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特殊法人社会福祉法人 元気村

  • サービス系

ITの視点で、介護業界に改革を!内部のシステムチームが、あらゆる業務にDXを仕掛けて成功

企業について

埼玉県を本拠地として、全国5県で介護福祉施設等を運営する、社会福祉法人元気村。1993年に設立され、同法人が率いる元気村グループとしては、全国11都県に展開している。

長年、IT化に後れを取っているといわれる介護業界。しかし同法人、実はIT視点での業務・サービス改革に前のめりで取り組んできた組織なのだ。

まずは同法人の歴史を振り返りたい。

設立者は、現会長である神成裕(ゆたか)氏。元々は秋田県から埼玉県へ移住し、臨床検査の企業を立ち上げ、事業は順調に成長していった。にもかかわらず、なぜ別の社会福祉法人を立ち上げたのだろうか。

裕氏は臨床検査事業で医療現場に触れ、その中で高齢者やその家族、そして関わる医療従事者と関わり、健康における悩みや将来への不安を沢山耳にしたという。

「見知らぬ土地で臨床検査の事業が順調に成長したのは、関わる皆さんがあってこそ。今こそ“恩返し”すべき時だ」――そう考え、地域社会のためにできることを模索。そして老後の暮らしや健康を支える介護事業をスタート。1993年、社会福祉法人として新たなスタートを切ったのだ。

そんな裕氏が同法人の創業当初から大切にしているキーワードは、「共に生きる」。こちらは元気村グループの基本理念にもなっている。

利用者はもちろん、その家族、そして同じ職場で働くスタッフも、「共に生きる」仲間。関わる全ての人々を家族と捉えれば、真心を込めて接することができる――。そのような、心から人々と向き合う姿勢がスタッフに浸透し、見事に2023年に法人設立30周年を迎えた。

そのような“人との繋がり”は、地域社会はもちろん、海を越えた場所でも実現している。人材不足が特に深刻視されている介護業界の中で、創業当時から海外の介護人材の育成にも力を注いできた。タイや中国、台湾をはじめとしたアジア圏の教育機関とパートナーシップを結び、介護初任者研修の教育や、介護リーダー育成を積極的にサポートしている。

そして同法人は、業界のもう一つの課題、“IT化”にも向き合い始める。

実は同法人、介護業務システムをシステム開発企業と共同開発している。意見やニーズを開発企業へ伝えながら作り上げたシステムを、同法人施設の現場でテスト導入し、ブラッシュアップ。このようなプロジェクトは企業側から「協力してほしい」とオファーを受けることも多い。

それほどまでに同法人は、業界の中でもIT化に前向きなのだ。

そのような珍しい組織になったのは、2代目の理事長となった裕氏の息子・神成裕介氏の存在も大きい。裕介氏は介護業界のIT化の遅れを問題視し、グループを挙げて業務のIT化に取り組もうと舵を切ったのだ。

IT化への意識が高い裕介氏の下で、施設内のDXのパイオニアとなったのが、グループ運営支援本部のチーフマネージャーを務める帯津登志彦氏だ。

現在、帯津氏はグループ運営支援本部にいるが、元々は、同法人が手掛ける介護福祉施設の介護スタッフだった。介護業務を行う現場側の立場として、業務効率化の必要性を強く感じていたという。

「初めて業務にデジタルを取り入れたのは、2000年代中頃、私が介護の現場にいた時です。初めは、業務管理や利用者の健康チェックにおける記録を、手書きからシステム入力に変えたことでしょうか」(帯津氏)。

業界内ではよくあることだが、当時は同じ情報を記録するにも、複数の記録表に2回、3回と記録しなければならなかった。そして、関係者全員がそれを読むにもタイムラグが発生する。多くの利用者と向き合い、慌ただしく動く介護現場。何度も記録する手間や情報共有の遅れが、さらなる業務過多に繋がってしまっていた。

その点で、帯津氏の手掛けるシステム入力は当時は大きな改革だった。今では広く普及しているが、一度入力すれば関連ツール全てに情報が転記され、やがてそれはスマートフォンやタブレットを使えば、誰でもどこにいても記録を見ることができるように進化していった。

このような取り組みの結果は効率化だけでなく、サービス面の向上でも着々と芽を出している。

例えば利用者の見守りシステムには、脈拍等の身体データ記録を基に、利用者様それぞれに対してセンシング機能が搭載されている。こちらを活用すれば、転倒リスクが高い利用者様の危ない動きを察知して、転倒を防ぐことができるのだ。

「介護は、人と向き合うサービス業とも言えます。どれだけ忙しくても、利用者様とのコミュニケーションは効率化したくないですよね。だからこそ、記録や管理といった業務をDXで“圧縮”するんです。こうすることで、各スタッフと利用者様が向き合う時間は増えたように感じています」(帯津氏)。

そして近年、同法人は外部企業から提供されたものだけでなく、“独自のシステム開発”もスタートさせている。

元々一人の介護スタッフだった帯津氏は、DX化についてこう語る。
「試験導入や本格導入したシステムも、妄信して同じものを使い続けることはしません。現場の状況やニーズに合わせ、今後もシビアな目線を持ってアップデートしていく予定です。その中で、当法人にもエンジニアを招き入れ、本格的な独自開発を始めたんです」

その上、同法人のDXは、介護現場だけでなく、運営支援本部でもしっかりと活用されている。

「例えば経営データの統計システムは、法人内のエンジニアが開発しました。営業目標に対してKPIを可視化できるシステムです。会計財務システムと連携させ、RPAを使って現在の営業状況を自動で算出しています。手入力ではないため転記ミス防止にも繋がりますし、何より分析の時間が大幅に削減しました」(帯津氏)。

現在は現場からも支援本部からも、「こういったシステムが欲しい」といったニーズが次々と生まれている。これからも組織の業務に大改革が起きそうだ。

「“チャレンジを続ける”――これが、当法人の行動指針の一つです」と帯津氏は話す。特に業界を一歩リードするような同法人のIT化では、現状に負けないアクティブな行動が大切なのだ。

例えば先に紹介したように、同法人のIT化のスタートとなったのは、介護現場の記録のシステム入力化。しかしこのプロジェクトは、簡単に普及したわけではない。

ポンと一回だけ入力すれば、関係者にリアルタイムで共有できる。このシステム入力は確かに便利だ。しかし、忙しいからこそ、使い慣れた手書きを続けたい――。「システム入力へ切り替えよう」と各施設へ提案した時は、抵抗感を訴えるスタッフも多かったという。

そこで現場経験者である帯津氏は、粘り強くその必要性や便利さ、操作のコツ等を伝授していった。その努力の結果、現在システム入力は現場で“当たり前”の存在になっている。

「現場の事情と運営支援側で、同じ方向を向くように間に立つのが、私達の仕事です。でもやはり、時には、板挟みになることもあります。現場で業務を進めるスタッフの思いに寄り添いながらコミュニケーションを取っていくことが大切なんですよね」(帯津氏)。

しかし、だからこそ喜びも大きい。介護現場の大改革となる分、「おかげでスタッフの負担が減りました!」と、スタッフに感謝されることも多いという。

技術力を強みとするエンジニアも、基本理念である「共に生きる」への姿勢は変わらない。人と向き合い、手を取り合っていく。その姿勢が、同法人に求められることだ。

また“チャレンジを続ける”という意味で、同法人は最先端テクノロジーを活用していく姿勢は強い。先述した経営データの統計システムはRPAを活用。今後も生成AI等を積極的に導入していく。理事長の裕介氏をはじめ、ITへの高い意識を持つ組織のリーダーの存在は、こういったチャレンジを後押ししてくれそうだ。

その中で、組織のフォロー体制にも着目したい。社内SEは運営支援本部の配属となり、部内のメンバーがメンターとなって、入職後を支える。また必ず年2回は面談し、業務状況の見直しや評価が行われる。チームによっては毎月面談しているところも。少数精鋭ならではの、綿密なチームワークがあるのだ。

そして運営支援本部ではリモートワークも普及。また積極的なDXが功を奏し、業務効率化も実現できている。残業はほとんどなく、オンタイムに集中して実力を発揮できる環境が整っている。

自身の技術力やアイデアを生かし、介護業界に大きな変化をもたらす。そして、関わる人を強く支える――。エンジニア冥利に尽きるような活躍が期待できそうだ。

募集している求人

エンジニア・技術職(システム/ネットワーク)の求人(1件)

企業情報

会社名

特殊法人社会福祉法人 元気村

業界

サービス系 > 医療・福祉・介護サービス

サービス系 > 人材サービス(紹介/派遣/教育/研修)

代表者氏名

神成 裕介

事業内容

特別養護老人ホーム 17施設 (1,653床)
老人保健施設 5施設 (509床)
養護老人ホーム 1施設 (123床)
ケアハウス 4施設 (129床)
軽費老人ホーム 1施設 (12床)
グループホーム 8施設 (153床)
ショートステイ(福祉型・療養型・単独型) 24施設 (273床)
サービス付き高齢者向け住宅 3施設 (129床)
有料老人ホーム 5施設 (150床)
デイサービス 23施設 (630名)
デイケア 5施設 (192名)
看護小規模多機能型居宅介護 4施設
小規模多機能型居宅介護 1施設
老人福祉センター 2施設 (指定管理)
就労移行支援 1施設
就労移行支援B型 1施設
事業所内保育所 2施設
居宅介護支援事業 16拠点

ベッド数合計 3,173床
通所定員合計 899名
令和5年4月現在

株式公開(証券取引所)

従業員数

2946人

本社住所

埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-11-9 ニッセイ大宮桜木町ビル8階

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