イノフェックス株式会社

自動車関連メーカーの製造ロボットシステムをはじめ、社内の業務システム（Web・オープン系）なども幅広く手掛けるイノフェックス株式会社。1987年の設立から、システムエンジニアリングから受託開発まで展開している。

「地道にやってきた会社なんでね、これだ！と胸を張れる売りがどこにあるかは、よく分からなくて……」と、代表取締役社長の上野勇樹氏は話す。

しかし同社の魅力の一つは、上野氏のこういった“一つに決めない”という考え方にあるのではないだろうか。


「私はもともと、技術畑の人間なんですよ」取材中、上野氏はこう繰り返した。

上野氏は2000年に同社へ新卒入社。エンジニアとして先述の自動車関連ロボットや社内の業務システム、大規模な金融関連システムにも携わり、その中で取締役や技術部長も勤めあげた。

こうして20年以上にわたって、社内のエンジニア部隊を支えてきた上野氏。エンジニアという仕事の酸いも甘いも味わってきた。だからこそ、2024年10月に代表へ就任してからは、社内制度を大きく再編する。

「ありがたいことに、長年にわたってお付き合いいただいている企業が多いです。こういった企業様に答え続けるためには、エンジニアの体制をさらに強化していく必要があります。しかしさらに言えば、エンジニアにだって、頑張り続けられる理由が必要ですよね。それを叶えたいと考えました」（上野氏）。

ものづくりや、瞬く間に進化する技術を追う楽しさは、エンジニアの醍醐味だ。自ら夢見てエンジニアという仕事を選んだ人も多いだろう。しかし、いざ仕事となると楽しいことばかりではない。だからこそモチベーションを保つための要素が必要だ。

そこで上野氏は、働く環境に着目し始めた。就任間もない頃は、従業員規則の見直しや、確定拠出年金等といった新たな福利厚生の導入等、組織の基礎から組み立て直したという。

「一般的な目線で“これは良いのではないか”という制度は一通り整えたつもりです。しかし、エンジニアも一人ひとり違う人間ですから、求めるものも違うはずです。今後はエンジニアそれぞれの声を吸い上げ、なるべく制度や環境に反映できるように努めていきます」（上野氏）。

改めて、同社の事業について触れたい。

クライアントの業界やエンドユーザーは多岐にわたるが、やはり代表的なのは、自動車関連メーカーで利用されている塗装ロボットのシステムだ。こちらは受託開発しており、同社の多種多様な事業のうちの2割を占める。

開発したシステムが正常に稼働しているか、異常がある場合は何か原因なのか、それらを確認するため、よく工場へ足を運んで視察していた。コロナ禍をきっかけに現在はオンラインで行うことも増えたというが、こうして実際にシステムが利用される現場を、自分たちの目で見る機会は豊富にありそうだ。

「このロボットシステムの案件は大きな会社と取引しており、長きにわたってご依頼いただいています。手前みそですが、社員の優秀な働きぶりが評価されているようです」（上野氏）。

自動車関連ロボットシステムにおける同社の長年のノウハウもあり、クライアントの知見を補いながら案件を進めることも。“かゆいところに手が届く存在”として頼りにされているのだ。

そしてシステムエンジニアリング事業としては、多岐にわたる企業の業務システムやWebアプリケーションの開発にも携わる。


こうして地道に信頼を積み重ねてきた同社。既存クライアントでの新プロジェクトのほか、別の企業の紹介もよく受け、新たな取引に繋がっているという。

「私が代表になってからは、私が社内制度の見直しにかかっていることもあり、あまり新規のご依頼をお受けしていません。今後は、新たなプロジェクトも指導させたいですね。そのためにも勤務体系や福利厚生を整え、さらに新たなエンジニアも迎え、組織体制を強化するべきだと考えています」（上野氏）。


その上で、上野氏はエンジニア採用の意向を語った。

「当社の面接では、あまり自分を作りこんでいただく必要はありません。正直な事を言うと、入社する段階では、あまり高い能力は求めていないんです。Greenでは基本的にエンジニア経験者を募集する想定です。ですが開発における基礎的なスキルや対応経験があって、堅実に仕事と向き合える方であればOK。そしてエンジニアをこれからも続けたいな、という人だと嬉しいですね」と話す上野氏。

面接は、お互いが合うかどうかを見定める場所。だからこそ自身を飾りすぎず、これまでの経験をありのままに伝えてほしいとのこと。そして、「今後エンジニアとしてどのように仕事していきたいか」を素直に話してほしいという。

「当たり前ですが、エンジニア一人ひとりがやりたいことを、やってほしいんですよ」と上野氏は語った。

上野氏からこの言葉が出てきたのは、取材時に「やりがい」や「ロールモデル」について触れたからだ。

「“やりがい”かぁ……。お伝えしている通り、エンジニアは十人十色なんですよね。だから、これがやりがいです！と一言で言いきれるものは、私はなかなか見つけられません」と上野氏。

例えば「チャレンジできる環境」は一見、強く目を引くやりがいだ。しかし、この「チャレンジできる環境」がモチベーションになる人がいる一方、重荷に感じる人もいる。

「だから、なるべく社員それぞれの声を聞くようにしています。例えば、新たな案件の依頼があった際は、社員へ“相談ベース”で声をかけます。新たな技術を使うプロジェクトに入りたい人もいれば、今の自分が対応できる技術で仕事したい人もいますからね」（上野氏）。

アグレッシブな人、仕事に安定性を求める人、両者どちらも迎え入れるのが同社だ。


しかし、前者の“アグレッシブな人”がどれほどチャレンジできるのかも気になるところ。その一例として、過去の上野氏のアイデアが形になったエピソードを紹介したい。


「以前、マイクロソフト製のXboxでリリースされたキネクトというコントローラーがありました。人や物の距離を測れるというキネクトの特性を生かして、何かできないかと思ったんです。そこで私はキネクトを使って3Dモデルのサンプルを作り、前代表に働きかけました。すると前代表は、農作物を栽培する企業に提案しました。その企業とは無事契約に至り、作物の成長具合で収穫時期を計れるシステムを開発しました」（上野氏）。

自身のアイデアを発信し、新たなプロジェクトを生み出す。現代表がそれを体現していたのだ。


こういった活躍しやすい風土がある中で、オープンな評価・還元制度も存在する。

まず継続案件は毎年クライアントへ価格交渉し、可能な限りの売上を担保する。その上で社内では売上や利益を公開。各メンバーには自身の還元率も伝え、メンバーにとっては「今、自分は案件でどの位置にいるのか、どう評価されているのか」が明瞭な環境だ。

自分のキャリア志向が尊重され、自分の頑張りも正当に評価される。それが同社だ。


「まだまだ自分は、エンジニアとして上を目指せるはず」というあなた。「とにかく安心できる環境で、エンジニアという仕事を続けたい」というあなた。どちらの“あなた”にも、イノフェックスの門戸は開かれている。あなたらしいエンジニアキャリアを、この場所で築いていってほしい。