株式会社ルチェントス

株式会社ルチェントスは、フロント開発やAWS開発、GCP開発、デジタルマーケティングの実装に強みを持つ、2022年に設立された企業である。その起点には代表である⽮野善敏氏の大手デジタルサービス企業での経験と、組織の在り方に対する根本的な問いがあった。
矢野氏は十数年にわたりデジタルマーケティング支援の最前線でシステム開発、ツール導入から運用支援まで幅広いプロジェクトに携わってきた。その間、コンテンツ、広告、システム等、各部署が明確に分かれた大企業の中で、横断的にプロジェクトを動かすことの難しさを何度も感じてきたという。

「本来ならばクライアントの課題に応えるためには、システムも広告もツールも横断して提案すべき。でも組織が縦割りになっていると、それができません。結果として、クライアントのやりたいことと、提供されるソリューションの間にギャップが生まれてしまうんです」と矢野氏は言う。
この「縦割りの限界」を超えるには、外に出るしかない──そう確信した矢野氏は自ら起業の道を選ぶ。退社に当たっては、これまで築いてきた社内外の信頼関係を壊すことなく、円満に独立。取引先や元同僚達からも支援を受け、スムーズに外部パートナーとしての立場に移行した。

同社が目指すのは組織や領域の壁を超え、クライアントが本当に必要としている価値を届けること。データ活用やツール導入・運用等、デジタルマーケティングの現場が「やりたいこと」と「できること」の隙間を翻訳し、繋ぎ、補っていく。それが同社の役割だ。

矢野氏はこう語る。「代理店の目線ではなく、クライアントの“本当の意図”や“本来の目的”に立ち返って、要件や予算に合った支援を提供したい。だからこそ、私達は横断的に物事を見られる集団でありたいのです」
将来的には50～100人規模でもフラットな目線を保ち続けられる組織体制を目指している。
また、業界構造にも課題意識を持っており、SESや多重請負といった慣習に対しても、より健全で納得感のある協業の仕組みをつくりたいと考えている。
組織の論理ではなく、顧客の本質的な課題に向き合い、仲間と共に応えていく。
それが同社の原点であり、これからも貫いていく姿勢である。

同社は現在、デジタルマーケティング領域におけるシステム導入・開発支援を主軸に、企業のDXを推進する様々な業務を手掛けている。今後はツールの選定や導入に留まらず、業務設計から運用支援に至るまで、一連の流れを一気通貫でサポートできる体制構築を強化する。

支援先の業界は金融、製薬、航空等、多岐にわたる。特定の業種に依存せず、「クライアントがやりたいこと」に合わせて柔軟に対応する姿勢を貫いている。
例えば、ある大手航空会社の案件では、デジタルマーケティング体制の再構築にPMおよびテクニカルディレクター、テクニカルオペレーターの役割で携わり、「プラットフォームの高度化とそれに伴う施策強化」を実行。社内外の関係者と連携し、複雑な体制の中でも確実な成果を出しつつ、迅速に実行までを完遂した。

今後、特に注力していきたいと考えるのが上流工程である。オペレーションばかりでなく、PMやテクニカルディレクションとして要件整理、クライアントとの対話を通じた課題の可視化に重きを置いていく構えだ。
「クライアントが抱える課題と、現場の技術的制約。その間に立ち、両者を繋げる存在が必要です」と矢野氏は語る。

同社の特徴は、単一領域に特化しない「横断的な視点」と「クライアント軸で考える文化」にある。矢野氏の豊富な経験と業界構造に対する理解、複数の立場を理解した上でのバランス感覚が生かされている。「技術が優れている」だけでなく、「目の前の企業にとって最適な支援は何か」を考え、選ばれる存在でありたい──その思いが、事業全体を貫く。

安定した事業基盤を固めた先では、自社SaaSサービスの開発にも挑戦したいという。これまで支援してきた企業の課題に向き合う中で見えてきたニーズを基に、自社がプロダクトを生み出していくフェーズを目指す。

事業の幅広さは、働く側にとっても大きな魅力となる。デジタルマーケティング、システム開発、インフラ、データ分析──関わる業務は多岐にわたるため、自然と知見の幅が広がり、市場価値を高めることに繋がる。
「ただ手を動かすのではなく、“なぜその作業をするのか”を考えること。自分の領域に閉じず、周辺へ興味を広げること。そうした姿勢が仕事をもっと面白くし、自身の市場価値も高めてくれるはずです」と矢野氏は語る。

同社の社内文化を一言で表すなら、「支え合い、補い合うチーム力」。たとえ誰かがミスをしても責めるのではなく、「どうすれば良かったのか」を共に振り返り、改善へと繋げていく。失敗を許容し、リカバリーを仕組みで支える──そんなカルチャーが根付いている。
「危ないと思ったら、ちゃんとブレーキをかけられる関係でありたい。誰でもミスはあります。でも、それを責めるのではなく、ちゃんと状況を共有して、次にどう生かすかを考える。それが組織としての健全さだと思っています」と矢野氏は語る。
クライアントや代理店との関係性においても、同社は一貫して「一人よがりにならない」ことを大切にしている。タスクをこなすのではなく、「ルチェントスに頼んで良かった」と思われるような付加価値を追求する姿勢が、全員に共通している。

働き方のスタイルも非常に柔軟だ。基本的にはフルリモートでの勤務だが、オフィスを活用したいメンバーは出社も可能。通勤時間がもったいないと感じるなら、自宅で仕事に集中する選択も歓迎されている。情報共有のタイミングやチームで集まる必要がある時は、オンライン・対面を問わず適切に場を設け、意思疎通を大切にしている。
「自由度が高い分、責任もある。そのため、働きやすさも成長のチャンスも本当に大きいと思います」と、エンジニアの石鍋敦敬氏。

そして活躍している社員達には、“品質に過剰なほどこだわる”という共通点がある。自分達の仕事の先にいるエンドユーザーの体験まで想像し、常に+αの提案をする。外部パートナーに対しても“仲間”として接し、困っていれば声をかけ、孤立させない。そんな姿勢が、チームの信頼を支えている。

キャリア形成についても、画一的なルートはない。ディレクションやコンサルタント、エンジニア等、本人の志向や得意分野に合わせて複数のキャリアを描ける。マーケティングに強みを持つメンバーがシステム領域に挑戦したり、エンジニアが上流工程にステップアップしたりと、個々の成長に合わせて柔軟に役割を広げられる環境がある。
「知識だけでなく、実際に“触ってみる”体験が重要だと思っています。だからこそ、検証環境やマシン等、実験のための設備投資は惜しまない。新しい技術や領域にチャレンジしたい気持ちがある人には、どんどん挑戦してもらいたいですね」（矢野氏）。

同社が求める人物像は、技術力以上に「社会人としての基礎力」がある人。自ら考え、動き、チームでのやりとりを大切にできる──そんな人であれば、経験が浅くても成長できる土壌がある。
最後に、矢野氏はこう語る。
「マーケティング領域の仕事は幅が広く、情報量も多くて大変です。でもその分、知識も視野も広がる。システム、マーケ、プランニング──様々な領域にまたがって関わる中で、自分の得意なことや目指したい姿がきっと見えてくる。私達は、そんな挑戦の場をこれからもつくっていきたいと思っています」
自らの可能性を広げたいならば、ぜひとも一歩を踏み出してほしい。