株式会社ブッキングブック

株式会社ブッキングブックは、運送業向け配車管理システム『ブッキングブック』を開発・提供しているITベンチャーである。同社は、主に第2弾の新製品開発に関わるSEを求めている。

日本には6万2,848社の貨物自動車運送業者が存在しているが、そのうち従業員数が10人以下は49.4％、100人以下では96.5％と、大半が中小・零細企業が占めている（2024年3月末現在・国土交通省）。
運送会社では、荷主からオーダーを受けてトラックとドライバーを割り当てる配車業務が行われている。最重要の基幹業務と言えるが、多くの小規模の運送会社では、いまだに紙やホワイトボードで行われている現状がある。売上管理や請求業務としても、ドライバーの日報を基に後付的に輸送距離や重量などから算出するといったアナログな方法で行われているのだ。運送業向け請求処理システムにオプションで配車管理機能があっても、年配者が多くを占める配車担当者には使いづらいものであった。

『ブッキングブック』は、荷主からのオーダーを受け、荷主や荷物、配送場所を入力して案件を登録し、カレンダー形式のUIで配車ができるのが特長。カレンダー形式なので、全社の配車計画状況が一目で分かり、トラックやドライバーの空き時間も分かるので、荷主からの問い合わせに即座に対応できる。
また、未配車案件は当該エリアに表示されるので配車漏れを防ぐなどのセーフティー機能や、ユーザーの特性に応じたカスタマイズにも対応している。

そして、配車が完了すると自動的にドライバーのスマートフォンに必要な指示が表示されるとともに、売上管理・請求書出力まで自動連携されるのだ。
「従来は、日報から請求を起こしていたので、その手作業や突き合わせ確認などの手間が発生していました。『ブッキングブック』は、こうした手間を一掃し、一連の配車や請求業務を大幅に効率化しています。かつ、最もこだわって開発しているのは、ITリテラシーがない方でも簡単に使えるUI/UXです。これによって、あらゆる運送会社の業務効率化に貢献できます」と代表取締役社長の手塚嘉明氏は胸を張る。

こうした機能が評価され、配送に関わる超大手企業に採用され、1,000か所の配送拠点に導入されるという実績を誇っている。
物流の世界は、トラックドライバーの労働時間の上限が年間960時間に制限される「2024年問題」に揺れ、業務効率化が待ったなしの状況にある。今後、『ブッキングブック』へのニーズは高まる一方だろう。

同社の創業は2011年1月、設立は同年12月だ。創業者でもある手塚氏は、1914（大正3）年創業・1953（昭和28）年設立の手塚運輸株式会社の代表取締役社長でもある。
そんな老舗の運送会社を、2006年に37歳で3代目の社長に就任した手塚氏は刷新した。

「“荷物を運ぶ”ことを商品と位置付けるのではなく、“トラック＋α”を商品と位置付けることにしたのです。“トラック＋荷物”ならば従来の運送業務ですが、それだけでなく“トラック＋広告”で『アドトレーラー』を日本で初めてつくりました。それ以外に、キャラバントラックやショールームトラックなどを送り出しています」と手塚氏は話す。
2021年の東京オリンピックでは、聖火リレーのトラックも手掛けた。手塚運輸は自社で特殊車両を改造する資格や設備も保有しているのだ。

『ブッキングブック』は、この考え方において“トラック＋IT”という発想でスタートした事業である。100名未満の中小規模の手塚運輸においても、配車や売上管理、請求業務は前述のようなアナログな方法で行われ続けていたからだ。
「当社の配車担当もITリテラシーが低かったのでシステム化が進んでいませんでした。なんとか改善できないものかと考えていた2010年の頃、Googleカレンダーがドラッグ＆ドロップで直感的に予定を動かせることがヒントになって、『ブッキングブック』を思いついたのです」と手塚氏は経緯を説明する。

そして、2011年1月にブッキングブックを創業し、ゲーム開発に強みを持つIT企業と組む。この座組が、同年2月に経済産業省主催の「新事業連携」に認定され、開発費をまかなう補助金を得ることができた。また、同年5月には手塚運輸が本社を構える埼玉県川口市から「経営革新賞」も受賞する。
「当初は手塚運輸の新規事業としてスタートさせましたが、運送会社としてより、“運送会社を深く理解しているIT企業”として提供したほうが得策と考え、同年12月に株式会社ブッキングブックとして設立しました」（手塚氏）。

そんな同社のミッションについて、手塚氏は次のように言う。
「たとえITリテラシーがなくても簡単に使えるツールを提供することで、“誰一人取り残さないDX”を支援する会社でありたいと考えています」
そんな同社は、目下、第2弾の独自プロダクトとして、社用車の管理システム開発に取り組み始めている。『ブッキングブック』の、トラックと人を管理する機能を応用し、一般事業会社の車両管理に繋げていくものだ。この「Green」では、主に当該製品を手掛けるSEを求めている。自社プロダクト開発を手掛けたいエンジニアには見逃せないだろう。

同社の構成メンバーは手塚氏以下4名の役員で、社員はまだ在籍していない。この「Green」が初の募集となる。
「したがって、会社の組織風土はすべてこれからつくり上げていくことになります。今回、採用する方をコアメンバーとして、ご意見を存分に出してもらいながら一緒につくっていきたいと思っています」と手塚氏は意気込みを語る。

その方針としては、“柔軟性”を最重視すること。例えば、働き方においては、本人の希望に応じて週休3～4日制を導入する。働く“時間”ではなく、働いた“成果”によって評価・処遇する方針が前提にある（就労時間は、社会保険の要件を満たす最低時間以上であることが前提）。働く場所も問わず、フルリモートワークも可能だ。また、事前申請の上、副業もできる。

人材育成においては、即戦力の経験者採用として特に制度化はされていないが、自己啓発を奨励し、資格取得やセミナー受講などのスキルアップに関わる費用は会社が負担する。
また、福利厚生制度もこれから規模拡大していくとともに整備していくが、「社員の意見を大幅に取り入れながら制度設計していく」と手塚氏は話す。

プロダクト開発体制としては、新たに入社するエンジニアがPMやテックリードとなり、適宜外部ベンダーをディレクションしながら行っていく体制となる。
「どんな技術や言語を使うか、どんな考え方や方法で開発していくかは、ご相談いただいた上で全面的にお任せします」と手塚氏。エンジニアがやりたいようにできる技術的環境がつくれるという自由度の高さは、大きな魅力だろう。

但し、求める人材像として、手塚氏は次のように言う。
「目の前で困っているお客様に対し、どんなソリューションを提供すればよいかといった顧客目線で考えられる方であることを望んでいます」

IT化が進んでいない中小・零細企業の業務効率化を底上げし、生産性向上に資する同社。大きなやりがいがあるに違いないだろう。