株式会社スタイルブレッド

「日本を代表するブレッドカンパニーとなり、世界の食シーンを変えていく」――ここまでの大きなビジョンを掲げる、株式会社スタイルブレッド。現在、ホテルやレストラン等の企業・店舗向け、また自宅でパンを楽しむ一般消費者向けに、約60種類もの焼成冷凍パンを提供している（2025年5月現在）。

現在スタートアップとして躍進を遂げる同社だが、実は前身の歴史がかなり長い。大正時代に群馬県桐生市の和菓子店として創業。じきに饅頭や羊羹等を作る傍ら、当時珍しかったパンの製造も開始。1930年からは正式に製パン所として営業を始める。戦時中も洋食であるパンの提供を貫き、戦後復興期には学校給食パンも手掛けるように。

そして2006年。現在の代表取締役・田中知氏が4代目の舵を取り始めたタイミングで、同社は冷凍パンメーカー「スタイルブレッド」として生まれ変わった。

この経緯について、採用担当の中村氏はこう説明する。
「日本国内では既に、多くの大手パンメーカーが活躍しています。それでも当社は『日本を代表するブレッドカンパニーになりたい』という夢を諦めませんでした。そこで私達がパン市場の歴史を変えるにはどうすればいいかと考えた時に、『おいしく食べられる冷凍パンはなかなかない』という点に気付いたんです」

そして辿り着いたのが、プロの手で焼き上げてすぐに冷凍保存する“焼成冷凍パン”。パン本来のおいしさを365日にわたって手軽に味わえるこの商品なら、地域に根差す街の製パン所も、日本のパン市場の歴史を突き動かせるのではないか――。そう考えたのだ。

「とはいっても満足いく焼成冷凍パンを作り上げるまで、長い歳月がかかりました。代表の田中を筆頭に、粘り強い研究開発を続けてきた結果、現在の当社の品質があります」。

同社のパンには、群馬県桐生市で生まれた自家製の「桐生酵母」を使用。自家製酵母のこだわりはそのままに、全国へ拠点を展開し、約4,000ものホテルやレストランへ焼成冷凍パンを提供（2025年5月現在）。そこで同社のパンを味わった人々からの口コミが広がり、2018年には消費者向けにも販売を開始した。

加えて、中村氏はこう語った。
「想像してみてください。忙しい朝にパン屋さんへ行かずとも、貴重な昼休みに外へ出なくても、本格的なパンを召し上がれるんです。キッチンやオフィスのトースターから、パンのこんがりとした香りが広がってくるんです。そういった皆さんの幸せな時間をつくっているんだという誇りを持ち、私達は現在も独自の研究開発や販路拡大を続けています。」

ここからは、同社の焼成冷凍パンが、企業・店舗および消費者にどれだけの貢献を果たしているかを取り上げたい。

まずはtoB領域。ホテルやレストランといった店舗、機内食を提供する航空会社、保育園といった施設への提供では、多くの企業・店舗と直接取引する。契約からパンの選定、流通まで直接関与し、豊富なラインアップから各シーンに最適なパンを届ける。

「このような直接のアカウント営業でお客様の課題と向き合うことが、当社のアドバンテージになっています」（中村氏）。

ホテル等で独自にパンを作る必要がなくなることは、焼成冷凍パンを活用する共通のメリットだ。その上で、ビジネスにどんなベネフィットが生まれるのだろうか。クライアントから上がっている代表的な声は三つある。

まず一つはクオリティーの担保。焼成冷凍パンの導入によって、どのスタッフでも本格派のパンを準備できるように。営業中のどの時間でも、プロの味のパンをそのままの質とおいしさで利用客へ提供できるのだ。

また二つ目は、人材不足の改善や業務効率化だ。専門のパン職人を雇用する必要がなくなり、本来のパン調理の時間は他の時間に充てられる。人件費や残業時間が大幅に削減できたという声も多い。

そして三つ目は、フードロスの削減。365日冷凍保存できる焼成冷凍パンは、その日必要な分を、必要な数だけリベイクすればOK。そのため、廃棄する食材が格段に減る。社会的な問題の改善はもちろん、企業の利益拡大にも繋がる。

そして近年事業が拡大している、消費者向けのオンラインネットショップにも触れたい。

「忙しい朝にピッタリ」「食べたい分だけ食べられる」このような声が、同社には多く寄せられている。また保存料・合成着色料を極力使用しない製法から、「子供にも安心でおいしい」という評価も。

そしてやはり中村氏が最も強調したのは、幸福な食事の時間を提供している点だ。

忙しい仕事の合間のランチタイムも、温かいパンで気分を上げて。遅く帰ってきた夜の簡単に済ませたい夕食も、サラダに添えて贅沢に。そこまで頑張らなくても手に入る“ささやかな幸せ”を、同社は支えているのだ。

実際に公式サイト上の口コミにも、「毎朝幸せな気持ちにさせてくれる」「うちでのいつものごはんも、パンのおかげでランクアップした」といったコメントが。

こうして同社は、近年右肩上がりに成長。本格的に上場も視野に入れ、この成長を加速させていく。

「上場はあくまで手段でしかありません。私達の目標は、日本を代表するブレッドカンパニーになり、世界の食を変えること。その一心で今後も邁進してまいります」（中村氏）。

採用担当の中村氏は、こう振り返る。
「“誰と働くか”――。私が人事として、そして一人の人間として仕事をする上で譲れないポイントです。代表の田中をはじめとしたメンバーと話し、生き生きと仕事ができる未来をイメージできたのは、大きな決め手でしたね」

社長等の肩書は役割分担に過ぎない。そう考える中村氏にとって、田中氏は理想そのものと言える人物だった。

「自分を裸の王様にしてほしくない」田中氏はいつもそう話す。組織体制や事業についても、正直な考えを忌憚なく話すことを望んでいる。

「むしろ、メンバー一人ひとりが『自分が経営者だったらどうするか』といった思いを持って仕事に取り組んでもらいたいですね」と中村氏は話す。

中村氏も面接時に、田中氏にとって少々厳しい意見を提言。その言葉にしっかり耳を傾けた田中氏を見て、「こんな代表のいる企業であれば、一人ひとりが手を取り合いながら、達成した喜びも一緒に分かち合える組織をつくれそうだ」と確信したという。

誰もが経営者目線で、遠慮なく発言・挑戦できる。そんな組織の大きな礎となっているのは、同社のミッション・ビジョン・バリューだ。

＜ミッション＞
パンを通じて上質な時間を創り、パンを通じて⼼の贅沢を創る。

＜ビジョン＞
日本を代表するブレッドカンパニーとなり、世界の食シーンを変えていく

＜バリュー＞
■スタンスをとる
■スピードで驚かす
■理想から考える

特にバリューを業務で達成したと評価を受けたメンバーは、月1回の全体総会で表彰。また年1回決めるMVPの選出の対象にも。「信念を持ってやり遂げた人を称賛する文化」が根付いているのだ。

またキャリアアップでも、同社の文化を大事にすることが求められる。

「私達は、皆が『上司になってほしい』と思うようなメンバーにリーダーを任せます。チームの士気を高められる、恐怖ではなく納得を与える形で叱れる等、日頃の行いを見ているメンバーにも評価してもらいます」と中村氏。

もちろん経験や能力も評価の対象となるが、それよりも“人柄重視”の評価制度と言えるだろう。その結果、「とにかくメンバーの人柄が良い」と安心の声を口にする新入社員も多い。

実際に、“成果”と“信用”を作り上げたメンバーのキャリアアップは早い。とある営業メンバーは、入社2カ月でマネージャーへの昇格を果たした。

また最後にもう一つ。同社では、懸命なメンバーを支えるためのワークライフバランスも整っている。

「残業はかなり厳しく管理していますし、パパメンバーが産休のみならず育休を取得した実績もあるほど、“暮らしの幸せ”を大切にする文化は醸成されています。やりがいのある仕事も、実りある暮らしも叶え、『スタイルブレッドで働いて良かった』と本人にもご家族にも心から思ってもらいたいですから」と中村氏は胸を張って答えた。

消費者の日々の食を、パンで彩る。クライアント企業の成功を、パンで加速させる。同社のパンが創るその光景を、日本各地だけでなく、海外で見られる日も近いだろう。日本発のブレッドカンパニーとして世界へ羽ばたき、急激に成長する同社。このとびきり面白いフェーズに、思い切って飛び込んでほしい。