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ゲキダンイイノ合同会社

  • IT/Web・通信・インターネット系
  • 製造・メーカー系

時速5kmの自動走行モビリティ”iino"でまちの魅力を引き立てる。関西電力100%出資のスタートアップ。

自社サービス製品あり
カジュアル面談歓迎

企業について

ゲキダンイイノ合同会社は、大阪府茨木市の関西電力研修センター内にラボを構え、従来にはない移動体験を生み出す自動走行モビリティ『iino(イイノ)』の事業開発を行うスタートアップ企業だ。関西電力のイノベーションラボのプロジェクトが事業化し、2020年2月、同グループの100%出資で設立された。

『iino』は時速5km以内の速度で自動走行する3~8人が乗れるモビリティだ。自動車やバイク、自転車のようなパーソナルな乗り物とも、バスや電車といった公共交通とも異なる。利用するための免許や資格、特別な訓練は不要。運賃や会員登録も不要。時刻表もなければ、停留所や乗降駅もなく、スマホアプリで予約する必要もない。現代人に馴染みのあるもので近しい存在があるとすれば「動く歩道」だ。ただし、自由に乗り降りができる点や時間帯や用途に応じて走るルートや台数を変更できる点は異なる。さらに、位置情報と連動させ様々なコンテンツをモビリティから提供する点では単なる移動手段ではなくメディアという価値も大きな特徴。

『iino』の活用が想定されているのは、歩き疲れにより回遊性や賑わいが損なわれがちな街中の歩道や歩行者デッキ、観光地、テーマパーク、空港施設、大型商業施設、リゾート施設などである。そういった走行エリアを歩いている際に『iino』と遭遇した時にスペースが空いてさえいれば自由に乗って、好きな所で降りられる。乗車中はコーヒーを飲んだり、本を読んだり、鼻歌を歌ったり、考えごとをしたり、おしゃべりをしたり、公園のベンチで過ごすようなひとときを送れる。人間が横を歩く、あるいは手すりの決められた箇所を触ることで速度を落とすため、高齢者でもストレスなく乗降可能だ。

既に神戸市の三ノ宮や東京の品川、丸の内、羽田空港等で実証実験が行われ、そのうちの何カ所かでは2024年度内の社会実装に向けた準備が進む。国内だけではなく、ジャカルタ等、海外での導入に向けても計画が進行中だ。

『iino』は他の乗り物と同様、人間の移動を助ける道具である。ただし、目的地に少しでも早く到着したいというニーズを満たすだけなら『iino』を選択するメリットは少ない。数々の自治体やデベロッパー等から引き合いが絶えないのは、移動のみに焦点を当てた利便性や効率とは異質なメリットがあるからだ。

時速5km以下という歩行とほぼ同じ速度での移動は、人に周囲へ意識を向けるゆとりを与える。それによって人は自動車や自転車、あるいは公共交通機関を使った移動では見過しがちな街の景色や魅力にも気付くようになる。これまで注目されてこなかったスポットに意識を向ける通行人が増えれば、行動を変える人々も増え、街や施設内の人の流れが変わる。また自動走行で移動の負担が軽減するため行動範囲が広がる。エリア全体、施設全体の回遊性や賑わいを創出する効果が見込まれるのだ。

回遊性や賑わいの創出は、旧市街地や新規開発エリア等のまちづくり施策では必ずと言って良いほど議論されるテーマだ。昨今はウォーカブルシティをコンセプトにしたまちづくりの事例も増えつつある。持続可能な都市が志向される現代において、街と共存し歩行者の移動を支援するモビリティ『iino』が求められることは必然だ。

現在、『iino』のラインアップは3人乗り、8人乗りの2タイプだ。現在、社会実装に向けて運用面の課題をひとつずつ解消しつつ、さまざまな機能を搭載し、道路交通法の基準をクリアするための調整などを行なっている。外観のデザインは建築をバックボーンとするデザイナーによるもので、街の風景に馴染むようボディの素材には木材が使用している。

同社は、こういったモビリティ製品を開発し、運営を行うサービサーであって、完成品メーカーではない。その移動体験をデザインする力が評価され、単に出発地点と到着地点を結ぶだけではなく、面としての賑わいを生み出すことが同社に課せられる課題だ。その課題を解決するため、モビリティエンジニア達と建築やまちづくりの造詣が深いクリエイターとでチームを組んでプロジェクトを運営している。

大型の都市開発案件となると、まちづくりの上流工程から入り込んで行政やデベロッパーと入念なコミュニケーションを取る。そして通勤時間、観光客が増える時間等、時間帯によってルートや運行台数、速度を変えたり、運行動線沿いにベンチ等の滞留空間を設置したり、音声コンテンツを使ったエリア情報を発信したり、導入先の課題や目的に応じたサービスを設計し、計画の遂行まで請け負う。実装後の運用も同社が受託する予定だ。

座長・嶋田悠介氏が語る。
「私達が大切にしていることは、豊かな移動体験を作ることです。例えばある鉄道会社と行った実証実験では、ドリンクメーカーの新商品発売に合わせたイベントを開催する際に、駅とイベント会場をむすぶ移動手段として『iino』を導入しました。その際は、新商品の特徴や、そのエリアの歴史や特徴等を考慮したコンテンツも合わせて提案しました。“行きたい”、“参加したい”、“欲しい”と思えるような情報をモビリティから音声コンテンツなどで発信するとともに、運行する場所の魅力を引き出すことが私達のミッションです」

様々な専門技能を持ったスタッフが集まり、それぞれが知恵を持ち寄って、移動体験のストーリーを作り、モビリティのデザインや音声コンテンツ、ロケーションの空間デザインや街中のサイン等で演出を施して盛り上げる。また、行政やデベロッパーの要請に応じ、トラックにモビリティや音響機器、照明機器を詰め込んで全国津々浦々を巡り実証実験を繰り返す姿は、全国を巡業して回るエンターテインメント集団に重なる。それが社名に“ゲキダン”と付けた理由だ。

現在の最優先課題は、会社設立以来実証実験を行ってきた複数の場所への実装をスケジュール通りに果たすことだ。実装はいよいよ2025年3月に迫る。

「実装後は年間を通して運用し、様々なイベント等とも連携して、実際に使っていただきながらデータを取り、他の地点に横展開する計画です。2030年には国内数十地点で『iino』が走行し、街歩きをより豊かな体験にするプロダクトとして広く認知される状態を目指します」(嶋田氏)。

現在もリソースが追い付かないほどの新規案件が舞い込んでいるが、進行中のプロジェクトは大手デベロッパーの中でも重要なフラッグシップ案件であるため、失敗は許されない。社内の開発リソースを拡大し、着実に導入を成功させるとともに、認知拡大と普及に向けた能動的な営業活動ができる体制を整える計画である。

『iino』は、嶋田氏の原体験を基に誕生したモビリティだ。子供の頃に見たゴミ収集車による作業風景。動いている収集車の後部で立ち乗りする清掃作業員が、ごみの回収ポイントが来たらピョンと飛び降りて回収し、作業が終わるとまた飛び乗って次のポイントまで移動する。自由に車を乗り降りしながら移動する姿に発想を得た。

嶋田氏は大学卒業と同時に関西電力に入社し、経営企画室に配属。経営計画や事業部の目標策定等に従事していたが、入社8年目頃に社内で新規事業創出の機運が生まれたのをきっかけにイノベーション組織の立ち上げに参画。そこで様々な取り組みをしたものの、社内に留まっていては電力販売の延長上にある発想しか生まれないというジレンマを抱えた。既成のものにとらわれず、原体験や直感に基づいた事業を創造したいという思いから活動の場を社外に広げ、建築家やデザイナー等、様々な立場の人々と一緒に実験を繰り返し、辿り着いたのが現在の『iino』だ。

「身体一つでどこまでも行けるような感覚になる乗り物が街の中で走っていたら面白い。そこからスタートしたものの、どんなデザインで、どんな速度で動かせば良いか、全くイメージがつきませんでした。そこで市場を走るターレットトラックを借りてきて、改造して走らせる等の実験を繰り返して、5km以内が安心して乗り降りできる速度であるほか、通り過ぎる景色から情報を得るのに最適な速度であることを発見しました。普段の速い移動体では、利便性を得る代わりに、様々な機会を損失していることに気が付き、より豊かな移動体験の創出というコンセプトに至りました」(嶋田氏)。

実際、“時速5kmのモビリティが生み出す価値”をテーマにプレゼンテーションやピッチを行うと参加者からの受けも良く、メディアに取り上げられ始めた。自動走行ではないが、大阪城公園で“動く茶室”を走行させる等、“都市と観光”をテーマに行ったテストマーケティングの活動も注目を浴び、インバウンド関連の団体から出資を受ける等、事業性を見出したことで、関西電力グループ内で正式に事業化することが決まったのである。

以降、創業前から嶋田氏と一緒に様々な実験を繰り返してきたクリエイターらに加え、関西電力出身のプロジェクトマネージャーや自動車メーカー出身のエンジニア等が事業に参画し、プロダクトやサービスを磨いてきた。現在は社員だけではなく、業務委託や学生アルバイト等、立場も年代もバラバラな約30名が集う。全員に共通するのは、既成の価値観や都市の在り方を変えるようなプロダクトを、ゼロから創り出すというロマンに対する共感だ。

“ゼロ”のフェーズが過ぎ、今後は確実に“イチ”を成し、事業発展の基礎を作る段階へと舞台を移す。人数が増えれば、これまで以上に組織で動く体制づくりも求められる。そのためには社内ルールをはじめ、様々な社内制度も確立していかなければならない。過去にない事業を創造する過程ならば、待ち受ける苦難も想像を超えたものとなるだろう。

とはいえ、まだまだ自由に戦えるフェーズ。しかも関西電力グループという安定した経営基盤は、あらゆる苦難を乗り越える上でアドバンテージとなるはずだ。過去に前例のない事業創造にチャレンジする意欲を持つエンジニアやクリエイターなら、同社への参画を迷う理由はない。ゲキダンイイノは、志を共有する新しい仲間が乗り込んで来るのを、席を空けて待っている。

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インタビュー

ゲキダンイイノ合同会社のインタビュー写真
座長(代表)の嶋田 悠介氏

── 時速5kmの速度設定はどのように決まったのですか。

まず時速5kmと言われて、どれぐらいの速度か分かりますか。人間が普通に歩くと時速約3km、「動く歩道」が時速2kmです。「動く歩道」の上を人が歩くと5kmぐらいの速さになります。早歩きと同じぐらいの速度です。ただ、『iino』の運行で時速5kmを使うことは稀です。歩行者と共存しながら走ることが多いので、センサーを使って周囲の歩行者の歩く速度や距離に応じ、5km以下の範囲で緻密な調整をして運行しています。

時速5km以下の速度は、様々な実験を通して決めました。『iino』はゴミ収集車をヒントに開発したモビリティです。好きな所で自由に乗り降りするような... 続きを読む

企業情報

会社名

ゲキダンイイノ合同会社

業界

IT/Web・通信・インターネット系 > IoT・M2M・ロボット

製造・メーカー系 > その他メーカー系

企業の特徴
カジュアル面談歓迎、自社サービス製品あり
資本金

4億円

設立年月

2020年02月

代表者氏名

嶋田 悠介

事業内容

時速5キロの低速モビリティ”iino"の開発および運営サービス

株式公開(証券取引所)

従業員数

5人

本社住所

大阪府大阪市北区中之島3-6-16

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採用担当 島田 知佳
弊社の大阪府茨木市のラボではモビリティを活用しながらさまざまな実験を行っています。まちにあるカフェやバーの機能とモビリティを掛け合わせたり。是非見学にお越しください。
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