ファーストループテクノロジー株式会社

ファーストループテクノロジー株式会社は、監視カメラやロボット、センサー等から得られたデータを、機械学習や数理モデルを活用して分析し、顧客課題に応じた解決手法を組み合わせて最適化することで、顧客利益の最大化に繋がるデジタルループサービスを開発・提供している企業だ。

高度なデータ分析とAI技術を活用し、様々な移動データ（ヒト・モノ・ジョウホウ・カネ・エネルギー）のリアルタイム連携で現場の可視化を実現。そしてデータ連携による最適化、物理空間への制御（ブレインチェンジ）、群制御を行う。顧客に合わせてクラウド・オンプレミス・エッジ等の組み合わせや構成が可能なCPSエンジン『DAVIE』、AIを活用した作業車両と人との接触防止システム『ヨミトル―危険検知』等を開発・展開している。

同社の事業の根底には「日本が抱える深刻な人材不足をどう解決するか」が軸となっている。人口が減っていく中で企業も本格的な対策に取り組み始めてはいるが、AIをどうビジネスに活用するのか、データをどのように使えばいいかが分からない企業が大半だ。同社では、「物理世界で情報を収集する」「仮想世界で受け取って計算する」「それを物理世界に丁寧にインストールする」の三つをコード化し、顧客の課題を支援していく。

同社を創業し、代表取締役社長（CEO）を務める福永哲推氏は
「AIは、学んだことからしかアウトプットできません。人間の感情や情緒は読み取れませんし、いくら進化したとしてもクリエイティブなことはなかなか難しいです。でも、人が経験してきたことを再現することはできるかもしれない。それを人が物理的にコントロールするということが大事なのです」と語る。

そして、世の中にまだないものを創り出すことにも注力し、新規サービスの開発も複数進めている。
「今まで様々なシステムが開発されてきましたが、いわゆるFit to Standard（FTS）だけでは顧客満足度が向上しません。今後は、FTSによる標準化を進めながらも物理現場を圧迫せず、Fit & Gap（フィット・アンド・ギャップ）のボトムアップでソフトサンドイッチ化して、物理現場に丁寧にインストールすることが大事だと考えます。当社でも第二創業期に向けて新しい挑戦をしていきます」（福永氏）。

同社では、2025年を第二創業Yearとして、ここからの第二創業期に向けて組織を拡大していく構想だ。物理世界へのAIの浸透が始まっている昨今、2025年は技術的大転換Year。そんな世の中に起きている様々な事象をエネルギーとして大きく飛躍することを目指していく。それに伴ってコーポレートアイデンティティとしてのミッションを、「ビジネス現場で最も必要とされるバトラー」から「強い"現場"を支え、平穏をまもる。」へ一新した。

「今の子供達が大人になり、将来豊かな環境と文化の中で世界の平和に貢献していくには、日本経済が豊かになる必要があります。そのためにGDPを上げたいけど人口は減っている。だから生産量でカバーしないといけません。それをサポートする事業をつくり出していきます」（福永氏）。

今後の展望としては大きく二つの軸がある。一つ目は、データ駆動型ビジネスで人材不足に大きな課題を持つ業界を支援すること。例えば、圧倒的に人材が不足している製造、建設、物流、不動産管理等だ。人が減ってもコンピューターの力で現場が回るように、省人化⇒活人化⇒最適化⇒極少化⇒自動化⇒セントライズ化⇒自立自動化していく。そのためのデータのサポートを行う。

二つ目は、社会インフラのメンテナンスに注力していくこと。例えば道路、上下水道、電気、鉄道、ガス。生活に不可欠なインフラを適切にメンテナンスしていくためには、ユニバーサルサービスを踏まえた上で今後の労働者不足に受けてコンパクト化&スマート化しなければいけない。専門家の情報を得ながら、何から始めればいいか計算し、再整備しながら進めていきたいと考えている。

日常を平穏に過ごせることは何よりも幸せなことだ。でも人々の生活は、何をするにも様々な “現場”の上に成り立っている。
「現場は一気に変わることは望まないけれど、それでも変わらないといけません。変わることは受容するということ。私達が現場に寄り添って伴走し、相棒になることがこれからの私達の使命だと思っています」（福永氏）。

同社の従業員数は59名（2025年6月時点）。約8割がエンジニアで構成され、平均33.8歳と若い組織だ。最先端技術を扱うビジネスながら業界未経験で入社した社員が多く、エンジニア組織では未経験入社後2年で課長にキャリアアップした社員がいる等、成長スピードの速さが特徴だ。

そんな同社の会社づくりは「自主性の尊重」が軸。社員が自身で考え、自走・自活できる環境づくりをしている。その一環として、フレックスタイム制（コアタイム11：00～16：00）、週1回のリモートワーク（曜日自由）の導入を実施。ハイブリッド型で柔軟に働くことができ、朝7時頃に出社している社員もいるそうだ。

社内にカメラやセンサーを付けて実験できるスペースがあるのも特徴的だ。何かアイデアが浮かんだ際に自身で実験することができるという。大きなソファのあるリフレッシュスペースには、社員の要望や意見からドリンク（80円程度）やフリーのお菓子も常備。ほっと一息つけるくつろぎの空間となっている。

また、エンジニア組織には外国籍（中国、タイ、オーストリア等）の社員も在籍しているためグローバルな雰囲気も味わえる。経歴や言語、部署等の壁なくフレンドリーなコミュニケーションができる関係性が築かれており、相談等もしやすい雰囲気だ。

「会社と自分の両方の成長を考えられる人、自分の内面と向き合いながら、本気で成長したいと思って自分で努力し続けられる人に来てほしい」と福永氏は語る。様々なバックグラウンドや特定分野の専門知識を持つ社員が集まり、新しいものを世の中に創り出していく。その原動力は、社員一人ひとりの「本気で挑戦し続ける情熱」なのだろう。