてくれる人材を求めているところだ。
「少子高齢化や人手不足、デジタル化のさらなる進展、情報価値の高まり等、今後、企業を取り巻く環境は大きく変化していきます。
その変化の中、どのようなシステムが求められるのか知恵を出しながら、既存事業の派生となる新たなビジネスを生み出していく――そんな気概のある人材を求めています」（寺師氏）。

競合が成長していく中、現状維持に汲々としているばかりでは、会社は衰退していくばかりになってしまう。
とはいえ、「仕事は仕事」と割り切って与えられた業務を淡々とこなすだけの人では、新たなビジネスを発想し、形にしていくことは難しい。
そのため、寺師氏は「仕事を楽しめる人、楽しい仕事をつくれる人」に期待していると話す。
「興味のある対象であれば、率先して勉強するし、新しいアイデアも自然と湧いてくるものです。
楽しいと思える仕事を通じて売り上げ、利益を伸ばしていけば、給料も上がっていきます。
この好循環を自らの手でつくっていきたい。
そう考える人材に来ていただきたい。
当社のような小規模の会社が大手を向こうに回して競争するには、いかに“楽しい”を自分達でつくっていくかが重要だと考えています」
同社は、経営層と社員の距離が近く、会社の方向性に沿った発展的なアイデアを経営陣に直接ぶつけられる環境がある。
寺師氏自身「建設的な意見を言ってくる人は大好きです」と話すとおり、社員は遠慮なく社長に意見を言うシーンがある。
ちょっとした雑談も和気あいあいとした雰囲気が漂う。この風通しのいい社風が浸透しているからこそ、若手がベテラン社員に質問しやすいのだろう。

担当するプロジェクトに左右されるところはあるが、リモートワーク（月1回出社）も可能で、仙台在住で働いている社員もいる。
また、現状リモートで働いているメンバーがいないプロジェクトであっても「クライアントと交渉してくれる」という。
「今いる職場でポテンシャルを発揮できていない、もっと積極的に仕事と関わりたい、新しいビジネスをつくってみたい。
そう思っている人、自信のある人は大歓迎です。ぜひ、一度話をしましょう。待っています」（寺師氏）。