株式会社出版デジタル機構

株式会社出版デジタル機構は、電子書籍（コンテンツ）の取次事業を行うパブリッシャーズサービスカンパニーだ。出版社（Pubrisher）と読者をつなぐ架け橋（Bridge）を意味する造語「Pubridge」という名称でサービスを行っている。

具体的には、出版社からお預かりした電子書籍データを様々な電子書店に取り次ぎ、さらにコンテンツのプロモーションやマーケティングデータの提供なども行うことで、販売をトータルでサポート。また、諸契約から売上集計、代金の分配といった、電子書籍に関わる煩雑な手続きの代行まで行っている。

出版社には電子化販売の企画・提案を通じ、電子化するコンテンツを預かる。電子書店に対しては、販促のための企画提案を通じ、電子書店の活性化を実現。このように、出版ビジネスの変革を担い、新しい時代の出版文化をつくっていくのが同社の目指すところだ。

同社は「日本における電子書籍市場の拡大」を目的に設立された。その先にある究極的な目標は、全ての出版物をデジタル化し、読者や図書館に配信することにある。

同社設立にあたっては、産業革新機構や出版社等16社の出資が元となっており、業界内での熱い信頼が基盤となっているのが特徴だ。また、公的インフラの整備を目的に事業活動を行うことが使命の一つとなっていることから、ベンチャーでありながら、出版業界の公的なポジションを担うなど、独自のスタンスで事業展開している。

同社が扱う電子書籍は幅広く、文芸書、専門書、実用書からコミック、ライトノベル、写真集、さらには雑誌と多岐にわたる。また、取引出版社は1000社以上、電子書店は90社以上、取次書店サイト数は700を超えている。配信する電子書籍は30万点以上。ひとことで言ってしまえば、国内のほとんどの出版社や電子書店との取引があるというわけだ。

国内電子書店のBookLive！、BOOK☆WALKER、紀伊國屋Kinoppyはもとより、外資系電子書店としておなじみの、Amazon、Apple、Google、楽天Koboなど全てカバーしている。このように、電子書籍市場における取次事業者の中では、最大の取次流通量を誇っている。

電子出版市場は、2019年には現在の2.3倍に成長すると見込まれている。国内におけるニーズはもちろんだが、音声や映像なども含めた様々なコンテンツを対象に、海外における最新ITサービスの導入計画も進んでいる。まさに可能性を秘めた市場に対して、先頭に立って切り拓いていく人材が求められるフィールドと言って良い。

今後は、収入源となっている取次事業の拡大を目指しながら、出版社や電子書店に対するコンサルティングなど付加価値の提供や、アーカイブ化と共に適切な提供情報を活用した新規事業も検討中だ。

同社での仕事は、出版界において新たなビジネスモデルを作っていくこととも言える。よって、出版そのものに興味があり、業界の発展を目指し新しい道を切り拓くことにやりがいを見いだすようなメンバーが活躍しているという。

平均年齢は約32歳。男女比は3:7で、社員の定着率が高い点が一つの強みだ。それは、一人ひとりの意見を尊重する職場環境であることや、業界変革に積極的に取り組み社風にやりがいを感じている社員が多いからだ。

出版業界全般を見渡せば、厳しい環境下にある点は変わっていない。しかし、知的活動の源泉という意味では、本がなくなることは考えられず、いつの時代も文化が生まれる背景には智慧の結集である書物の存在が欠かせなかった。

その意味で同社の取り組みは、IT化によって従来の価値観の可能性を広げ、新しい本との出合い方を次の時代に提案していくこととも言える。

550年続いたと言われる印刷・出版文化の大転換期において、ダイナミックな仕事にチャレンジしたい人は、同社の取り組みにかけてみてはどうだろうか。