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アルスコーポレーション株式会社

  • 製造・メーカー系

“プロの切れ味”で世界80カ国に根強いファンを獲得する総合刃物メーカー

自社サービス製品あり
シェアトップクラス
グローバルに活動
残業少なめ

企業について

アルスコーポレーション株式会社は、大阪府堺市に本社および自社工場を構える刃物メーカーである。1876年(明治9年)の創業以来、約150年間、時代の変化に合わせて業容を変えながら持続的な発展を遂げてきた老舗企業だ。

現在(2024年5月)、同社が製造・販売するのは、農業や造園、林業等で使われる刃物製品である。「鋏」と「鋸」の二つのカテゴリーで、農業、造園、園芸、林業をはじめ、工具、文具、クラフト、料理等、幅広い分野に対応する商品を展開している。

『アルスブランド』は、各分野においてプロの切れ味を追求したブランドとして広く知られる。古くは農協やプロショップ(建築資材や工具等を扱う職人向けの専門店)等、業務用の流通チャネルで販売していたが、現在は全国のホームセンターには必ずと言ってよいほど配荷されており、ガーデニングやDIYを趣味とする一般生活者にも根強いファンが増えている。一般消費者向けの製品よりも高価ではあるが、その分、切れ味の良さや耐久性に優れているため、アマチュアの中でもヘビーユーザー層からは圧倒的な支持を得ている。

『アルスブランド』の愛用者は国内に留まらない。世界80カ国の販売代理店と契約。海外の国々は日本とは異なり、業務用と一般市場用の販路が明確に分かれるため、完全にプロ向けに供給しているが、現在では売上の半分以上を海外への輸出が占める。例えば中国、韓国、台湾等の東アジアでは農業系剪定関連道具の市場でシェアNo.1の座を獲得。特に中国では農業資材を扱う専門店のほとんどが『アルスブランド』を扱っている。

また伝統的に「押し鋸」が一般的だった欧米諸国では、同社製の鋸が広まったことで現在では「挽き鋸」が主流となっており、“アルススタイルの鋸”が「挽き鋸」の総称として定着している国もある。さらに世界の主要なワイン産地では、同社製の高枝鋏や摘果鋏が活躍中だ。オーストラリア最大の葡萄産地バロッサバレーでは圧倒的なシェアを誇る。

さらに、同社の“切る”技術は、次々と新素材が生まれる産業界からも求められている。薬のカプセルを切る刃物、お菓子を切る刃物等、多種多様なニーズに応える。

これらの背景にあるのは、同社の“切れ味”に対する徹底したこだわりである。“職人の技術の再現”を目指し、独自の厳しい規格に沿ってオリジナル鋼材を開発するとともに、製造法の研究から製造機械の開発・組み立てまで一気通貫で行う。そして、切れ味を評価する試験機や検査機も、一般市場には存在しないため独自開発し、テスト、検査を繰り返す。職人の技術を数値化・機械化した上で、厳しい品質基準に沿ったテストや検査を行うことで、職人の技術に負けない品質を維持しながら量産することに成功しているのである。

また、刃物メーカーとしては後発に当たる同社が世界中の愛用者を獲得してきた最大の理由は、業界の常識にとらわれない製品開発を続けてきたことにある。1952年に刃物メーカーとしての歩みをスタートした時から、技術革新と創意工夫を積み重ね、数々の業界初を生み出し、スタンダードに押し上げてきた。現在、“サカイのアルスとセカイのアルス”を標榜できるのは、そういった取り組みを積み重ねてきた結果だ。

同社は堺市周辺で盛んに行われていた煙草包丁の製造からスタートした会社だが、1913年以降は事業を転換し、鍛造製品のメーカーとして発展。戦後の復興期は鉄製の裁縫こて(火熨斗)の製造を行っていたが、電気式のアイロンが登場しニーズが激減。それに代わる事業として挑戦したのが剪定鋏の製造だった。

刃物作りの技術もノウハウも持たない同社が、既に世の中に広く存在し、市場も出来上がっていた剪定鋏の製造をスタートするために取り組んだのが、鍛冶屋として磨いた金属加工技術を生かした製造方法の確立だ。

1952年当時、堺の伝統産業である包丁と同様、剪定鋏も伝統的に熟練した技術を持つ職人が1本ずつ手作りしていた。そのため切れ味の良い刃物が作れても、量産はできない。それに対して同社は機械生産を採用。従来品のようなオール鉄製ではなく、本体の刃の部分とグリップを別製し、後に組み立てて製品に仕上げる。本体部分は機械を使った研磨技術で切れ味を出し、グリップは樹脂製にすることで、軽量で使いやすくデザイン性の高い剪定鋏の開発に成功したのである。また機械生産による量産化は、コストダウンと同時に品質の安定・向上にも繋がった。

このような作り方を採用したのは同社が初めてだ。当然ながら生産機械は存在しないため、自社で開発・製造を行った。自社内で製造方法を考案し、その製造方法に合わせて設備を開発するスタイルは、この頃に確立されたものだ。

次にチャレンジしたのが剪定鋸だ。後発でなおかつ、技術がないところからのスタートは剪定鋏と同様である。鋸の刃は1本ずつ交互に左右を向いたギザギザが付いている。このギザギザを付ける作業を「アサリ分け」と言い、ヤスリで目立てを行う。この「アサリ分け」をすることで、木材と刃の間に隙間を作り、スムーズに挽くことが可能となる。熟練工の技術がなければできない加工だが、手作業のため角度にバラツキが生じ、木材の切断面に傷が付く。同社には「アサリ分け」を行う技術がなかったため、機械での研磨によって自然とアサリが付く製法(「研磨アサリ」)を考案(1958年)。ヤスリで目立てをするよりも繊細な切れ味の刃を作ることに成功したのである。

1950年代、手作りから機械生産への移行、刃とグリップの別製、アサリ分けのない鋸と立て続けにイノベーションを起こした後も、果樹採収用の高枝鋏(1978年)、替刃式剪定鋏(1986年)等、今では業界スタンダードとなった製品を先駆けて開発・販売。同時に、機能性や操作性を含めたデザイン面に配慮するとともに、パッケージや店頭POPに至るまでブランドイメージを統一することで『アルスブランド』を確立してきた。特許実用新案取得は16件、意匠登録は20件、さらにグッドデザイン賞22回、中小企業庁長官特別賞2回といった実績も光る。

以上のような事業展開を行いながら、毎年4%から5%という堅実な成長を遂げてきた同社。今後に向けて取り組むのは、バッテリーやモーターの搭載による動力化と、競合ブランドがひしめくヨーロッパ諸国でのプレゼンス向上である。また、『刃物の病院 グリーンパパ』のサービス浸透にも注力中だ。

代表取締役・瀧川重隆氏が語る。
「当社は長くお使いいただけるよう、お客様の要望を伺いながら、パーツのみの供給や修理対応を行ってきました。『アルスブランド』の愛用者には、少々高くても修理してほしいという方が少なくありません。そういったご要望に応えることも、国内の自社工場で生産している当社だからこそ提供できるメリットです」

これは同社の経営理念の一節にある言葉で、創業時から代々受け継がれてきたものだ。社是にも“私たちは、優しくより親切に、仕えることを仕事としています”とあり、“優しさ”は、同社の製品作りやサービスの根底を貫くキーワードだ。

その“優しさ”は組織作りを進める上でも大切にされてきた。経営理念の筆頭には、“やりがい、働きがいのある職場”と“社員と家族の豊かな人生”が掲げられる。4代目社長である瀧川氏も、1997年の代表取締役就任以来、この経営理念に基づき、人事制度をはじめ時代に合わせた改革を行い、透明性の高い経営を行ってきた。

経営計画には社員の声が反映される。まずは役員陣が3年から5年単位で中期経営計画を立て、それをベースに部門ごとに1年単位の計画を策定する。部門ごとの計画を立案する際には、部門長が中心となり、部員の声も聞きながら案を作り経営陣と調整を繰り返してまとめていく。各部門の計画がまとまった後は、個人目標に落とし込み、月ごとに1on1で面談し、振り返っていく。

「経営計画書は社員が目標を達成し、成長していくための道具として活用しています。また、会社の状況を全員に理解していただくため、月次決算の内容を発表しています。これらの取り組みによって、会社としての一体感が強まりますし、自分自身がどのような役割を果たせば良いかが理解できるようになるでしょう」(瀧川氏)。

社員に求めるのは利他の心だ。顧客やユーザーに対してだけではなく、一緒に働く部下や仲間に対しても思いやりの心を持って行動することを日頃から意識するよう指導教育が行われる。その甲斐もあり、社内の人間関係は良好だ。多くの社員が「良い人が揃っている」「悪い人がいない」と互いに評価し合う。平均勤続年数15年という数字は、環境の良さを表している。

「我々は社員の皆さんには、自分の持つ力を出し切っていただきたいと思っています。そのため目標を明確に定めるとともに能力開発にも注力しています。学習意欲のある人には、最大限に支援する方針です。また仕事は短時間で集中し成果を出すものだと考えています。仕事とプライベートの両方を充実させられる会社を目指して仕組み作りを行っています。社員が月曜日に“会社に行きたい”と思う。その理想像に着実に近付いています」(瀧川氏)。

そんな同社が現在、課題として挙げるのはIT化、DXの推進だ。より強固な経営基盤を確立するため、ITとデジタルの活用で生産性向上を目指す。情報システム部門の立ち上げに向け、リーダーシップを発揮してくれる社内SEを募集中だ。

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インタビュー

アルスコーポレーション株式会社のインタビュー写真
管理部長・行者 昌幸氏

── IT部門を新設される計画がおありだと伺いました。現在、社内システムをどのような体制で管理されているのですか。

現在、社内の情報システムは、パソコンのキッティングからネットワークのトラブルシューティングまで、私が部長を務める管理部のメンバーが、システムベンダーやITコンサルタントの協力を得て管理しています。

ただ、現在、社内にはITの専任者は不在です。今後は製造、営業、事務、全ての部門における生産性向上が避けられない課題となってきます。SE経験者を採用し、IT係、または情報システム部門を立ち上げ、IT化、DXを推進したいと考えています。もちろん、一気には増やせませんが、当社の規模感(子会社を含めて約250名)を考えれば、最低でも3名ぐらいの体制は必要です。ま... 続きを読む

企業情報

会社名

アルスコーポレーション株式会社

業界

製造・メーカー系 > その他メーカー系

企業の特徴
自社サービス製品あり、シェアトップクラス、グローバルに活動、残業少なめ
資本金

4000万円

売上(3年分)

2023年 12月 41億8000万

2022年 12月 42億7300万

2021年 12月 39憶9400万

設立年月

1964年02月

代表者氏名

瀧川 重隆

事業内容

・プロ用刃物の企画開発、製造
・一般流通用刃物の企画開発、製造
・業務用機械刃物の企画開発、製造
・刃物のメンテナンスサービス

株式公開(証券取引所)

非上場

従業員数

212人

平均年齢

42.1歳

本社住所

大阪府堺市中区八田寺町476-3

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